居場所を捨てた妖少女・エピローグ
エメラルドグリーンに煌めく海に、少年は居た。
飛行機が墜落した一報がニュースに流れたので、ここから見えないかと思って走って来たのだ。
かなり近い所だったので珍しいさにとっさに家を飛び出し海岸沿いへと駆けていた。
さすがに近くといっても地平線の彼方らしく、煙が立ち上っているくらいにしか見えないが、それでも一応見ることはできた。
辺りに人はいない。
皆、もっと見やすい海岸の方に集まっているからだ。
少年が居たのは岩礁が幾つもある場所だった。
申し訳程度に砂浜があり、その場への移動手段は泳ぐくらいしかなかった。
そのため、少年の服は濡れていた。
わざわざこの島へと泳いで来たのだ。
事故現場に一番近い無人島。
彼らの住まう島からも結構離れた場所にあるが、大陸棚に入る前の浅瀬が続いているので子供が泳いでくる事も可能な島だった。
「ぶはぁっ。よ、ようやく追いづいだぁ」
頭を丸刈りにした彼は頭をワシャワシャっと掻いて水滴を飛ばす。
飛ばされた水滴で虹が出来た。
それを見ながら首を左右に振ってさらに水分を振り飛ばす。
服を脱いで水分を絞っていると、少年のすぐ前で海面が盛り上がり、そばかすだらけの少女が顔を出す。
「遅かったな根唯」
「あたしは運動苦手だべ。一緒にされてもこまっべよ雄也……って」
少女は少年の視線が自分に向いていないことに気付き視線を追って行く。
岩礁に囲まれた水面の一部に、何かが居た。
「うわっ、ちょ、女の子!?」
少年と少女が見つけたのは二人の少女。
打ち付ける波にさらされながら、海岸に乗り上げ気絶していた。
ゴシックロリータの服装を着た金髪の綺麗な少女と、赤く染められた髪を左右で縛った少女だった――
ついに妖少女第一部完まで漕ぎつけました。皆様応援ありがとうございます。
第二部は逃走編です。しばらく別の作品を書いて、忘れた頃にでも始めようと思います。まだ構想段階ですので(^^ゞ
いつになるかわからないのでとりあえず完結設定にしておきました。
よろしければ『その彼の名を誰も知らない』の第二部も覗いて下さるとアルセさんが笑顔でくるくる踊ります。




