謀略12
『...隊長殿。元老院から入電。オノエ様です。...』
親衛隊の隊長タカムラへ元老院から...。
人様のグループに割り込んで来るとは...。
相変わらず図々しい。
確かオノエは、第1書記官。
元老院の。
18元老のフォー(黄)に特別な寵愛されていることで有名だ。
歩兵の間では。
《特別な》寵愛を。
オノエを私は一回見たことがある。
60歳のしわくちゃのジイさんだ。
ハゲてて太ってる。
悍しい...。汗
『...取り込み中だ。待たせろ。...』
あれ?。
タカムラ隊長がオノエを待たせるようだ。
一方タカムラは、レキ(赤)の息がかかっている。
だが、レキにもタカムラにもその趣味は無さそうだ。
『...そ、それが、勅令を持っていると...』
親衛隊隊長に引き上げたのは、レキだ。
まぁ、妥当だ。
私は親衛隊のタカムラを初めて見た。
タカムラは意外にまとも。
聞いていたのと違う。
『...チッ...。クソが。回せ。...』
.................ピーーーーーーーーーーーーーーーーー...ガーーーーーーーーーー...ガッ...ガーーーーーー...ガッ...
『...書記官のオノエだ。レキ様もノー様も大変なお怒りだ。貴様。この事態どう終息する?。この前代未聞の不祥事。どう責任を取るつもりだ。...』
『...これはこれはオノエ様。笑。ご連絡誠にありがとうございます。如何なさいましたか。...』
wwww
何だこの掌返しは。笑
やけに愛想が良い。
サラリーマンですか!。
シムキャストから200m位上空。
タカムラが不自然な笑顔を作っている。
特大の顔で。
不気味な月みたい。
鋼鉄の赤ちゃんの媚びへつらうような笑み。
不気味さしかない。w
『... い、如何なさいましただと!?。ち、丁度良い機会だ。教えておいてやろう。タカムラ。貴様ごときはご命令に愚直に従えば良いのだ。愚か者。フォー様のご命令は検体は全て捕獲。街は1ミリとも汚さずにだ。分かっているのか?。愚か者め。...』
『...ははっ。誠に申し訳ございません。しかしながらオノエ様。ステータスをご覧くださいませ。《謀略》となっておりまして...。また、あれなる化け物は創造的原種マナとスサノオに認定されております...。...』
おや。
親衛隊長殿が反論している。
『...おまえでは話にならん。中央軍の軍将を出せ。...』
『...それは致しかねます。大変申し訳ないことではございますが。いえ、決してオノエ様に楯突くつもりは微塵もございませんゆえ。何卒、何卒...。ですが、全体の長として。如何に偉大なるオノエ様のご命令だとしてもご拝命させていただく事が難しい状況ではございます。この軍の軍将はマナと交戦中にございまして。更にこの後、スサノオがビルを破砕すると申しておる次第でして。従ってオノエ様とお話している時間をお取り...』
何を言っているのかさっぱり分からない。
タカムラが滝のように汗を。
というか、水芸のように全身から水を噴射している。
兵曹にそんな機能があっただろうか...。
笑。
『...愚か者めが。ビルを、ビルを破砕するとは...。レキ様がどれだけお怒りになられるか。いかん。ビルの破砕など。絶対に許されぬ行為。いかなる小さき建築物とてレキ様の許可なくして...』
『...ではございますが、ではございますが!。メリカトルトーアの反重力板が動いておる間に、吊り上げ破砕せぬことには、街に、街に甚大な被害が...』
『...め、め、めメリカトルトーアだぁ!?。ば...バカな!。バカ者っ!。馬鹿者どもがぁっ!。許されぬ!。絶対に許されることではない!。あ、あ、アダムを呼べ!。アダムなら街を汚さず1匹残らず捕獲出来るであろうが!。アダムだ!。アダムを呼べ!。愚か者!。愚か者っ!。親衛隊の務めは、下軍を元老様達に従わせること!。それをおまえは。タカムラ!。貴様!。...』
人の回線で長々と...。
迷惑な。
『...ですが。ですがですが。そのようなことはあ、あ、アダムには尚のこと不可能でございます。私めはアダムに3度殺されかけておりますゆえ。誰よりもアダムという兵曹の恐ろしさを分かっております。ジンムにアダムを引き入れること、即ち、ネオジンムをあの悪魔への贈答品にせよと...』
『...誰がそのような事を言ったか!。この愚か者めが!。何と愚鈍な!。これはレキ様のご命令。アダムなど後で始末すれば良いのだ!。...』
『...おい。オノエとやら。スレーター•カーンだ。人様の回線でごちゃごちゃと。貴様こそタカムラに従え。タカムラの言う通りだ。アダムを始末する?。一体誰が?。コクーンを見ろ。逆にやられてしまう。...』
!?。
スレーターまでが!?。
もはや異種格闘技の世界...。
収拾がつかない。
『...き、貴様がスレーター•カーン?。このワシに指図をする気か!。ワシに兵隊に従えと言うのか!。このぶ、ぶ、無礼者めが!。何の心配がいる。最後の蛹化に入ったと聞いた。ユーライはアトラ最強の兵曹となる。この事を拡散し他軍への抑止力となぜせぬのか!。...』
『...軍事兵曹の蛹化は昆虫の変体のプロセスそのもの。今、大蛹の中身は酵素で溶けたスープだ。僅かな振動で組織が壊滅する。今ですら絶望的だ。永遠に孵化しないかもしれない。...』
『...な、な、馬鹿!。バカ者っ!。どれだけの軍事予算が使われたと思っている貴様!。何としても孵化させろ!。そしてユーライにアダムを始末させろ!。愚か者めが!。馬鹿者は大人しく服従しておれば良いのだ!。...』
『...話にならん。服従?。させてみろ。このエイジン•ローデシア最強のアトラ中央軍を。出来るものなら。笑。...』
『...貴様!。汗。貴様如きが!。リ、リンを出せ!。貴様の上司を!。貴様!。貴様ごときでは話にならん!。...』
『...断る。...』
『...な、な、何だと!?。こ、こ、断るだと!?。この逆賊めが!。口答えを!。貴様ごときが!。良し!。構わん。こちらでアダムを召喚する。元老様の勅命が優先権があるのだ。馬鹿者めが。た、タカムラ貴様!。何を黙っておる!。おい!...』
『...オノエ様。お、お言葉でございますが、ユーライの蛹化をリークすればクシイバがこぞって倒しに来ますぞ。今度こそ、確実にここは廃墟になります。そして、危機のステータスは謀略。スサノオの決定が何より優先致します。この件、お取りまとめになられたのは確かオノエ様...。...』
『...黙れ!。黙れ!。黙れ!。愚か者ども!。馬鹿者が!。そんなことは知らん!。大人しく命令に従えば良いのだ。低能どもが!。元老の、フォー様およびレキ様の勅命だ。規則も法律も元老院の決めること。自然の摂理もだ!。そんなことも分からんで...』
『...オノエと言ったな?。貴様との話は時間の浪費。貴様をラジュカムから排除する。...』
『..な、な、貴様、反乱軍として、直属軍を派兵する!。ど、独立国家でも築くつもりか!..こ、この野........ガッ..........................................................................』
ラジュカムの人数。
18256から18255へ減った。
オノエの履歴。
undefinedになった。
ホントに排除されたみたいだ。笑
シムキャストの上。
モニターは全て潰れてる。
コントロールパネルが切り替わる。
ラジュカムがパスタップに変わる。
私のは対応していない。
大尉がバンドルを渡してくれる。
使い方が分からない。
「腕に着けろ。付けるだけだ。チップスを読み取る。」
え?。
ポテトチップスが何か?。
「おまえはチップスがないのか?。」
チップスとデールーなら知ってるけど..?。
「あぁ...!。怒。このキーを読み込め。」
アルト大尉が自分の胸の番号を引っ張って見せて来る。
苛立っている。
「申し訳ありません...。」
あぁぁ...。あぁぁぁ。
こ、これがパスタップ?。
音がクリア。
視界に色んなデータが現れる。
見やすい。
便利。
ステータスは更に進む。
特別緊急事態宣言が発令された。
同時に特別緊急対処シークエンスが発動。
『...作戦モジュール名b17アトラ軍全方代 航空要塞の出撃を承認。数3。作戦責任者ミカエル•アウグスト......』
『...イザナミ、イザナギ。全権をスサノオに移譲!。イザナミとイザナミが後退します!。イザナミ、イザナギ。全権をスサノオに移譲!。...』
『...航空要塞を空中で待機。倒壊した場合、第一艇のアンカーロックをメリカトルトーアのメイン支柱にそれぞれかけ釣り上げる。その後、他の二つの要塞の粒子砲撃で空中で破砕する。...』
パスタップが点灯し、幾重にも音声や図が交差し立ち上がる。
なぜか全てが聞き取れるし、全ての図が理解出来る。
何故だろう?。
『...制御灯レッド!。スサノオが環境•交通の全実権を握ります!。...』
凄い。
パスタップって。
スサノオの自動音声、委員会、兵士...。
『...ジンム全エネルギー。スサノオが掌握!。ジンム全エネルギー。スサノオが掌握!。...』
『...データを開示中...』
『...スサノオ。スサノオ大演算中。...』
『...ガナン0%、サルファマスドラ0%、メリカト...ガナン0%、サルファマスドラ...49%、メリカトルトーア29%。ガナ...』
『...第127回目の申請...。ネオジンム上級議院の決議に優先し、アトラ軍メインフレームより特別緊急態勢シフトを発動します。...』
『...特別緊急態勢シフト元老レキにより却下されました。当フレームより優先順位が上です。再度申請中......』
『...元老院による特別審議開始されます。...』
『...特別緊急態勢シフト上席元老フォーにより承認されました。...』
!?
...ウウーーーーーーーーーーーーーーーーウウーーーーーーーーーーーーーーーーウウーーーーーーーーーーーーーーーーウウーーーーーーーーーーーーーーーー...
サイレンが鳴り響く。
全ての高層ビルが再び防御シールドを展開し始める。
遅すぎた。
...ボキ...バギ..バ...ギ...バキ..バギ...バキ......バ.ギ.バ.,,キ...
...バ...ギ...ィッ...
...ゴキ...ァァ....ィィ...
...バキバギバキィ...
鈍い音が響いている。
上空でマナの背面にリンが取り付いた。
...ブシャァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ブシャァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ブシャァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
モニターに映るマナ。
多量の体液がほとばしっている。
レビンがマナの右腕をへし折った。
飛沫が壁面をドロドロに溶かして行く。
煙が固まって落ちてくる。
体液が地上に落ちる前に霧散する。
有毒ガスとなり。
白煙が視界を遮る。
煙幕のように。
...ゴゴ...ココーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
閃光が煙の中を走る。
粒子線だ。
....
...
...ッツ...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ズドドドドドーーーーーーーーーーーーン...
昼間の雷。
煙の切れ間。
白煙で何も見えない。
...ボキ...バギ..バ...ギ...バキ..バギ...バキ......バ.ギ.バ.,,キ...
...バ...ギ...ィッ...
...ゴキ...ァァ....ィィ...
鈍い音が遅れて届く。
遥かに上空から。
『...レビンがマナの頭をもぎ取った。...』
この声は少佐。
モニターが復活した。
...ブシャァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
マナの身体から噴き上がっている。
おびただしい量の体液。
下界に降り注いでいる。
硫酸の滝が...。
墜ちて来た!。
...バシャア...バシッ...ジャボ...シュウウ...バシィ...バシッ...ジャアァ...バシィ...ジョボ...ジュウウ...バシィ...ドタ...バシィ...ジョボ...バシャア...バシッ...ジャボ...シュウウ...バシィ...バシッ...ジャアァ...バシィ...ジョボ...ジュウウ...バシィ...ドタ...バシィ...ジョボ...
ファザスに直撃している。
蒸発し、弾け飛ぶ。
モニターのマナの動きが止まる。
何か堕ちる。
ダンナがもぎ取った何かを投げ落とす。
何?。
この大きな塊。
!
塊が落ちて来る。
上空からゆっくりと。
茶色の塊。
...来るぞー!避けろぉっ!...
...ウオー...
...避けろー...
...うわぁぁ...
...キャーー...キャアアァァァー...うわぁーーー...キャーーーー...おおぉ...ヒイィ...キャーーー...ギャァァァァァ...うおーーー...うわぁぁ...ギャァァァ...キャーーー...キャーー...キャアアァァァー...うわぁーーー...キャーーーー...おおぉ...ヒイィ...キャーーー...ギャァァァァァ...うおーーー...うわぁぁ...ギャァァァ...キャーーー...キャーー...キャアアァァァー...うわぁーーー...キャーーーー...おおぉ...ヒイィ...キャーーー...ギャァァァァァ...うおーーー...うわぁぁ...ギャァァァ...キャーーー...
...
...
...ンンンーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...
..,
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ズドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...
ガラスや残骸が豪雨のように降り注いで来る。
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
地面が激しく撓む。
粉々になったアスファルトが噴き上がる。
巨大な肉片が大地にめり込む。
ネオジンムの舗装されたアスファルトに。
逃げ切れなかった者は全て下敷きに。
途轍もなく重い。
ガナンが激しく揺れている。
ファザスから流れ落ちたマナの体液が辺りを溶かしている。
まるで沸騰しているように。
ひっ!。
引きちぎられたマナの頭部!。
マナの頭部は見上げる高さ。
歩道橋がまるでおもちゃ。
シムキャストも。
お、おぉぉ大きい。
大きい。
何て大きさなの?。
横断歩道やセンターラインが緑色の濃い体液で染まって行く。
引きちぎられぐちゃぐちゃに潰れ歪んだ頭部。
壮絶なリンチの跡。
まるでズタボロの段ボール。
触覚が動きを止めた。
多くの人々を食らった顎が開いて行く。
力なく。
「死んだ?」
「ち、違う!。見ろ!。あれ!。」
アルト大尉が声を荒げる。
「火の粉が...。」
眩い光が。
甲殻の境目なら。
「ゆ、融合爆発だ!。爆発するぞ!。」
...ズドゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンッ...
...ドォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
上空で破裂音が轟く。
モニター。
2体の銀色の兵曹がマナに取り付いた。
ガマガエルに取り付いたスズメバチみたい。
....キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーィィ...イイイイイイーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
爆音が轟く。
2体の炉の音だ。
ジェットエンジンのような音。
本体を炭化させている。
....バチィィ...パチ...パン...パチィ...バッ...バッ...バチィィ...パチ...パン...パチィ...バッ...バッ...
火の粉がスパークし始める。
マナの頭の周りを舞いながら。
夕方のホタルのように。
赤い光。
「い、いかん...汗。エイブ!。急げ!。え、エリミネーターを出せっ!。エリミネーター!。」
は...あ...わ、私が?。汗
「エリミネーター スピンドール隊 オール。前へ。撃ち方用意!。全隊列、エルミネーターへ道を譲れ!。」
...バチィィ...パチ...パン...パチィ...バッ...バッ...
「サラバスター隊!。ボワガイガーを受け取り前面に集結!。ボワガイガー照射!。」
...ズーーーーーーーン...
...ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
ハッ!。
跨いで行く。
スレーターが、スレーターが!。
シムキャストを。
『...将補戻りました!。将補!。...』
...キイイイイイイーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ゥゥゥゥゥゥウウウウ...
『...うわぁっ。...』
兵士が耳を押さえる。
兵曹の炉が一気に出力を上げる。
...ズズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
スレーターが地面を踏む度、爆発が起きる。
す、スレーター!。
「スレーター!。」
100mの巨人。
...バッスウウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
マナの頭に覆い被さった。
炭化させようとしている。
歩道橋はカーンに踏み潰されてしまった。
積木のように。
「い、行けるぞ。エイブ!。指示を出せ!。」
「将補を援護する!。全エルミネーター隊!。前へ!。静止パットを射出用意!。」
...スピン...ドールフ..ァイブ...了解!...ス...ピ...ンドール...セブン...前に..出る...エイテ...ィーン...OK!スピン..ドールスリー出る...エイ..ト...!...グ..リーン!...
...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
大地が揺れる。
エルミネーターが一斉に前に出る。
20輌の黒い装甲車。
ミキサーが回転している。
まるでゴツいタイヤ付きの蟻。
先端には三本の射出ノズル。
そして三つのレーダー。
本当に昆虫のようだ。
炭化促進パットを射出する。
『...スピンドールナイン射出準備オ......』
「し、しまった!。」
...ビシュウゥゥゥゥッ...
...シュウウウウゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーンッ...
黒い影が辺りをよぎる。
....
...ズズドーーーーーーーーーーーーーーン...ズズドーーーーーーーーーーーーーーン...ズズドーーーーーーーーーーーーーーン...ズズドーーーーーーーーーーーーーーン...
「伏せろ!。伏せろーーーっ!。」
...ズッドーーーーーーーーーン...
「防風体勢!。総員防風体勢ーーーーッ!。」
...ドドドドーーーーーーーーーーーーン...
『...装甲兵!。装甲兵!。...』
...ズッドーーーーーーーーーン...
...ドドドドーーーーーーーーーーーーン...
「うっ!。クッ」
...ズッドーーーーーーーーーン...
...ドドドドーーーーーーーーーーーーン...
エリミネーターが爆発して行く。
連鎖して一気に拡大する。
全てのエリミネーターが。
爆炎で何も見えない。
地面が血の海だ。
真っ赤に染まっている。
「スピンドール隊!。どうした!。エルミネーター!。応答しろ!。」
「何だあれ!。汗」
マナの口から肉の塊が伸びている。
「マナの舌が!。」
トカゲの舌のような形。
巨大な肉の塊。
『..エルミネーター スピンドール隊沈黙!。スピンドール沈黙!。...』
先端は鉈のようだ。
鋭い鉈。
「いや!。スピンドールツーが残っている!。スピンドールツー後退せよ!。スピンドールツー!。」
民家ほどある鉈。
アナコンダの化け物のような舌。
『...ら、ラジャ。スピンドールツー後退する!。...』
「い、いつの間に。汗」
ヘビのように鎌首をもたげて蠢いている。
...シュウンンッッ...
『...い、行ったぞ!。そっち...』
...ズゴウウゥゥゥゥンッ...
マナの舌がエルミネーターの装甲を突き破る。
...
..
「キャァァァァアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ。」
『...ウッ...クッ...』
『...防風体勢!。防風体勢を取れーーっ!...』
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッッ...
す、スピンドール2が...。
マナの触覚が激しく揺れている。
「おい!。見ろ!。」
『...ま、まずい。汗...』
『...予備動作...。...』
発声器官は本体だ。頭じゃない。ここじゃない。
「発声機関は上よ!。鳴けないはずよ!。」
『...レディエード...』
『...ふっ...お、脅かしやがって...。汗...』
...ガタ...ガタ...ガタ...ガタ...
『...何だ!?。汗...』
ドラム缶を擦り付けるような音。
頭からだ。
民家より遥かに大きな。
...ズバーーーーーーーーーーーーーン...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ドーーーーーン...
...ダン...ドーーーーン...
...ドスン...
カーンが吹き飛ぶ。
100m超級の軍事兵曹が。
「バ、バカな。」
「発生器官が無い。出るワケがない。」
...ガラガラガラ...
頭部からレディエード〔※3〕が轟いている。
...ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ...
音量が拡大する。
...バシュウゥゥッッ....
...ゴゴゴゴーーーーーーー...
シムセプト(航空戦車)が墜落して行く。
ジニリウム装甲が沸騰してる。
〔※3:金属の極性に激しく変化を与え加熱させる。同時に仲間への遺伝情報を伝達する。〕
装甲兵が倒れていく。
ジニリウム製の装甲が沸騰している。
中の人間はドロドロに溶けている。
...ゴリゴリゴンゴゴン...
...ゴンゴン...
鈍い音が轟く。
マナの口から。
動かなくなった兵士を口に運んでいる。
一網打尽に。
次々と。
無造作に。
容赦なく。
アリクイのように。
舌で巻き込みながら。
...ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ...
た、た、大変な事に...。
「あぁぁ...。」
アルト大尉が目を見開いている。
「恐れていた事が現実になってしまった。汗」




