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15話 本日も練習です。

昨日から強化週間に入ったため、帰宅する先はクロエさんの家である。

今日は昨日のフレーズを復習してから、新しいフレーズの練習をやろうと思った。だが、今回の強化週間では一つのフレーズを極めるのもありかもしれない、そう思った。

「田中さん、帰ろうか。」

「うん、いいよ。そういえば今日からしばらくお師匠さんの家でお泊まりなんでしょ?帰る方向とか大丈夫?」

「う〜ん、師匠の家結構学校に近いんだ。だから、しばらくは駅使わないかな〜。でも一緒に帰ろう?」

「いや、今はギターに集中するために強化週間やってるんでしょ?だったら今はもっとギターに集中して。」

「うん、わかったよ。でも最近田中さん元気なかった日とかもあったし、何かあったらすぐに連絡してね。相談とかにも乗るし、男であったほうがいいでしょ。朝日と一緒に駆けつけるよ。」

「うん、わかったよ。心配しないで!」


クロエさんの家は相当学校に近い。それなのに隠れ家みたいな見かけだから、この学校の生徒はあまり利用していないみたいだ。確か、会員制だったかな?あまり記憶にない。ちなみに僕たち『クライス』はクロエさんの勧めで利用することにしている。勿論無料で利用しているのではなく、ちゃんと料金を払っている。今回の強化合宿もスタジオや、宿泊費は払っている。でも、普段のスタジオ練習含めて、クロエさんのお父さんのご好意より少し値段が引かれている。いつも感謝している。

◇◇◇

「お疲れ様です。今空いてますか?」

「あぁ、タク君お疲れ様。クロエはまだ大学だから、開けてないよ。このままスタジオ行くなら鍵渡すけど、どうする?」

「はい、一度着替えてからスタジオ入りたいと思います。」

「あい、じゃあ準備できたら教えてね。」

僕は住居スペースに入っていく。住居スペースといっても、クロエさんたち家族が暮らしているところではなく、お客さん用のところである。早速割り当てられた部屋に入り、服を着替える。今日は、クロエさんがまだ帰宅していないから相談ができない。昨日のフレーズの完成度を上げながら、クロエさんの帰宅を待とう。

「鍵お願いします。」

「はい、じゃあ、クロエが行くかもしれないけど、スタジオ無人になるときは鍵閉めてね。」

「はい、了解です。」

重たいスタジオのドアを開けてギターのセッティングをする。

「そういえばここのスタジオって、スマホの音楽スピーカーから流せるんだったよな。『クライス』の音源流しながらギター弾くか。」

ギターを弾いているときは無心になれるし、最高だな。

しばらくはノリノリに歌いながらギターを弾いていた。

「おっと、いけないけない。なんやかんやノってしまって四十分ほどやってしまった。今から、フレーズ弾こう。スピかーから流そうかな。うぅ〜ん。ま、流しておくか。」

その後、しっかりフレーズの練習をした。

「や〜ぁ、今日もしっかりやってるね〜ぇ。」

「なんて伸ばし方してるんですか。お疲れ様です。クロエさん。」

よかった。歌いながらギター弾いてる時にクロエさんが来なかっただけマシだ。

「うーん、今日は昨日の続きか〜ぁな?」

「そうですよ。あ、あとクロエさんに伝えとかなきゃいけない事があるんですけど。」

「なんだい?お姉さんにいってごらん?」

「いきなり、ちゃんと話すのやめてくださいよ。学校でクロエさんのことを話してたんですけど、僕学校でクロエさんのこと呼ぶとき師匠っていってるんですけど大丈夫ですか?」

「名前で呼んでくれ〜ぇよ。」

「だって、クロエさん本名とバンドの名前一緒だから学校で言ったらバレちゃうかも知れないじゃないですか。」

「いいじゃ〜ん。バレても問題ないいで〜ぇしょ。」

「ダメですよ。クロエさんの事がバレてしまうと僕はクロエさんのファンに一生追いかけられてしまうし、なんかの拍子で僕の事がバレたら、『クライス』のファンに刺されてしまいますよ。」

「う〜ん、なんか刺されそうになったら、私がトドメを刺してあげる。」

「ひぇ、怖いですよ。練習するんですよね。やりますよ。」

クロエさんと挨拶ついでに話をしながらギターのセッティングを待っていた。ファンに刺されることは案外あり得ることだと思ってたけどクロエさんに刺されるなんて、発想がユニークだな。


……流石に嘘だよな……クロエさん……

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