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17話 決闘当日

どうも、さくらイです。更新が遅れてしまい申し訳ないです。今後も、よろしくお願いします。

とうとうこの日がやってきた。旭のベースと、たなさんの自由を賭けた戦いが……!

「クロエさん、おはようございます。」

「おはよ〜ぉ、タク。今日は戦いの日なんでしょ〜っぉ。まぁ、結果なんて分かりきってるけ〜ぇど、頑張って〜ぇね。」

「はい!気を抜かず頑張ります!」

「タクが、いや、メジャーデビューを控えたギタリストが部活でぽろんぽろん引いてるやつに負けたらダメよ。負けたら解散も辞さないよ。君も一応はバンドが失敗した後の進路とか考えているけど、このままメジャーデビューしたいんだろ。だったら全力でフロアを沸かしなさい。それもできないのなら、おしまいだよ。」


この発言は本気だ。クロエさんは普段、また栞ちゃんを揶揄う時は間延びした感じで話すが、本気で物事を語る時はしっかりとした日本語になる。それに今回の僕の方が盛り上がりに欠けるなんて事はそもそもあってはならない。まだ僕たち『クライス』はメジャーデビューをしていない。だが、テレビのニュースに載るほどは活躍をしている。そんなバンドのギタボが、沸かせられないなんて事は絶対にダメということだ。


「はい!ここ数日自分にできるか不安になってましたが、いつものライブのように沸かしていきます。デビューしますよ。ちゃんと。」

「う〜ん、そうだよ〜ぉ。いつものライブと同じ。みんなあなたの曲を聞きに来ているの。」

「なんかここ数日不安がってたのがバカらしくなってきました。」

「うん、タク。ライブの時間になったら、電話して、少しは身なりを整えてあげるよ。」

「え、クロエさんそんなことできるんすね。それじゃ、行ってきますね。」

「は〜い。」


今回はクロエさんの脅しとも取れる励ましより、気持ちが落ち着いた。直近の『クライス』のライブも大成功だ。問題ないね。

◇◇◇

「おはよう。」

「あ、おはよう!鈴木くん!今日はいつもに比べて荷物が多いね〜。」

「うん、今日が勝負の日だからね。」

「それもそうか!背中に背負っってるのはギターでしょー。でもそのアタッシュケースみたいなのは何?」

「あぁ、これはエフェクターボードって言ってね、ギターの音とかを調整するエフェクターを入れてるんだ。使うときは地面に置いて、足で操作したりするんだ。」

「あー!見たことある。ライブとかでギターとか、ベースの人の前の床に置いてあるやつだよね。」

「そうそう。でもベースはあんまりエフェクター使わない人も多いんだ。」

「そうなんだね。でも今日はエフェクターも持ってきてるし、頑張ってね!鈴木くん。」

「もちろんだよ!それに師匠に負けたらバンド解散するって言われたしね。旭のベースも、田中さんの自由もかかってるし、絶対に負けないよ。それに今回はお客さんをどれだけ沸かせられるかの勝負だからね。」

「えぇ〜、せっかく師匠さんとくんだバンド解散の危機なの?」

「うん、僕たちは割と真面目にバンドしようって話だったから、師匠も観客を沸かせられないのはダメだって言うし、それに何よりも旭のベースがなくなるのは厳しい。機材が変わるとそれだけで音とかバンドの士気にかかるからね。」

「はぇ〜、なんか鈴木くんが真面目にバンドしてるなんて意外だね〜。正直聞くのが専門で、とき独趣味程度で引いてるのかと思ったよ。」

「そんな真面目にしてないと流石に旭もあんなに大切なベース賭けたりしないよ。」

「それもそっか。とりあえず今日の放課後に全てが決まるね……応援してるから、頑張ってね。」

田中さんも僕のことを応援してくれる。頑張るぞ。いつものライブでは緊張もするし、観客を沸かせないとって気持ちがあるが、今回はライブというより勝負という意味合いが強すぎた。だがこれはいつものライブだ。だから『ラウンズ』との対バンのように僕の気持ちを音に乗せていけば絶対に問題がない。



いつも通り授業を経て、旭たちと昼食をとった。

放課後、近衛湊との対バンのために体育館に向かう。今回の準備は軽音楽部の方々が行ってくれた。あとは僕と近衛湊先輩の時間だ。


この日、僕と先輩の関係は一変し、田中さんとの関係も少し……いや、かなり変わっていくだろう。

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