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013_脳筋試験

「で、お前ら結局何したんだ?」


バルツァーが俺たちに質問してると、横から受付所のトリーが小走りで近寄ってくる。


「ギルマス、ルタさんがその新人さんにチョッカイかけたら返り討ちに」


「ああ?あのバカはいくら万年シルバークラスとは言え、腐っても古株だぞ」


「しかし、実際にああなってるわけで」


トリーの指差す先では既に皆飽きたのか、壁際で放置されてる4人組が壁際でまだ伸びてる。


「おい、新人何した?」


「そちらの方がマスターに手を出したので、ご退場頂きました」


「ご退場ってなー、シルバークラスを新人がってのは無理があるぞ」


「そちらのダークエルフの方が、杖をこうシュッと出してウインドボールで4人が吹っ飛んでました」


バルツァーが腕を組んで首を傾げる。


「あれか、家庭魔法の洗濯するやつだろそれ。新人本当に何したんだ?」


「何をと言われましても、それが私の力としか」


「おう、トリー試験まだだよな?ちょっと借りてくぞこいつら」


あかん、あれ絶対自分で試験する気満々だ。お偉いさんは是非机にふんぞり返って現場に出てこないでいただきたい、てかお願いしますこないで下さい。


「マスター、いかが致しましょうか?」


「行くしか無いかな……」








「よーし、今から実技試験を始める、戦闘して俺を納得させたたら合格にしてやる」


「脳筋だ、絶対脳筋だこのギルマス」


そんなわけで、ギルドの裏に有る屋外訓練場に連れてこられた我ら二人。ちょっとした運動程度ならできそうな広さで、丸太の壁のお陰で外からも見えず、助けを期待する事は難しそうだ。


「あらあら、マスターの力を少しだけご理解頂く事にしましょうか」


うーん、うちの魔法使いも脳筋、いや魔法使いで脳筋は駄目だろ。


「おうおう、嬢ちゃんがさっきの家庭魔法使い……メイドじゃねーよな」


「大家庭魔法使いのセシリア・ルモワーニュともうします。以後見知りおきを」


セシリアがスカートの端をつまみながら優雅に挨拶する。それメイドや、間違い無く遊んでるなセシリアさん。


「まあ、そんな格好でメイドなわけねーか。で、兄ちゃんは得物何使うんだ?」


バルツァーが現役時代から使ってるであろう、身長ほど有る傷だらけの大槌を準備しながら俺のショートソードを品定めするように見てるが、うん、これで戦ったら死ぬな俺。


「申し訳ありません、マスターの矛で有り盾が私になります」


「あ?お嬢ちゃんは召喚獣?いや、ネクロマンサーでも無いしな生きてるし」


「すみません、自分の職業が紋章師で相手を強くする事に特化していて、俺事態は本当に強くなくて」


本当に紋章師居ないんだな。今後も説明大変だこれ。


「なんだそりゃ、初めて聞く職業だな。まあ、強けりゃなんでも良いか。よし、じゃあ何時でも掛かってこい」


大槌を上段に構えて何時でも来いと言わんばかりの構えで待ちかまえるバルツァー。それに答える用に杖を抜いてセシリアが構える。


「セシリアさん、やりすぎないようにね」


「ご安心下さい、ちゃんとマスターの凄さをご理解していただきますので」


あかん。絶対わかってない。


「行きます、ウインドボール」


「お、それがさっきのやつか。だが甘い!!」


4人組をふっ飛ばしたのと同じウインドボールが2発撃ち込まれるが、それを大槌でホームランを打つかのように一振りでかき消される。なんだありゃ、セシリアも大概だが、あっちも化物だぞ。


「おお、本当にウインドボールだぞこれ。家庭魔法ってこんな事が出来るんだな!!」


目をキラッキラさせて、子供のように喜ぶ傷だらけの親父は正直見てて怖いな。


「いえいえ、マスターの力はこの程度ではありまんよ。ショートシャワー!!」


収束型のショートシャワーがさっきと同じ軌道でバルツァー目掛けて飛んで行く。


「同じ軌道ってのは俺を舐めすぎだぞ!!」


巨体に似合わず、地べたを這うようなダッシュでショートシャワーを躱しながら、凄まじい勢いで暴力の塊が突っ込んでくる。それに合わせて、反対の手でショルダーホルスターからもう一本の杖を引き抜きながらセシリアがショートシャワーを唱える。


「これを避けられますか、ショートシャワー!!」


「だから、同じ魔法はって違うなんだこいつは!!」


同じショートシャワーでも今度はトロルをナマスにした拡散型のショートシャワー。セシリア頼むぞ、威力だけは落としてるって信じてるからな。


数十本の水の槍がバルツァーの上下左右全ての逃げ道を塞ぐ。止まるかと思った暴力の塊はむしろ加速して突っ込んでくる。


「狙いは良いが、その程度じゃ俺は止まらんぞ。パワーチャージ!!」


赤いオーラのような物がバルツァーを包みこみ、赤い弾丸になったバルツァーとショートシャワーが激突した瞬間、ショートシャワーが掻き消されて、ついにバルツァーの間合いに入っていく。


「おら、これぐらいで気絶するなよ!!」


技でも何でもない、ただ大槌を横に振り抜くだけ、それだけで十分と言わんばかりの衝撃がセシリアに撃ち込まれる。


「つ、エアハンド!!」


セシリアの杖から展開された見えない障壁と大槌が衝突した瞬間、大きな音と共に数メートル後ろまで立ったままふっ飛ばされる。


「おお、エアハンドまでこれかよ!!凄いなお前!!」


「ふふ、私が凄いんではなくて、マスターの紋章が凄いんですよ」


セシリアが嬉しそうにお腹の紋章を撫でるのを面白そうにバルツァーが見つめてる。


「お前ら面白いな。よし、次の一撃しのいだら、試験合格にしてやるから気合いれろよ」

そう言いながら大槌を横に構えて力を溜める用に腕に力をこめていく。


「ふふ、ではもう試験合格ですね」


「おうおう、随分と余裕だな。この一撃はさっきとは訳が違うからそんな」


ズドンッ!!!!!!


バルツァーが一歩踏み出した瞬間、足元が光って轟音と共にその場で縦に一回転して後頭部から地面に打ち付けられる。


「ゴファッ!!」


「足元注意です♪」


「やりやがった。吹っ飛ぶ直前にさらっとハンターサークル設置してるとか、本当にあれ俺のパートナーなのかな」


「あのー、大丈夫ですか」


セシリアが杖をしまい、バルツァーに近づいた瞬間


「油断大敵ーーー!!」


急に起き上がったバルツァーにお姫様抱っこされ、そのまま何度も高い高いされるセシリア。高い高いで何かがブルンブルンしてる、凄い。


「きゃああああ、降ろして、降ろして下さいーー」


「いやいやいや凄いなお前ら、久々だぞ俺がダウンするなんて。お前らは文句なく合格だ、この決定は誰にも文句言わせないぞ!!」


豪快だなー。そして、地面にゆっくりと降ろされたセシリアが服と髪を整えてると、トリーが近づきたくないなーって顔でやってくる。


「はいはい、楽しかったようで何よりです。じゃあ、仕事溜まってるのでさっさと戻ってくださいね。後は私がやっておきますから」


そう言いながら、バルツァーに書類の束をドサッと渡す敏腕職員。きっとこの上司がここを運営できるのは彼女のおかげなんだろう。


「う、さっきの一撃よりこっちのほうが辛いな。二人共登録終わったら何時でも俺の所に顔出せよ、色々聞きたい事も有るからな」


そう言いながら、大槌をズリズリ引きずりながら、バルツァーはギルドに戻っていく。


「さて、この度は合格おめでとうございます。では、受付で登録しますのでお戻り下さい」


「セシリアさんお疲れ様。最後凄かったですね」


「ええ、まさか後頭部あんなふうに撃ってすぐに復帰するとは思わず油断しました。でも正直助かりました、このままやってくと、途中で間違いなくこちらの魔力が底をついて負けてしまう所でした」


「え、魔力そんなにきつかったの?」


「正直に言えば連続であれと同じ攻防を5度程繰り返せばどうなったか分かりません」


思わぬ所で彼女の今の限界がわかってよかった。そして、受付に戻るとセシリアが小冊子を机の上において待っていた。


「はい、では改めておめでとうございます。ではブロンズランクで登録いたしますので、こちらの水晶に手を当てて下さい」


二人共手を当てると、一瞬で登録自体は終わってしまった。味気が無くて少し実感がわかないなこれ。


「では、こちら小冊子に色々と諸注意が書いてありますので、必ず今日宿に帰ったら読んでくださいね」


小冊子の表紙には、初心者の手引と書かれており、中はパラっとめくって見る限り、依頼のルールやら色々書いてある。これは読まないと絶対痛い目に合うパターンだ。


「とりあえず、登録もできたし宿探す?」


「荷物も置いてしまいたいし、そうですね宿探しましょうか」



さて、無事?登録も終わったし宿探そう。しかし本当に疲れた、これから先こんなんばっかなのかな。


何時もお読み頂き有難うございます。ブックマークや評価ポイントを頂けると、今後の励みになりますので、よろしくお願いいたします。


そして、本当にお待たせしてしまいごめんなさい。正月疲れと仕事始めでどっと疲れが来たのか死んでおりました。今週末は後2話更新出来ればと思います。これからも皆様宜しくお願い致します。

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