16話 私も役に立ちたいよ
私、田中すずは悩んでいた。
最近よくわからない先輩に絡まれ、気づいたら自分の友人と先輩が私を賭けて勝負をすることになっていた。
なんでこんなことになってしまったんだろうか。自分の問題なのに他人の力で解決しようとしているのも悲しい。
そのせいで彼、鈴木拓朗くんは家にも帰らずにスタジオで練習しているらしい。なのに私は何も出来ずに一人で帰宅している。自分の大切な楽器を賭けてくれた友人、自分のためにギターを練習している友人。私のためにここまでしてくれる友人に何を返せばいいのだろうか。悩んでしまう。そんな私は親友の天野空に電話した。
「空、こんばんは。最近さ、こう言う事があったんだよね。」
私は自分で何をすればいいか思いつかず、今までの出来事を空に話した。
「う〜ん、そう言うことね。完全に理解した。でもなんかすごいことになってんね。しかも賭けてる楽器の価格も異常だしさ。普通そんなに高いの気軽に賭けないでしょ。でもさ……なんかいいね。いい友達ができたじゃん。」
「うん、だからこそ、何か恩返しがしたいんだよね。そうしないとなんかダメじゃん?」
「その通りだよ。なんか一緒に考えようか。でも正直あたしその二人すずの話越しにしか知らないからね。あんまり何かいいアドバイスとかできないけどね。」
「でも空って男の子の友達もいるんでしょ?なんか話しててどんなのが好きとか知らないの?プレゼントとかしてないの?」
「プレゼントなんてしないよ。唯一してる子はちょっと周りとはちょっとズレてるしね。」
「ズレてるって?どんな感じ?参考までに教えてもらえれば。」
「いいだろう。腰を抜かすなよ?ルージュだ。最近プレゼントしたのは、俗に言う口紅だ。」
……なんのことだろうか。口紅……か?口につけるあれか?なんで男友達に渡してんだ?
「なんで男友達に渡してんだ?」
「漏れてるよ心の声。でも勿論それが一般的な反応なんだよな〜。だから何も言えないんだよ……私には……」
「なんかごめんね……それと他にはアドバイスある?空。」
「いやぁ〜、ないんだけどさ、プレゼントって欲しいけど普段自分では買わないようなもの送ったほうがいいんじゃない?」
「確かに持ってるもの渡されたらなんか反応に困っちゃうもんね。そういえば二人とも楽器を嗜んでるから、音楽関係はどうかな?」
「それだったら、変えの弦とかは?エリキシル剤みたいな名前の弦めっちゃ高いみたいだし、しかもベースの弦は一般のでも高いから、喜ばれると思うよ。」
「確かにそれでいいかも!じゃあ、ギタークロスとかも渡そう!」
「うん、そん感じで。じゃ、男へのプレゼントセンスのないあたしは電話切るよ。」
「なんやかんやいいアドバイスくれたじゃん。センスあるよ?またね。」
「はーい。」
電話を切った。なかなかいいアドバイスを聞けたじゃないか。さすがは空だ。これで気持ちは少し良くなった。でも、エリキシル剤とはなんだろうか。また今度調べてみようか。
さて、明日も学校なのだ。私にできることはきっとない。精々鈴木くんとお話しするくらいしかできない。
もう寝ようか。
◇◇◇
「おはよう!鈴木くん!今日も頑張っていこう!」
「田中さん、おはよう。なんか今日はいつも元気だよね。」
「うん、正直いろんな事があったのに私は役に立たないから、私は笑っていようと思ってね。ちゃんと鈴木くんと伊藤くんにはお礼もするよ!」
「そんな、気にしなくてもいいよ。でもありがとう。楽しみにしてるよ。」
「うん!」
私は私の友達が負けるなんて絶対に思わない!




