謀略11
耳を塞げば。
この都市の空は穏やかだ。
こんな日でさえ。
透明で遠くまで澄んでいる。
種の存続がかかった緊迫をよそに。
2つの太陽が視線の片隅でこの光景を見つめている。
降り注ぐデブリが時折煌めく。
そしてどんよりと曇り始めた。
地平の遥か彼方。
アイスが来たことで、私はまたスイーパーの位置にいる。
上空でリンがビルに手を突っ込んでいる。
メリカトルトーアの西棟。
七つの青い光を放つ目。
ジェニファーと同じ放電毛を持つ兵曹。
ユーライに次ぐ存在。
傾いた塔。
巨大な羽をゆっくりと羽ばたかせている。
その度にデブリが降り注ぐ。
斧のような銀の翼。
まるで巨大な猛禽類。
羽根の下弦が青白い光を放っている。
アルマダイの反重力風。
強力な浮力を生み出す。
嵐を巻き起こす。
アルマダイによる強力な粒子噴射。
両脚から。
根元から大きなスラスターに変わっている。
人工のシーアナンジン(高圧炉)は、強力に有機物を組み換える。
遥か上空。
100m超級 金属の化け物。
粒子噴射が、メリカトルトーアの残骸をなお大気中に撒き散らす。
...ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...
壁面やガラスの破片が飛び散る。
...ドーーー....ーーーーーーン...
大きなビルの破片が墜ちて行く。
...ドー...ーーーー..ーン...ドーーー...ーーーー..ーーン...
地上でアスファルトにめり込んでいる。
『...エマージェンシーコール...。ラジュカム ローカル7。α117 有線。民間からです。...』
ラジュカムから地上の兵士の声。
『...トリオール•ギガサ二ーの殲滅が最優先。メリカトルトーアが倒壊する。放置だ。...』
通信の優先度。
『...し、しかし...』
恐らくカーンのシムキャストからだ。
...
...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ズズズズズズズズズズズズズズズズズズ...
『...ガンディール方面、インターセクションKP113。ルート13とルート22。...』
通信が交錯する。
『...アイスです。アイスの粒子砲撃。アイスがギガサニー•トリオールに粒子砲撃。...』
『...カーンとアイス。ギガサニートリオール3000体と交戦中。...』
『...地上。聞こえるか?。地上。アルト。ショットアンカー。ショットアンカーがいる。1番デカいのが。...』
?
リンだ。
『...軍将です。軍将からです。...』
女の声。
マナの体表に粘液がある。
掴んで引き摺り出すのは大変だ。
いくらリンの馬鹿力でも。
『...軍将から?。ショットアンカー?。おい!。一番デカいのどれだ。...』
アルト大尉の声だ。
だが並のショットアンカーでは...。
『...スラッガーXがあります。どうやって運びます?。シムゴードに運ばせますか?...』
おぉ...。
それならイケる。
マナにも使える。
スラッガーXはそもそも、ギアナ大渓谷の飛行虫用のもの。
確かギリムかギリノア...。
ワイヤーの直径は5mもある。
『... パワーアームのあるものは?。 ...』
シムゴードで運ぶのか?。
『...MK-7のみです。...』
『...何?。70機もいてMK-7のみ?。持ち上がるか?。...』
『...アルト。また軍将からです。...』
『...繋げ。...』
『...おい。二個くれ。...』
『...に、2個って...汗。簡単に...。ハッ!。し、承知しました。4輌必要だ。一番近い基地は?。...』
『...アサガヤかアサカです。アサガヤ残存32輌。内ディアブロ2輌です。残りはカイエンのみ。アサカはベンティガのみ。スサノオコントロールの物はありません。...』
『... ディアブロじゃダメだ。アームが2個ではどうしようもない。運べるのを探せ!。カスミガウラはどうだ?。...』
『...テスタロッサあります。しかもスサノオ用レシーバ装着済み。ですが、飛行時間25分、装着に1時間となっています。スサノオのデータです。...』
『...それじゃダメだ。...』
降下するに従いクローズアップされる。
カーンのいないシムキャストからの声。
小人達が動いている。
せせこましく。
アルト大尉が命令を出している。
カーン将補の変わりに。
3等兵が補佐をしている。
なぜか...。
余程、有能なのだろう。
ここに上がったということは、数階級特進間違いない。
が、ずいぶん身体が丸い男だ。
鍛え方が足りないんじゃないか。
...ビュゥゥゥー...ババババババババババ...ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...
『...うわぁぁ...な、何だ...。...』
私の羽のアドバタイズが、機材を揺らし始める。
激しく。
シムキャストが間近になった。
小人達が戦闘用ヘルメットを押さえている。
この爆風で浮くのだろう。
...ズダドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
着地した。
一気に砂煙が噴き上がる。
巨大化した今。
私の動きや物理。
何もかもが緩慢。
海の中を歩いているようだ。
足の感覚。
ゴムの敷物の上に降りたような。
...ゴゴーーーーーーーーーーーン...
だが、砂煙、アスファルトが膝まで噴き上がる。
...ズズーーーーン...
歩くたび。
路面や街を絶望的なほど破壊する。
シムキャストが倒れそうになっている。
兵士達が慌ててガードバーにしがみつく。
近くに降り過ぎた。
『...うわあぁっ!。...』
戦車など紙の箱だ。
まるで。
私の着地の衝撃で方向が変わる。
「持って上がる。俺が。」
『...す、スターク...し、少佐..。...』
ミニチュアが見上げて来る。
アルト大尉が。
メガネがずれてる。笑
「2丁持って行く。」
『...え!?汗。2丁?...』
「どこにある?。早く出せ。」
『...い、今す、直ぐに。お、おい。エイブ?。な...お前、しっかりしろ!。...』
補佐の兵士。
女だ?。汗。
倒れて口をパクパクしている。
何で漏らしてるんだ。笑
威かしてすまなかったが、スレーターで見慣れてるだろう?。
『...スラッガーは13、13ストレージャーに。す...す...スサノオ...み...みぃ...民間の回線を捕捉...。な、何かしら...こ、この化け...兵曹...。はっ!。ろ、ローカル7。α117 有線を捕捉。民間の回線...。...』
この女。
可愛らしい奴。
失禁しても仕事はきっちりしてる。笑
スレーターの好みだ。
俺も好きなタイプの人間。
変な意味ではなく。
『...スサノオが?。...』
アルトはスラッガーどころではなくなったらしい。
『...重力制御室?!。α117。重力制御室からです。メリカトルトーア西棟重力制御室から。...』
「おい!。俺のスラッガーは?。スラッガーXはどこだ?。」
『...あ、あぁ...汗。す、すみません。第13装備隊。第13装備隊。...』
『...こちら第13装備。...』
『...スラッガーを。スラッガーXをスターク少佐にお渡ししろ。...』
『...スターク少佐....。うわぁ。あ...あ、み、見えました。今移動します。...』
「いや良い。取りに行く。」
『...す、すみません。助かります。少佐。..』
『...少佐に失礼の無いように。しかし...ひ、人が残っていたのか?...』
『...先程は残存0と。スサノオの...』
『...場所お分かりになりますか?。スターク少佐。...』
「大丈夫だ。ここから良く見えている。何か食ってるのもな。今、何隠した?。後ろに。笑」
兵士は兵曹が大きいから自分は見えないと思っている。
『...えっ。す、すみません!。ぷ、ぷ、プロテインバーであります!。す、す、も、申し訳ありません!。昨夜から、な、何もく、口にしていないものでして!。...』
細かいものは何にも。
「笑。大丈夫だ。40mの高さからでも、細かいものも見えると言うことを教えたかっただけだ。プロテインバー。問題ないぞ。だが、不味いだろう?。」
『...い、い、いえ。とんでもありません!。び、び、美味であります!。い、いつも、美味しいプロテインバーを、あ、あ、ありがとうございますっ!...』
「別に私が作っている訳ではない。」
美味て...笑。
『...も、も、申し訳ありません!。...』
『...識別子 O...X?。し、親衛隊です?。汗...』
親衛隊?。
『...?。何で親衛隊が。...』
親衛隊がメリカトル•トーアの重力制御室に?。
!
『...お!。おい!。メリカトルトーアが!。汗。...』
メリカトルトーアの照明が一斉に消える。
...ギュゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
反重力板が全て動きを止める。
各層で回転していた巨大な反重力板群が全て。
『...え!...』
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
メリカトルトーアは完全に光を失った。
停止したメリカトルトーア。
下から土煙が噴き上がっている。
『...スサノオがメリカトルトーアのコントロールに入ります!。メリカトルトーアのコントロール、イザナミからスサノオへ変わります。...』
遅かったな。
こんな事態なのだ。
さっさとスサノオ制御に変えるべきだった。
...ゴゴーーーーーーーーーーーン...
今度は離れて着地したぞ。笑
だが、砂煙、アスファルトが膝まで噴き上がる。
...ズズーーーーン...
...ズズーーーーーーーーーーーーーン...
兵士がスラッガーXを全身で指し示している。
振動で空中に浮きながら。
普通に指差すだけで分かるというのに。
「ご苦労。だが離れてくれ。危ないぞ。うっかり手を滑らせるかもしれない。」
無反応だ...。
ん?。あいつ、ラジュカムを置いてきたらしい。
飛翔する時アドバタイズでこの兵士は吹き飛んでしまう。
確実に死ぬ。
私の下がれと言うジェスチャーに、大丈夫だと言って敬礼をしてる。
この羽根で本当に吹き飛ぶぞ。
良いのか?。
とまたジェスチャーを送る。
え?。
分かりました。
のジェスチャーだ。笑。
小人が慌ててストレージャー(運搬装甲車)に走って戻って行く。
まるで子供と遊んでいるようだ。
あいつは中尉。
4〜50代だ。
だが、小さいと大人も可愛らしい。
ストレージャーは移動する格納庫。
装甲車。
高層ビルを横に倒したような大きさ。
シムセプトやシムゴードなどの機材を格納している。
中尉がストレージャーに戻った。
両腕で大きな丸を作る。
ハッチの影から顔を出して。
何でそんな笑顔なんだ?。
キャリアーはどうする?。
風で吹き飛ぶ。
が、面倒見切れない。
知らん。
...ガッツーーン...
スラッガーを拾う。
おっと。
握り潰してしまう所だった。
もう一本。
...ガシャアァァン...
スラッガーは軽い。
まるで紙の棒。
こんな物にキャリアがいるんだな。
これに比べてダンナの鉈の重さと来たら...。
ストレージャーから何人もの兵士が手を振っている。
二階の窓からも。
何でだ?。
さて、飛ぶぞ。
...ブゥワオオオオオオゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ...
私は飛翔をする。
スラッガーを両腕に抱え。
爆風がストレージャーやシムセプトを揺らしている。
もう、地上は豆粒。
スレーターのシムキャストもストレージャーも。
街路樹も道も。
『...全部止まった...メリカトルトーアが...』
アルトの声。
確かに...。
『...メリカトルトーア重力制御。スサノオと手動運転の連携制御に切り替わります!。重力以外の制御も全てスサノオに!。...』
ん!。
メリカトルトーアは逆回転を始めた。
...ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ゥゥゥゥウウウウーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴーーーギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーー...
反重力板が再び回転を始める。
より力強く。
...バシッ...バチィィッ...
ライトも反重力板もショートして火花を散らしている。
...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...
『...見ろ!。反重力板を!。あんなに高速で回ってる!。...』
スサノオはイザナミに比べて、出力過多だ。
今は私はサルファの中域。
高度600mにいる。
間も無くリンの所にたどり着く。
サルファ•マスドラの下の道路。
整然と区画された公道。
炭化した蝉人間の亡骸が転がっている。
至るところに。
頭を地面にめり込ませ逆立ちしたままの者。
土下座したまま息絶えた者。
仰向けに眠ったように死んだ者...。
命乞いをしたまま炭になってしまった者。
...ファァァァァァァーーーーー...
空から影が墜ちて行く。
...ドーーーーーーーーーーーーーン...
アスファルトに脚がめり込んでいる。
ギガサニーの雄が墜ちて行った。
『...降りてきたぞ。...』
...ズドーーーーーーーーーーン...
脚が砕けて骨が皮膚を突き破っている。
『... 逃げたぞ!。逃げたぞー!。...』
別のは体液を噴き上げ、脚を引きずっている。
...ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
ギガサニーの雄が次々と...。
どれも背中は酷く炭化している。
命がけで逃げる姿は人間と変わり無い。
『...エレーン!。エレーン!。ギガサニーが逃走しま...?。...』
『...隊長殿!。隊長!...。あれ?...』
必死に逃走して行くギガサニーの雄たちを傍目に、鋼鉄の巨人達が雑談をしている。
ここより遥か下。
このサルファ•マスドラの下層で。
腕組みをして宙に浮いている。
全く慌てる様子が無い。
100m超級。
銀色の赤ちゃんと、商用マネキン。
巨大な。
どちらも翼を持っている。
エレーンが右手にギガサニーの頭を握っている。
その長く鋭利な爪に無残にも串刺しにされ炭化してしまった真っ黒な頭。
怖かったのだろう。
ヤゴの様な口がいっぱいに伸びきり、触覚も真っ直ぐに伸びた状態で炭化している。
『... あと3匹。 ...』
『... チッ。地上に降りたわ。 ...』
『... あとは私とエレーンで仕留める。全軍の長である私が直々にな。他の兵曹は下がれ。 ...』
『... 助かったわ。そう。みんな下がって良いわ。傷を負った者以外はメリカトルトーアのサポートに回って。隊長さんと私でここは十分よ。 ...』
『... エレーン。さんはいらんぞ?。この場合。が、しかし、3体と言えど油断はできん。 ...』
『... 分かっているわ。でも全軍の隊長であるあなたがいれば心配は無い。 ...』
『... ゴホン。確かにその通りだ。エレーン。おまえは中々分かっておる。私の隊に ...』
『... 親衛隊長!。そこよ!。 ...』
メラニーだ。
『... いや。しばらく泳がすとしよう。デカい公道の真ん中で粉々にしてくれる。 ...』
『...ご苦労。スターク。...』
...ブゥワオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
吹き荒れる。
リンの放電翼のアドバタイズ風。
銀色、メタルの皮膚。
リンがこっちを向く。
青い光を放つ目。
諦めてビルから離れている。
「いえ。」
リンにスラッガーXを渡す。
...ゴーーーーーーーーン...
狙いを定める。
...ドーーーーーーン...
引き金を引く。
サルファマスドラの中。
暗闇に黄色い大きな光。
マナの複眼。
『...用意は良いか?。スターク。...』
...グゴゴン...
リンがショットアンカー スラッガーXを構える。
「はい。」
『...レビンを串刺しにしないようにな?。笑...』
「レビンはマナの反対側ですね?。」
『...分からんぞ。貫通して刺さるかもな。笑...』
「ダンナなら平気でしょ。」
『...あぁ。別に、奴なら刺さっても構わんか。笑...』
「確かに。」
『...お前ら。全部聞こえてるぞ?。真面目にやれ!。...』
聞こえてた。汗。
『...おっと。汗...』
...ゴガーーーーーーーーーーーーーーーーン...
トラガーを引く。
『...撃てーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!。...』
...ガッスーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ズダーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ガッスーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ズダーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
リンと私のショットアンカーが火を噴く。
スラッガーX。
太いワイヤーが二本メリカトルトーアの中に繋がっている。
...ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...
メリカトルトーアから残骸が降り注ぐ。
『... 引くぞ。スターク。 ...』
「了解。 」
『... レビンに貫通してないことを祈る。 ...』
「メリカトルトーアの中じゃレビンは何もできませんからね。 」
...ギュワゴゴゴゴーーーーーーーーーーギュワァァアアーーーーーーーーギュワァァアアアアアアゴゴゴゴゴゴ...
『... 動かんぞ。 ...』
『... マナが抵抗しています。あいつも強い浮力持ってます。 ...』
『...まだ、羽根もないのに。...』
...ギリギリリリリ...
『... くっ。ワイヤーが切れます。 ...』
『... れ、レビン!。レビン!。押し返せ!。 ...』
『... 押してるよ!。 ...』
『... 動力線を切るな?。今、親衛隊が手動で浮かしてる。制御室から。 ...』
『... 動力線?。どこにあるんだそりゃ?。...』
『...分からん。笑...』
『...あ?。分からんなら指示を出すな。おい。押すぞ。取り敢えず。頭かじられて痛えんだ。 ...』
頭かじられてる?。笑
『... 了解。そういう物があるのを知っといてくれ。 ...』
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
「レビンが炉を起動した。汗」
『... やむを得ん。中から出ないことには。引け!。 ...』
...ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...
「出てきた。デカイ尻。マナは昆虫に近いですね。」
『... ほら。もう少しだ。 ...』
メリカトルトーア内から閃光が走る。
...ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
「レビンが何か撃ちましたよ?。」
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...
...バスーーーーーーーーーーーーーーン...
巨大な鋏が引きちぎれて飛び出してくる。
『... おいおい。 ...』
『... 地上!。炭化しろ!。柱を掴んでやがった。 ...』
巨大な鋏が、回転しながら落下して行く。
回転し放物線を描きながら。
『... 引くぞ!。レビン押せ!。 ...』
『... おぉ!。 ...』
...ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン...
『... おりゃあ!。 ...』
...ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン......ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...バリバリバリバリ...ガシャーン...
『... 出たぞ。 ...』
『... 撃つ!。 ...』
え?。
...キュワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
もう躯体が...。汗
リンの放電翼が光を放つ。
...ココーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...
...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
リンの粒子線がマナの背甲殻で爆発を起こす。
マナの背中は深くえぐれた。
メリカトル•トーア全体がスパークする。
...ココーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
強い粒子線。
中から。
躊躇ない...。
...
...
...ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
マナの頭甲に炸裂する。
頭部の半分が飛び散って行く。
今度はレビンが撃った。
...ゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーー...
ゴツい軍事兵曹が姿を現わす。
メリカトル•トーアの中から。
...ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...
デブリが地上に墜ちて行く。
レビンだ。
細く吊りあがった鋭い眼光。
真っ赤な光を放っている。
金属の毛が生えた、ゴリラにもオオカミにも見える。
アメフトのヘルメットのような頭部。
カジキのヒレに似た放電翼が3枚。
最大に展開している。
...ババババババババババ...バシャーン...バリバリ...パリン...ガシャン...
『... 建築物、耐久率低下。耐久率。ガナン48%、サルファマスドラ東棟57%、西棟94%、メリカトルトーア西塔37%、東塔100%、北塔67%、南 ...』
『...もう撃てないぞ。撃ててあと1発...』
リンだ。
『... このザコが!。 虫ケラが!。ビルさえなきゃテメェなんざ一瞬で灰になってんだよ!。分かってんのか!。ゴォラァァ!。...』
レビンがマナの頭部触覚を握りしめている。
キレてる。
齧られたからだ。
...ズダーーーーーーーーーーン...
レビンがマナの頭部を殴る。
...ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
今度はチョップ。
...ブシャァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ギュワワワワワゴゴゴゴーーーーーーーー...
マナが悲鳴を上げている。
...ブシャァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
マナの甲殻が割れ体液が噴き出して行く。
...ギュワゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーーー...
マナが咆哮を上げる。
『...オラァ!。ゴォラァ!。...』
...ズダドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ズゴーーーーーーーーーーーーーン...
段ボール箱のようにめり込んでいる。
...ブシャァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
マナの頭部が見る間に潰れていく。
体液がビルの壁面を溶かす。
...ギュワァァアアアアアアーーーーーーーーーーーー...
マナはただ叫ぶだけ。
リンがマナの腹に蹴りをぶち込んでいる。
...ガッスーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ブシャァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーン...
...ズガーーーーーーーーーーン...
...ブシャァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ブシャァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
...ゴゴゴゴーーーーギュワァァーーーー...
...バリバリバリ...
...メリメリメリメリ...
...バリバリバリ...
...バリバリバリバリバリバリ...
スタークはマナの触覚を引きちぎっている。
甲殻から触覚、突起物を手当たり次第、根こそぎ引きちぎっている。
まるで集団リンチだ。
マナの巨体が軍事兵曹の打撃で歪に変形して行く。




