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012_冒険者登録は問題だらけ

チュンチュン


「うう、ベタに朝チュンで起きてしまった」


昨日あれからセシリアの40年分の思いをたった一人で受け止める羽目になり、女性の性への思いを身をもって体験する事になった。


「あら、お早うございます直哉さん。ふふ、最後は直哉さんからもして頂けて、楽しんでもらえたようで何よりです」


彼女も俺と一緒にまだ寝起きで横になってる。寝起きで目を開けた直後にセシリアの顔とそれと同じくらい有りそうな谷間が見えると言うのは、体験しないとわからない嬉しさが有るなこれ。


「お早うございます、セシリアさん。その、昨日はすみません色々と」


「あらあら、直哉さんが謝る事なんて何も有りませんよ。私の方こそ色々と受け止めて下さって有難うございます」


そう言いながら彼女が毛布の中で手を握ってくる。これだけで昨日の夜のせいでなんか嬉し恥ずかしい。駄目だこれすぐ起きないと、このまま俺の方から襲いかねない。それだけは駄目だ。まずは街、街へ行かないと、2~3日ぐらいなら平気で此処に留まりかねない。


「とりあえず起きて街目指しませんか。今日中に冒険者ギルドにも登録したりしなきゃいけないし、時間がいくら有っても足りませんよ」


セシリアが毛布で胸元を隠しつつ、上半身だけ体を起こす。


「そうですね、このままだと私が我慢できなくなって1週間ぐらい此処に留まっちゃいそうですし」


2~3日じゃ駄目だったらしい。それから、起きて服を着てサクッと出発しようと思ったがそうは行かない。二人共汗やら何やらでベッタベタで朝風呂しないと、とても外に出れるような状態では無かった。セシリアが時間短縮のために一緒に入ろうと言うが、絶対色々あって短縮ではなく延長になるのが目に見えてるので、大変魅力的な提案だったが丁寧に断った。


それから、先に荷物をまとめて、装備を整え昨日の夜と同じ内容の朝食を取った後に、今日も元気よく出発する。


「しかし、昨日も見たけどこの街道広いね」


「そうですね、王都の街道よりは狭いですが、それでもそれなりの広さにはなりますね」


馬車2台が余裕ですれ違える街道をてくてく歩いてく。時たま、1頭立ての幌馬車が護衛を数名付けながら横を通り過ぎていった。それから太陽が天辺に来たぐらいだろうか、遠くに街のような物が見えてくる。


「直哉さん見えました。あれが今目指してる街カドニカになります。王都からそれなりに近い位置にある街なので、基本的なものは大体揃ってると思っていただいて大丈夫です。逆に言えば、ごくごく普通な街ですね」


それからもう少し歩いてくと、ついにカドニカの街がしっかりと見えてきた。外周の壁は木製だが、立派な丸太で作られており、等間隔で屋根付き櫓に弓兵が1人づつ配備されてる。もう少し歩いていくと、門が見えそこに鎧を着て槍を持っている中年の衛兵が立っていた。


「あ、俺ら何て言って通れば良いんだ?」


よく考えたら身分も何もなく、この世界の常識もわから無い。


「そこは私が全てやりますので、直哉さんは合わせて下されば大丈夫です。通行税も村の倉庫に金貨が20枚ほどと銀貨が少し有ったのを持ってきたので当分は大丈夫かと」


「何から何まですみません」


「いえいえ、直哉さんをお守りするのが私の役目。もっと頼って下さって良いんですよ」


門に行くまでに少し時間が有り、通貨の事を色々聞くと。銅貨→銀貨→大銀貨→金貨→大金貨が有り、全部10枚で次の硬貨と同じ価値になるそうだ。ランチを食べると、銀貨5枚ぐらいが相場なので、銀貨1枚100円ぐらいだろうか。


「止まれ、何の目的で街に来た」


聞いた事を考えならボーッと歩いてたら急に呼び止められる。知らない間に門の近くまで来ていたらしい。門は幌馬車が1台通れるほどの大きさで、脇に小さな詰め所に2人ほど座って事務作業してるのが見える。


「お疲れ様です。こちらの街には初めて来まして、冒険者ギルドで登録をしようと思いやってまいりました」


「な、なるほど。冒険者ギルドは中央通りを真っすぐ行ってすぐなので直ぐわかるだろう」


衛兵がセシリアに話しかけられて急にしどろもどろになる。わかる、わかるぞ衛兵、極端に綺麗な人に話しかけられれば普通にそうなるよな。貴方の目線が俺を一切合切無視してセシリアの全身を何度も見てるのも男の悲しい性だろう。


「では、2人で通行料が大銀貨1枚だ。街の中では俺達の迷惑をかけないよう気をつけてれ」


1人500円だと考えると、あまり出たり入ったりはしたくないな。門をくぐって街に入ったが、おおおお活気有るな。道路は相変わらず土がむき出しだが、衛兵が言ってた中央の大通りは馬車が数台通れるほど広く、建物も2階建てや3階建てで木製が殆どだが、ちらほら石造りの建物も混じってる。通りには馬車やたくさんの種族が往来していた。


「おお、あっちにはウサ耳だ、あれはワニ人間か?人間も普通に居るし、背の小さいのはホビット族かな。凄い本当に多種多様な種族がいるんだな」


「あらあら、初めての街はお気に召して頂けたようで何よりです。ささ、冒険者ギルドはこの通りを行ったところらしいので、行きますよ」


う、おのぼりさん丸出しだったのか、セシリアさんが優しい笑顔でギルドの有る方に導いてくれる。通りを歩いてると、行き交う人がチラチラとセシリアさんを横目で見ていく。やっぱこっちの世界でも彼女は美人な部類なんだなー。ちなみに、台車ゴロゴロ引いてる俺を見る目は皆、従者程度にしか見てない気がする、いや、大体合ってるからいいんだけどさ。


「直哉さん、見えてきましたよ多分あれが冒険者ギルドかと」


そう言われて前の方を見ると、横向きの木製吊るし看板が入り口の上から道路に向けて設置されてる。看板には剣と金貨袋の絵が描かれており、直球だなーあれ。そう思ってると、突如入り口のドアが開き中年の男性とその後ろを……凄いな九尾の狐だ。うす茶色い九尾の狐が作業服を着た中年男性の後ろをついて行く。男性も怒ってるのか、不機嫌な雰囲気を撒き散らしながら俺らが来た方向に歩いていった。


「なんだあれ?」


「穏やかな雰囲気では有りませんね。見た感じ冒険者でも有りませんし、おおかた無茶な依頼を出したけど誰も受けてくれないとかでしょうか」


「なるほどなー、まあ僕達には関係無いでしょうし、とりあえず中に入りましょうか」


ついに念願の冒険者ギルドだ。木製のドアを空けると、中はそれなりに広く、大きめの丸いテーブルが6卓程置いてあり、そのうち四つは鎧装備の冒険者やローブを来た魔術師に盗賊と言われたほうが納得する見た目でガラの悪そうな輩などが座っていてそれなりに賑わっていた。壁には依頼看板なのか、数人の先客が物色してたり、奥の受付カウンターでは今も1人が受付所から話を受けてる。


しかし、あれだこれは辛い、おもったより辛い。中を少し進むと、机に座ってた全員が一斉に俺達の方を見てくる。セシリアをただ舐め回すように見るもの、実力を図ろうと真剣に見てくるものなど、視線の意味は様々だが居心地は正直よくない。


「直哉さん登録はあちらのようですよ」


セシリアさんはマイペースにズカズカとカウンターに進んでいく。うーん、強い。受付につくと先客がちょうど終わったのか直ぐに俺達の番になった。


「いらっしゃいませ、ようこそカドニカ冒険者ギルドに。私は職員のトリーと言います。今日はどう言ったご用件でしょうか」


受付のお姉さんは、多分人間でポニーテールと元気な笑顔が印象的だ。ギルドの制服も緑がメインで膝まであるスカートに、白い襟付きのシャツとベストに赤いリボンで爽やかな感じが良いなこれ。


「はい、今日は冒険者への登録を出来ればと思い来ました」


「登録ですね、有難うございます。登録料でお一人様大銀貨5枚になりますが宜しいですか?」


「よろしくお願いします。2人なので金貨1枚で宜しいでしょうか」


その瞬間、受付所が驚いた顔をする。


「あ、従者の方は登録しなくても大丈夫ですが宜しいのでしょうか?」


ですよねー。見るからに凄そうな魔術師の後ろに台車ゴロゴロ引っ張ってる人間なんて誰が見たってそうですよねー。


「いえ、そちらの方は私のマスターなので二人とも登録でお願い致します」


ふぁあああああああ、何言ってるんですかセシリアさん、いや嘘じゃない、嘘じゃないけど、タイミングや言い方って物がもっと有るでしょ。ほら、受付のお嬢さんなんて言うまでもなく、後ろで聞き耳立ててた冒険者たちも一斉に驚いた顔で俺を見てるよ。


「セシリアさん、マスターって何ですか。何時も直哉さんって呼んでたでしょ」


嬉しそうなセシリアがこっちを見て


「いえいえ、直哉さんと言った所で相手には伝わりませんし、マスターなのも嘘じゃないですよ。それにマスターと言われれば周りにも関係が分かりやすいですし、外ではこれで行こうと思います」


わかったような、わからないような、説明がされてる中トリーがフリーズ状態から戻ってきた。


「失礼いたしました。お二人登録ですね。では、登録料金貨1枚になります」


凄いぞ受付のお姉さんさすがプロ。一瞬で平常心を取り戻し事務作業を進めていく。セシリアが懐から出した革袋から金貨を1枚支払うと、受取カウンターの下から台座に乗った水晶玉が出て来る。


「ではこの上に手を載せて下さい。一人ひとりのパーソナルパターンを申告していただいたお名前と職業を一緒に登録いたします」


「すみません、そのパーソナルパターンって何を見るんでしょうか?」


「私も難しい原理はわからないのですが個々の魔力パターンを登録するそうです。個人ごとに違うらしいので、個人を判別するためによく使われてるんですよ」


へー、指紋みたいなもんかな。


「それと一緒に頂いたお名前と職業と冒険者ランクをセットで登録するので、何処のギルドに行っても同じ情報が共有されてるから便利なんですよ」


おお、情報共有までされてるのか。是非その方法も何時か教えてもらいたいな、異世界は思った以上に進んでる。


「では、私から登録してしまいますね。名前と職業はコチラに書けば宜しいでしょうか?」


セシリアと俺の前にはいつの間にか、1枚づつ用紙と木製のペンが置かれていた。あ、不味い俺文字書けない。街に入って思ったけど、喋ってるのはわかるけど、文字だけはわからなかった。これ、セシリアに習わないと不味いな。


「直哉さん文字書けますか?代筆します?」


流石セシリアさん俺の困ってる事を的確に察知してくれる。


「すみません、代筆お願い致します。名前は新谷直哉で職業は紋章師でお願いします」


セシリアがサラサラと書類に今お願いした内容を記入していく。文字はアルファベットっぽいな。ローマ字っぽくも有るし、多分習えば出来るな……多分。


「はい、セシリアさんと、直哉さんですね。えーと、ご職業は……え?」


うん、うん、君の反応はもっともだよトリーさん。


「大家庭魔法使いと紋章師ですか。家庭魔法でしたら冒険者ではなくメイドギルドへ、紋章師は紋章官のようなお仕事でしょうか、それでしたら王宮などの事務官はここで応募できませんよ」


トリーが冷やかしなら帰ってくれと言う雰囲気で少しだけ嫌そうな顔をしてる。一応ギルド職員の彼女なりに親切心で教えてはくれるが、困った事に俺達はいたって真面目なんだよな。


「いえ、私たちは冒険者になるために此方へきました。それに、戦闘でしたら十分に出来るのでご安心下さい」


「はあ、そうですか。まあ、この後に簡単な実技試験が有りますので、そこで実力は分かるか。了解しましたお二人の申請受理いたしますので、試験管が来るまで少々そちらでお待ち下さい」


どうにか二人の申請は受理され、試験が受けれる事になった。あいてた机に座りながらセシリアが簡単に説明してくれるが、冒険者はブロンズ→シルバー→ゴールド→プラチナ→ダイヤ→マスターとランクが上がって行き、トップのマスターランクは世界中でも10組も居ないそうだ。冒険者人生のゴールの一つとしてプラチナを目指すのが大半で、マスタークラスは教科書に載るレベルだから、普通は狙うとかそんな事考えないらしい。


「おうおう兄ちゃん。美人なねーちゃん連れて冒険者ごっこかい?」


来た、来た来た来た。ここに入ってからずーっと俺らを見てた盗賊みたいな見た目の4人組だ。全員茶色いマントの中に、鉄の胸当てに短剣に弓などを装備して髪は少しボサボサで正直清潔感は無い。リーダー格なのだろうか、1人だけ装備が少し良いちょっと老けた男が話かけてくる。


「俺はシルバークラスのルタってもんだ。お前みたいな勘違い野郎にご教授してやろうと思ってな」


「それはご親切にどうも。ですが、この後試験らしいので、また後でお願いできますか」


「俺は親切心で声かけてやってるのに何言ってるんだお前。お前みたいなひ弱で事務志望の野郎は家でママのオッパイでも吸ってなって言ってるんだよ」


周りの仲間もそれを聞いてゲラゲラ笑っている。うるせえ、ママのオッパイは昨日たくさん吸ったから今は間に合ってるんだよ。


「マスターが困ってますので、もう何処かへ行ってくださいませんか」


セシリアが俺とルタの間に割って入る。4人の視線が一気にセシリアの胸元や顔に注がれる。


「おおお、席から見てた時から美人だと思ったけど、近くで見れば最高に美人だな。お腹に墨まで入れておいおい、俺を昼間っから誘ってるのかい」


「触るな!」


セシリアの紋章に触ろうとするルタの手を俺は脊髄反射で払ってしまった。


「てめえ、痛えじゃねえか!!」


ドン!


「痛った、うう」


胸を思いっきりど突かれ、座ってた椅子と机の間に倒れる。馬鹿力め、胸と転んで打った尻がジンジンする。


「大丈夫ですかマスター!!何をするんですか貴方」


セシリアが俺の横に直ぐに座り込み、起こしてくれる。セシリアの抗議にルタはニヤニヤして挑発してくる。


「おいおいおい、弱っちいなお前。やっぱり僕ちゃんは家に帰んな。この美人のダークエルフは俺らのパーティーで色々と頑張ってもらうからよ」


ゲスめ。お前らなんかにセシリアを任せられるわけ無いだろ。お前らの目と顔が全部を物語ってるぞ。そんな事思ってたらセシリアが彼らを睨みつけながら立ち上がる。


「許せません、マスターを馬鹿にしたばかりか怪我まで与えるなんて。ただで済むと思わないでください」


「おっほ、怖い怖い家庭魔法で俺らお掃除されちゃうーーー」


膝を叩いたり、自分を抱きしめながらきゃー怖いーなど、とことん煽ってくるなこいつら。


「わかりました、ではご要望どおり掃除してあげましょう」


げ、不味い。掃除ってオークと同じにされたら、いきなり俺ら牢獄送りだぞ。


「セシリア、落ち着いて俺は大丈夫だから」


「ご安心下さい、すぐに済みますから」


目が座った笑顔で言われても何一つ安心できない!!!!



「お嬢ちゃん、俺らをどうしてくれるのかな。そんな事言うなら何されても文句ねーよな!!」


そう行って、4人が各々の装備を構えようとした瞬間、セシリアの杖がショルダーホルスターから抜き放たれる。


「吹き飛びなさい、ウインドボール!!」


ズドン!!

その瞬間、凄まじい爆音と共に4人が数メートル後ろの壁までふっ飛ばされる。一瞬しか見えなかったが、杖から4つのウインドボールが彼らの土手っ腹に命中してた瞬間、吹っ飛んでいった。何時ぞやの洗濯機が改造されてとんでもない事になってる。


「マスターを傷つけるものは許しません」


「セシリアさん彼らもう何も聞こえていないと思いますよ」


4人は壁際で完全に意識が飛んでのびていた。周りの冒険者たちも驚いたり、4人の元に歩いていったり思い思いの行動をしている。とりあえず、目立たず平和にってのはもう無理な事だけは俺にもわかる。


「おいおいおい、俺のギルドで揉め事はご法度だって何時言ってるだろ」


身長が高く顔に古傷が有りガタイの良い男が、ギルドの奥から出て来る。


「お前らか原因は。俺はここのギルドマスターのバルツァーだ。さあ、何があったか説明してもらおうか」


冒険者登録出来るのかな俺……これすごく面倒くさい事になってきたな。

何時もお読み頂き有難うございます。ブックマークや評価ポイントを頂けると、今後の励みになりますので、よろしくお願いいたします。


ヤンデレ狐ちゃんはちょこっとだけついに登場!!可愛いですね、可愛いですね、大丈夫ですちゃんと後で人間にも変身して皆様の前に登場しますよ。

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