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トリスタンの皇帝  作者: Jota(イオタ)
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ハイドラの狂人8

ゴード島の外側を囲むように存在しているインフェルノ地帯をさらに中に入ると、更にリング状に平野地帯が広がる。


このリングは、浮島特有のもので、ブーリフェンリングと言われる。


ブーリフェンリングは、2500㎢の島を囲う多層のリングだ。


首都ゴードブーリフェンを含め、都市部は平野地帯にある。


都市のある平野を越え、島の中心に入ると、そこはまた深い未開のジャングルが続く。


凶暴な虫や獣達が生息する未開のジャングルが。


ゴードなどの浮島は、アルマダイの影響が強く、イプシロンに形状が似ている。


古代、よりイプシロンに似せて島は整備されて行った。


ゴードの南北に走る道はハイドラ最大の武闘場ヒルマ殿に直接繋がっている。


東西の道は第一外郭殿まで。


南東から北西へ、南西から北東へ続く道は、第二外郭殿まで繋がっている。


いかに美味しそうな人間の匂いが漂っていても、島外の獣や虫達は決してゴード島に寄り付こうとしない。


そして、ゴードのジャングル、山、川、湖の獣や虫達も、決して東西南北の道を超えることはない。


ブーリフェンリングに向かうことすらない。


例えどんなに飢え苦しんだとしても。


何故ならば、その一線を超えることは、死よりも恐ろしい、ハイドゥクの逆鱗に触れることに他ならないからだ。


それを知らないのはよそ者だけだ。


途方も無く遠くからバハヌノアに来たよそ者だけだ。


飛馬艇は、高層都市ゴードブーリフェンの切れ間に入り、東の道を島の内側へと進んで行く。


広大なサバンナの上を白い砂浜のような道が続く。道の幅は2000mほど。


何の敷居も無いのに、無数の巨牛バウバッハの群れが白い道に沿って移動していく。


巨牛バウバッハの群れは、道の切れ間を見つけると、一気に隣の区画に移動し始める。


数万頭の巨牛バウバッハが、秩序正しく白い道に沿って移動していく。


カピオンの群れを、カイザーの雌が追っている。


サバンナの大きな木を通り過ぎ、赤茶色の山を通り過ぎていく。


のどかな日差しの中、ゴードを流れる大河の上空を通り過ぎる。


川の中の魚の群れは、やはり白い道を超えない。


二人は、カルタゴの飛馬艇から見下ろす景色に心を奪われている。


「あの者達は、いかにして道を超えるか分かりますかな?」


カルタゴは、穏やかに話しかけた。


声は低く凄みがある。


トラフィンは首を振った。


「影が出来るのを待つのです。」


カルタゴはそう言うと豪快に笑った。


先頭の飛馬艇の影が白い道を通過した一瞬で、多くの魚が雪崩のように透明な水の中を入れ替わった。


「ん?。」


カルタゴは、空を見上げた。


晴れて二つの太陽が見えているにもかかわらず、雨が落ちて来た。


「大嵐か。このような日に。急がねばならぬ。」


そう呟くと、トラフィン達の座席を、黒い毛皮で覆った。


「うう、うわううーー!。」


サンザが悲鳴を上げた。


カルタゴは、毛皮を外しサンザの頭に、自分の頭を近づけ囁いた。


「このカルタゴにお任せなさい。サンザ殿。」


「ううー。」


ヤマダさんは出番が無かった。


「トラフィン殿もそれをおしまいなさい。」


カルタゴの声は、大きなヒドゥィーンタイガーの唸り声に似ている。


カルタゴは、再び黒い毛皮で二人の座席を覆うと指笛を吹いた。


...ポーーーーーーーーーーーーーー...


カルタゴの指から汽笛の様な太い指笛が聞こえる。


不思議と毛皮の隙間からも外の景色が見える。


そして...少し暑い。


他の飛馬の兵曹達も一気に加速する。


そして、カルタゴの飛馬も。


隙間から、風が入ってくる。


傾き旋回した。


目まぐるしく景色が変わる。


シャトルほどではないが、かなりのスピードだ。


バングリズリーの群れが山の麓を歩いている。


飛馬艇は、山を越えた。


山の頂上に、取り分け大きなヒドゥィーンタイガーが、3頭の子供を連れて歩いている。


「見なさい。あれはゴードの山の王、ハッサンです。普通のヒドゥィーンタイガーの倍はある。そして、いずれあの子の内のどれかが、ハッサンを倒し、王になる。あなたたちとハイドゥクのように。」


トラフィンは、なぜ自分達が、ヒドゥィーンタイガーと同じなのか分からなかったが黙っていた。


...ゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーー...


...ゴゴーーーーーーーー...


山頂の岩の上から、ハッサンが飛馬艇を見て吼えた。


...グーーーーーーーーーーーーーー...


...ググーーーーーーーーー...


3頭の子達も真似して吼えた。


あ。


あの子供のヒドゥイーンタイガー。


知ってる。


トラフィンはそう思った。


「匂いで分かるようじゃ。はっはっはっは!。あなた方に挨拶をしていますぞ!。これは愉快。はっはっは!。」


...ゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーーー...


...ゴゴーーーーーーーー...


ゴードの山々に、ハッサンの咆哮が響き渡った。

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