ダヌアの空へ169
….ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
ペネループの粒子エンジンが低く唸り始める。
フロアに伝わる細かい振動。
このオレンジ色の搭乗服が、緩いゴムのように身体を包み込む。
汗を吸い取り、体温でバクテリアや細菌を分解する。
乾燥時は常に皮膚から離れていて、適宜、発熱、放熱を行い、適温を保つ。
耐久性は高いけど既に7代目。
そろそろ在庫も底をつく。
決着をつけなければいけない時期だ。
「…メイン..スラスター点火..」
「…了解..メインス..ラスター..点火…」
第1操舵手ビクトリオ・カンパーニャと第2操舵手ナムラ・リオの声が聞こえる。
俺のシートは操舵手ブースに近い。
….キィィィィィーーーーーーーーーーーー…
…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
スラスターがペネループの艦体を徐々に加速させる。
やっとだ。
やっと動き出した。
ペネループは作戦モードに復帰。
状況の把握も、時差の理由も明確になった。
だが、クルーの記憶、ペリシーダ(ペネループの人工知能)の記録も、この数十分でかなり消えた。
いや、書き換わってる。
俺の記憶と違和感は残したまんま…。
「ディアッカ。大丈夫?。顔色悪いわよ?。」
第2戦略担当のアンドレア・カーネルが声をかけてくる。
あ…。
「あぁ。汗」
こいつも10分前までは、俺と同じ疑問持ってたのに….。
「..提督殿..北…アトラ…宣…布告…」
?…。
布告?…。
遠くで艦長が提督と話してる。
「…あ…う…」
提督の声が遠くて聞き取れない。
..キィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーー…
スラスターはますます出力を高める。
全方位モニターが、ゾーグ平原の全てを死角無く映し出す。
床、壁、天井、全てが超高解像度モニターだ。
現実を遥かに超える鮮明さ。
艦を降りると、景色がモノクロに思えるほどだ。
計器類、操舵装置、以外は、全て透明。
緑色の光がペネループの船体を模ってる。
明るく鮮明な景色と対照的に、人やパーソナルスペース、そして、操作パネルは深い青い影を纏ってる。
まるで地底のハイテク都市のように。
計器や瞳、パイロットスーツに付属しているパーツが色とりどりの蛍光色を放っている。
あ、そうだ。
このコンタクトで、個別に計器が見えてる。
そして、あの、なだらかなピラミッドのように並ぶ指揮ブース。
フロアから少し上の高さにキャプテンのピート•マーレン。
その一段上、左側に副長のオオタカ•カンジ。
僅かに高く、同じ段の右側に艦長のカルボ•ゴーン。
最上段におられるのが、第七師団 総司令 アンヌ•ヴァレンティン 提督だ。
第七師団の旗艦ペネループは、50mの機体の割にデッキ(操作•作戦室)が大きい。
アギュラー•ラムダと似た形。
薄い多角形。
カメムシの親分か、アルマタイトのカメムシって呼ばれてる。
….グゥ..ウオ..オ…ォォ…
指向性スピーカーが怪物の声を拾う。
ニュアンスを再構築して伝える。
小さな音なのに本物よりリアル。
本物の咆哮よりもけたたましく恐ろしい…。
前方にいる300mの化物。
その隣、結晶山G8bbと比較して、かなり大きい。
煙を纏っている。
あれに付着していた土砂だ。
巨体過ぎて、全ての動きが緩慢。
透明な空間に赤いゲージが浮き出る。
ボルボーレの大きさ、質量を示している。
質量は測定不能…。
はっ!?。汗
何か来る!。
飛んでくる!。汗
接近して来る。
ぶつかる。方向が同じだ。
ペリシーダが全方位モニター上に、緑色にマークする。
大きな岩?いや破片?。
おいおい…。
甲殻の破片だぜ…汗。
回転しながらペリシーダの付けたマークが赤く変化して拡大する。
《18m…1980トン…秒速67m》
何と言う重さ。デカさ。
ボルボーレのものだ。
レオパードの砲撃で弾き飛ばされた。
ウィルハの援護のおかげで俺たちの攻撃が効くようになった。
…ドゴン…
…ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…
艦が揺れる。
防御シールド ファザスが自動で展開した。
….ググググ…グググ…
ペリシーダが2回連続で船体を傾ける。
「くっ…汗」
強いGが…。
回避運動。
第3戦略担当 少尉エルメル・ダインのシートに、射撃パネルが降りてくる。
エルメルが手動で射撃する。
「….ケラ..ウノ..ウス 1番…2番…Fire!…」
あれを、わざわざ声に出すのはハズい。
だから射撃はリーダーはやらない。
…ポーーーーーーーッ…
…ポーーーーーーーーーーーーーッ…
赤い巨大円の甲殻目掛け赤い閃光が伸びる。
ペネループの粒子砲ケラウノウスが火を吹く。
ペネループのケラウノウスは射程は短いが、甲殻の針路を変えるには十分。
飛来物の破壊、自己防衛が主目的。
….ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーン…
….ザザザザザザザザ….
艦の後ろで甲殻が砕け散る。
ゆっくりと破片を噴き上げる。
黒い花火のように。
砕けるとは思わなかった。
脆くなったままなのか…。
「総員、耐閃光防御!。」
!?
ピートの声。
隙もミスもない。
ピートの声と姿が、第七師団の指揮の象徴。
提督の存在、そして、ピートの命令が師団全体の士気を直接左右する。
師団は俺たち抜きで良く持ち堪えた…。
抜き?…。
持ち堪えた?。
何の話だっけ?。
!?
暗くなった…。
全方位モニターが光を落とす。
多分、大きな発光が来る。
….ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーー…
….ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーー…
….ゴゴーーーーーーーーーーーー…
洪水…。
光線の洪水…。
現実の世界に現れた神話の神の。
…ググググ…
ペネループが船体を水平に建て直す。
こんな数、存在するの知らなかった。
神は無機質ではなく、荒々しくリアルな生物。
ウィルハ達が取り囲み、シュープリーム光線…いや、白輝線の洪水でボルボーレに足止めを食らわせている。
ケーブルテレビで子供たちに大人気のマーツマンにウィルハが似てることから、ウィルハの繰り出す粒子線の名前は、シュープリーム光線になってしまってる。
アルカロンに似ているが、組成と出力が違う。
そして、なぜか、ボルボーレの防御を無効にしてる。
...ソーリャッソーリャァァ...ソーリャッソーリャァァ...ソーリャッソーリャァァ...ソーリャッソーリャァァ...ソーリャッソーリャァァ...
メインモニターと収音マイクがタイクーダイと装甲歩兵達にフォーカスを当てている。
ミニチュアのような白い御輿。
空高く放り投げられる。
タイクーダイを乗せたまま。
群がる数千の装甲歩兵が土煙を巻き上げながら。
4体の人型戦車 ジャミー86が、装甲歩兵を援護している。
バイバルスの大太鼓と、ヘーゲルレントの笛。
...ピーーーッピーーー...
...ドン..デーン...ドーーーーーーーン...
...ピーーーッピーーー...
...ドン..デーン...ドーーーーーーーン...
2台の神輿が、装甲歩兵、ジャミー86たちに担がれボルボーレに向かう。
1番トーマ(棟梁、指揮者)は、相変わらず台座の上で舞っている。
装甲歩兵の花形、バンガルーロ•バン•パタンが。
トーマの動き、笛、激しい踊りに従い、神輿は激しく動き方角を変える。
地下帝国アモイの聖獣タイクーダイは完全に目を覚ましている。
この激しい規則的な動きが無ければ、タイクーダイは直ぐにでも重い瞳を閉じ、永遠の眠りについてしまう。
時空を超える強い睡魔は、片時もこの聖なる生き物を放っておかない。
しかし…。
あの巨体が、梯子の上であれだけ俊敏に激しい動きを続けられるのが不思議だ。
痩せないのも。
バンの舞は圧巻。
逆に、目を覚さない方がおかしい。
俺たちは、ここに来るまで、タイクーダイが実在することを知らなかった。
広大なハノイ国立動物公園の地下にいると言う都市伝説はホントだった。
あの、動物園にいるギガサニーや、ザバナ、ギリノア…ケラムなどの化け物は、目眩しに過ぎない。
タイクーダイはハイドラの裏の守護神。
ハイドラは、地下帝国アモイの再来。
タイクーダイを担げた、幸運な師団は俺たちだけ。
前の提督カルバラルトのくじ運に感謝だ。
なぜなら、他の師団は、別のボルボーレたちに滅ぼされてしまった。
あいつと比べ、圧倒的に小柄。100mを越える個体はいない。
それでも、タイクーダイ無しには、歯が立たなかった。
そして今、そのボルボーレたちは、それぞれ、この広大なゾーグ平原を、爆発的な速度で進軍している。
ハイドラに向かって。
数年で、最南端ダヌアに到達する。
数は9体。
砂獣ヤーの大群ですら止められない。
ハイドゥクや、アンティカ達は、ボルボーレをどうやって排除するのだろうか…。
デューンは、数万年をかけ、ボルボーレを使い、世界最大の領土を獲得した。
アマル帝国が巨大な象なら、デューン共和国は更に巨大な鯨だ。
太古の昔、バッカス1世が建国したデューンは、ダルヴァン21世からアルシャーン13世の代までの永い永い間、内政に専念をせざるを得なかった。
広過ぎる領土、多過ぎる民族と人口。
世界の火薬庫と言われ、内戦が絶えなかった。
デューンの歴史的な大粛清はそれはそれは凄惨なものだ。
この星のあらゆる歴史の中で。
そして、クセルクのそう祖父であり偉大なる霊王ダリューン1世そして、祖父のダレイオス24世、父であるダイダレス13世、バッカスの正当な血族達が、その驚異的な指導力で数万年続くデューンの内戦を終わらせた。
それは世界を震撼させた。
眠れる獅子は目覚めた。
クセルクに代が変わり、デューンは再び外へ野望を持ち始めた。
そして、クセルクはデューン史上最強の大霊王と言われている。
...ソーヤ....エンヤ..エンヤ..ヨヨサノ...サッサ...ソーヤ..エンヤ..エンヤ...ヨヨサノ...サッサ...ソーヤ....エンヤ..エンヤ..ヨヨサノ...サッサ...ソーヤ..エンヤ..エンヤ...ヨヨサノ...サッサ...
トヨコの歌っていた歌…。
イズモ神殿の大神官。
しかし、トヨコの声や節回しとはまるっきり違う。
この歌は…いったい誰が..?。
トヨコの歌は荘厳な宗教音楽、しかし、この歌は、まるで違う。
美しい女神の祈りの歌…。
6966.3.13 36:12
?汗
じ、時間が…。
10年近く飛んだ…?汗
まただ!。
?
「…ィアッカ!ディアッカ!聞こえないの!?」
エルメル・ダインが顔を覗き込んで来る。
こいつは第三戦略担当。
複数の大隊の指揮者。
「あ..あぁ…」
「また、時計を見てる…ディアッカあなた何だか変よ?。」
そもそも、この女がこの緻密なペリシーダの時計がずれている事を指摘した。
「ねぇ、ラムダ13のシグナルをキャッチしたわ。」
「あ…あぁ。」
「ねぇ。大丈夫?。ピートに相談したら?。ひと段落ついたら何時間か休みを貰えるわ。」
ピートの髪は薄い紫色に変わった。
彼のトレードマークはブロンドだった。
しかし、今は、誰もがピートの髪の色は元からこの色だったと言う。
それに、ペネループの外部装甲の色…。
以前はシルバーだったはず。
それがいつの間にかゴールドに。
あの時からだ。
ペネループは強い光に飲まれ、クルーの誰もが眠りについた。
副長や、艦長だけではない。
アンヌ提督までもが。
俺も間も無く記憶を失った。
しかし…。
「350km後方にジゼルベッド級3000…合流するのかしら…。」
アンドレア・カーネルの声だ。
2人の声はよく似ている。
「ディアッカ?エンジェルからよ。出られる?。」
エルメル・ダインがまた顔を覗き込む。
「あぁ。」
モニターに、黒髪のエスニックな顔立ちの女が映る。
アギュラーラムダ9のエンジェル•マルチネート少尉だ。
そのはずだ。
この女、こんな顔だったっけ?。汗
『…バルデス..の..新鋭艦隊は…マルデックの原子力砲に…全く対応できていないようです…』
?。原子力砲に?。
アトラの前世代の航空要塞マルデックは、旧世代のデューンの戦闘艦 ジゼルベッドに駆逐された骨董品。
もう200年以上も前のこと。
そのマルデックを北アトラは20基も隠し持っていた。
こんなリサイクル方があったとは…。
『…バルデス…大艦..隊は…現在..117°..線まで….後退して…います…』
「大分後退したな。」
『…えぇ…下がらざる…得ません…バルデスは..既にジ•ハーン級1艦…ジルカンダー級4艦を失っているので…』
「原子力砲で?汗」
旧世代の遺物で?。
『…そうです..原子力…砲です…間違いあり…ません…エネルギー…組成も同じ…エネルギー量…も同じです…約4000前後…カルーデラ数です…』
4000前後…。駆逐艦すら落とせないレベル。
ジ•ハーンやジルカンダーは、最新のエネルギーシールドを搭載している。
『…ぁぁ…あ…トル..カカ..が…トル..カカ..が..』
「ゴンドアナ接近中!…アトラの航空要塞 ゴンドアナ接近中!距離約8万。」
第一レーダーのファティマ・ハサンが叫ぶ。
「もう1基ワープして来ます!。いや、5基…北アトラのゴンドアナ5基出現!」
ゴンドアナが?!。汗
「北アトラが第2外郭艦隊を出して来たわ!。ピート!」
第二レーダーのサラ・ハーランドは動揺を隠せない。
彼女はレーダー部門のリーダーだ。
デューンと取引をした?。
ダルバザを奪うより、デューンと共謀してハイドラを…。
『…マルデック…が..中央翼を…明けるわ!…』
!?汗
な、なんで!?。汗
「わ、ワープして来た!。汗。あ、あ、アロワスター!。アロワスターだ!」
アロワスター!?。汗
「アロワスター?汗」
「アロワスターが?」
アロワスターは北アトラの旗艦。
恐らく、若き総司令官が乗っている。
バルデスのシシィ•ドールとの決戦になるのか…?。
「マルデックの背後20kmの位置に到達!別のゴンドアナを引き連れています。」
「…あ…あぁ..ち、違う!第2外郭艦隊じゃない!S.J.A.だ…S.J.A.の方だ!北アトラの主力打撃群です!サー・ジェニファー・アブソリュート来ます!。」
え...汗。
いきなりガチなのぶち込んできた…汗。
第三レーダー担当ボクスター・ライリーの声もうわずっている。
「ハリーヤ、ベイルーブ、モガミ、マルデック北アトラ艦隊の中央翼に進軍!」
え?。汗
あの3艦は原子力砲を持っているが…。
状況が見えない。汗。
『…ペネループ ピートより全軍へ。6966.3.13 36:24同盟国 アトラ合衆国連邦 北アトラ合衆国はデューン公国に対して戦線布告を行った。繰り返す。こちらペネループ ピートより全軍へ。…』
せ、戦線布告?!。汗
北アトラのダルバザとゾークへの介入が現実のものに…。
北アトラがハイドラに加勢する?。汗
何でそんな不利なことを…。
「ディアッカ!ボルボーレの動きがおかしい!」
ピートが叫ぶ。
あわ…ゎ…。やべぇ。忘れてた。
「ボルボーレから高エネルギー反応!。」
『…何あれ!。…』
「何が!?。」
『…あれよ!…兵曹が!..小さな…兵曹が.,いるわ!…』
ペリシーダがモニター上の飛び跳ねる何かをマーキングする。
ウィルハ達の足元に。
「そんなはずはない。兵曹はまだここには到達してない。」
ジーンは、致命的なダメージを受けユーフォウムが出来なくなった。
兵曹達は、ここから少なくとも700km離れた位置にいる。
近くには兵曹は一体もいない…。
「ディアッカ!ドリスデンから入電よ。」
ドリスデンが取り乱している?!。汗
『…トル..カカ..がいるわ..よ!こんな…とこ…にトル..カカが!..何..でよ!何..やっ..てん..のよ!…何とか…してち…ょうだい!汗…。』
バカな…汗。
「あいつらは南南東700kmの位置に…。」
『…何…あぁ…あに…やってんの…おォォォッッ!..早く!…私たち..の足元!..すぐここに…いんのよ!…』
「拡大します!」
え….汗。
「ひっ!汗」
あ….ぁ…ぁ…汗
あ、あの小さいのが….い、いつの間に…。
「…. と、トルカカです。」
あ…。汗
あぁ….。汗
飛び跳ねてやがる。よ、喜んでる…。汗
な、な、なんで?。汗
「何やってんだ?あのクソガキ…汗」
ファティマ唸るように呟く。
「シュープリーム光線よ。シュープリーム光線の真似してる。マーツマンの。」
「いや、この場合はマーツマンではなく、ウィルハの…。」
アンドレア・カーネル…またとボケたことを…こんな時に…。
「どっちでも、えぇわ!汗。」
な….何で…汗。
「あ、あの子、マーツマンの大好きな子でしょう?汗」
「し、知らん!汗」
しかし….。
「ど、ど、どうやって…?来た」
ボルボーレに食われたら、何もかも終わりだ。
『…ユーフ..ォウム..を覚え..たみた..い!汗…』
ゆ…ユ…ゆ….。汗
….TRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRRRRRRRRRTRRRRRT…TRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRRRRRRRRRTRRRRRT…….TRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRR…TRRRRRRRRRRRRRRRRRRRTRRRRRT…
…
「ぼ、ボルボーレがトルカカに反応しています!」
….グゥウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….
….グゥウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….
…
….グゥウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….
眩しい!..。
「全てのウィルハからまた高エネルギー反応!」
「ウィルハがまた白輝線を撃つわ!」
….ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーー…
….ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーー…
….ゴゴーーーーーーーーーーーー…
「ウィルハ。隊列が崩れてる!。」
ウィルハの大きい個体が隊列から離れる。
一際大きな個体の一つ。
トルカカを探してる。
大はしゃぎで飛び跳ねている子供の兵曹を。
いつのまにか、ウィルハの隊列の前にまで来てる。汗
何だこのクソガキは…。
全ウィルハに動揺を与えている。
ウィルハの白輝線が途切れた。
ボルボーレが動き出してしまう。
!?。
「トルカカが逃げてるぞ!泣。」
ファティマの声が悲痛な叫びに変わる。
「やだ…はしゃいでるわ…あの子。」
バカか…。汗
ボルボーレはトルカカを狙っている。
虎視眈々と。
この距離なら一瞬一撃だ。
ボルボーレにトルカカが食われたら終わり。何もかも。
あのトルカカのハレのヒズチソのエネルギーは、全てのプリズムドームを全開にしちまう。
そうなれば、ハイドラどころか、世界が滅亡する。
どんなことをしたって、止めることは出来ない。
こんな化け物を100匹も世に放ったら..。
『…ペネ…ルー.:プ!…トルカカ…を.ガブリエル…が連れ…て行く!…ガイドを…して…ちょうだい!…』
それがあのデカい個体の名前…。
「こちら、ピート。了解した。ハウザー!ドリスデンに経路、回避地を指示。」
「アイアイサー!。」
ガブリエルがトルカカを捕まえた。
「うちの娘もあんな感じよ。人様のことを言えた義理ではないわ。」
知らん!。怒
『…ウィル…ハが….タイク…ーダイの…攻撃と…合わせて…頭部…砲火を…集中させろ…と..言って…いる..わ…』
ドリスデンがウィルハの意思を伝える。
「ジェベット!。レオパード全隊とティゲル全隊へ!。ハイパーリフリートとアルカロンを全弾集中!ボルボーレに息も吐かせるな!」
「了解!全砲火をボルボーレ頭部に集中!ピーカー隊とジャミナキラ隊をレオパードから分離!独立隊を組織!ラムダ5とラムダ11に指示!」
..ソーヤ....エンヤ..エンヤ..ヨヨサノ...サッサ...ソーヤ..エンヤ..エンヤ...ヨヨサノ...サッサ...ソーヤ....エンヤ..エンヤ..ヨヨサノ...サッサ...ソーヤ..エンヤ..エンヤ...ヨヨサノ...サッサ...
大神官?の歌声に続いて、装甲歩兵が合唱をする。
心地よい不協和音。
最新の装甲を身につけていても、ヒドゥイーンは、信仰心の深い民族。
「おぉ…ぉ…汗。」
た、タイクーダイが立ち上がる。
完全に目を見開いている。
人間のような、いや、神のような目、瞳…。
深い叡智に満ちた慈愛の目。
地下帝国 アモイの聖獣。
20mのアンモナイトにも似た、巨大な目を持つ鳥…いや、脚のついたオウム貝。
まるで鳥のような脚。
ゆっくりと立ち上がる。
牙のあるクチバシ。
開いた!。
…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
ほとばしる黒い光…。
黒い光。汗
焼けるほど眩しいのに、目の奥に残る残像は、眩しさや光ではない。
黒い輝き?闇?だ…。
黒輝線…。
「タイクーダイ4号が黒輝線照射!」
….グゥウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….
「おぉぉ…ボルボーレのバイタル..一気に下がります。」
「ウィルハの白輝線でボルボーレの防御力が下がっている!」
エネルギー解析のヘイゲンが叫ぶ。
...ソーリャッソーリャァァ...ソーリャッソーリャァァ...ソーリャッソーリャァァ...ソーリャッソーリャァァ...ソーリャッソーリャァァ...
装甲歩兵たちの掛け声が大地にこだまする。
「タイクーダイ2号黒輝線照射スタンバイ!」
...ピーーーッピーーー...
...ドン..デーン...ドーーーーーーーン...
...ピーーーッピーーー...
...ドン..デーン...ドーーーーーーーン...
バイバルスの大太鼓と、ヘーゲルレントと笛が、タイクーダイそして、装甲歩兵隊を鼓舞する。
凄まじい活力。
炎のような熱気。
この熱気と躍動により聖獣タイクーダイは目を覚ます。
既に2体は不遜なことに、犬神が口から真っ二つに引き裂き殺してしまった。
生々しい巨大な肉片と、華々しい悪臭を放ち腐ってしまった。
しかし、ゾーグ平原のその場所に、水が沸き、池が出来、森ができた。わずか数時間の間に。
タイクーダイは、ナジマと並ぶ格の高い生き物。
神に近い崇高な生き物。
本来は悪神や我々人間が見ることも触れることもできないもの。
今は亡き、エメドラドとトヨコが具現化させ、ハイドラの守護に据えた。
エメドラドもトヨコも本来は、エネルギーも流派も世界も何もかもが異なる別々の神官。
それぞれが100万年に一度現れるか否かの奇跡の救世主。
それが2人、いや3人同時に、このハイドラに現れた。
「レオパード1号、3号、4号、8号、砲撃準備完了。リングフルアップ中!。」
「ティゲル1ホーク隊、ティゲル2カイト隊定位置に到達します。」
「ジェベット!任せる!。」
「アイアイサー!」
「粒子砲照射!」
….ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
….ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
….ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
…コーーーーーーーーーーーーーー
….コーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ティゲル2コンドル隊、ティゲル2イーグル隊スタンバイ。」
「レオパード8、16、21砲撃待機中。」
「ボルボーレのバイタル一気に下がります!」
ティゲルとレオパードの波状攻撃が始まる。
ガブリエルがトルカカを抱き上げたまま飛び上がる。
….グゥウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….
ボルボーレは気づいている。
「ぼ、ボルボーレが!。」
「た、立ち上がるぞ!。」
立たせてはいけない!。汗
地面を踏むと同時に、界面爆発の衝撃波で、何もかもが吹き飛んでしまう。
「立たせるな!ボルボーレを立たせるな!。」
「頭部への攻撃を強化!波状攻撃の間隔を2.3に。」
うわっ!眩しい…。
ウィルハ達が白輝線を撃つ。
….ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーー…
….ゴゴーーーーーーーーーーーーーーーーーー…
….ゴゴーーーーーーーーーーーー…
….グゥウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….
ボルボーレの巨体が怯む。
ボルボーレはウィルハの白輝線の洪水を浴びて立ち上がれない。
「ボルボーレのバイタル一気に下がります!計測 67,66,64,62…間も無く60を切ります。」
あのラプロスですらここまでダメージを与えることは出来なかった。
「気を抜くな。このまま、波状攻撃を続ける。」
「航空第二隊アルマダイ枯渇します。」
「次の攻撃後、第2隊は離脱。第3隊後方にスタンバイ。第1隊のチャージ状況は?。」
「第一隊、補給率45%。」
「バラッカスを呼べ!。」
「レオパード第一隊間も無くアルマダイ枯渇、第二隊スタンバイ。」
「了解。ボルボーレに隙を与えるな!。」
「バラッカス3が45秒後に到達、補給援護に入ります。バラッカス8後方8000。間も無く到達。」
「この調子で行けば、早ければ、数時間以内に決着が着くかもしれん。絶好のチャンスだ。」
「ピート!。犬神が来る。」
アンヌ提督が…汗
「犬神が?」
犬神はバイキールの魔女たちと交戦中のはず…。
一時は魔女たちが優勢だったはず…。汗
ピートは副長を見る。
負けた!?。汗
え!?。汗
バイキールの魔女が負けた!?。汗
俺はピートと目が合う。
レーダーから消えてる!。汗
れ、れ、レオパード11…婆さん達は?。
魔女が負けた!?。
ま、負けるはずが無い…汗。
絶対的な切り札が?。汗
「ラムダ9からは何の情報も…。」
「エンジェル!?」
交信が途切れてる…。
「ダメだ繋がらない…。」
パスカルの悲痛な声。
「ジーンとササーンはまだか?。ジーンはどこにいる?。」
ピート!?。汗
魔女たちを諦めた?。
あわ..わ…ゎ。汗
「ま、ま、間も無くです。今、結晶山81地帯に到達しています。時速500kmでこちらに向かっています。」
「ゾアーグ(犬神)が来る。急がせろ。」
「ジーンの速度がかなり落ちています。」
既に3時間、彼等は全力で走っている。
体温も500℃に到達している。これ以上は無理だ…汗。
….BOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA….
うわっ!。汗
「ひっ!汗」
「ヒィィ!泣」
も、も、1番ヤバいタイミングで…。泣
ボルボーレとウィルハとの間に巨大な影…。
少しずつ鮮明に…。
「犬神だ!。」
ひっ!汗
「うわあぁ…汗。」
「ま、まさか…。」
「う、嘘でしょ?汗。」
犬神だ…汗。
『…来た…わ!..犬神よ!…ミカ…エル!気をつけて!…』
パスタップがドリスデンの声を拾う。
「犬神だ!。」
40m級のウィルハ達が小人に見える。
巨大なアヌビス神…。
ウィルハの天敵。
ウィルハたちを滅ぼし、悪神や、醜いゾークの化け物に変えた悪魔。
200mの巨体…。
….BOOOOOOOOOOBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA AAAAAAAAAAAAAAAAA…
大地に轟く犬神の雄叫び…。
ペネループが振動してる。
鼓膜が吹き飛びそうだ。
砂の巨大な竜巻が、噴き上がり天から舞い降りる。
犬神だ!。間違い無い!。
「ウィルハが!。」
「ジーン達は!?。」
「30分遅れています!。」
間に合わない…。
トルカカがボルボーレに喰われてしまう…。
「も、もう一体!犬神が…」
!?。汗
2体とも生きていやがる?。
「狼狽えるな!そいつはもはや青の分身。独自の思考では動かない。青を倒せば…。」
「ピート!こいつも意思を持ってますよ!。」
どうなってんだよ!。
確か…1匹死んだよな?。汗
「犬神実体化します!汗。」
ほ….ホントにバイキールの魔女が負けた?!汗。
「レオパード11は!?汗。」
ピートが声を荒げる。
…ズドーーーーーーーーン…
…ズーーーーーーーン…
実体化した犬神が大地を踏み締める。
地面が波打っている。
あっ!?。汗
ガブリエルが引き寄せられる!。
まるで強力な磁力に引き寄せられるように。
ガブリエルが必死になればなるほど、犬神に引き寄せられている。
犬神の前では、巨大なガブリエルはまるで小人。
ウィルハたちも、レオパードも、ボルボーレから手が放せない。
ぜ、絶対絶命や…。汗
「煙が…。」
煙が…?。
何の?。汗
虹色の煙…濃くなって来る。
「識別可能!…味方だわ!…さ…サビアノーア?。」
チャクラの兵曹が…。
サビアノーアが?。




