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妖少女  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三節 七人同行
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九尾出現

「それにしても、わたくしが失敗したこと、何処から洩れたのかしら? 第二班が告げ口? 雲外鏡がいるからそれならばわかりますが……」


 やってきた土筆は顎に手をやって真剣に考え始める。


「どうでもいいよ。来る奴拒まず潰せばいいし」


「そういう問題ではありませんわご主人様。敵に情報が漏れていると言う事はこちらの目的を妨害される可能性があると言う事でもありますの。どこへ向うか気付かれれば先回りされていてもおかしくありませんわよ」


「いいんだよ」


 そうどうでもいいのだ。敵がいるなら薙ぎ払う。

 ソレ以外もうどうでもいい。

 敵を倒す。いなくなるまで倒す。ソレ以外にはもう、興味は無い。


「何が良いのかわからないけど……成る程、まさかあなたが裏切るとは思わなかったわ」


 一瞬、背筋を悪寒が駆け抜けた。

 その声の主は私の目の前から悠々歩いてくる。

 OL服の女が現れた。さらにその背後から痩せ気味俯き加減の男も現れる。


「来ましたわね。【九尾之狐】と……まさか。そんな……【七人同行】……?」


 七人同行? なんだそれ? いや、待て、確か似た様なのは調べたことがある。【七人岬】や【七人童子】だ。

 七人岬は溺死した七人の霊が集まり七人を誘い殺すまで成仏しないという災厄の怪異だ。

 七人童子は香川県の四辻で出会う怪異なのだが私が調べた資料には大したものは無かった。

 その資料の中で、似たモノに【七人同行】が存在すると情報が載っていたのだ。

 ただ、その七人同行についての資料はなかった。


 おそらく意図的に隠されていたのだろう。

 この妖能力がどんなものなのか、私や他の一般人に漏れないようにしているのだろう。

 情報操作? 多分そうだ。


「わかっているわね【天井下】。あなたがそちらに付くということは、確実に死ぬってことが確定したってことよ? 折角目を止めてやったのにっ。恩を仇に返しやがってッ!!」


「あら? わたくし目を止められていたのですの? 冷酷に突き離されたようにしか思えませんでしたわ。今回の作戦をこなしても次で失敗すれば抹消確定でしょうに」


「当然よッ。無能に興味などないわ」


「それが恩だなどと恩義せがましいですわよ玉藻さん。わたくし、むしろ逆に恩を仇で返された思いですのに。あなたが第二班から分かれる時、あまりに杜撰な管理体制を苦労して確立させたのが誰か、忘れたとは言わせませんわよ?」


「知るかッ。あんたが勝手にやったことだろうに!」


 ……無能な上司を持つと部下が優秀になると聞いたことはあるけど。その典型か。


「土筆、あの九尾と因縁あるみたいだし、やってみる?」


「はい。奴は確実に足を止めさせておきますわ。それより【七人同行】には気を付けて下さいまし」


「分かってる。危険なんだよね?」


「はい。どれ程殺しても七人殺すまで確実に復活して襲ってきますわ。そして存在を見るだけで病魔に侵され衰弱して行くそうですわ。出来るだけ視界に収めず潰すのが常道ですのよ」


 と、土筆が説明を始める。

 どうやら【七人同行】は七人岬と同じ能力があるらしい。

 問題としては見ただけでこっちが衰弱して行くことだろう。


 暗殺班内でも滅多に見ることのない存在であり、同業者の叛逆等があった場合や、災害級の妖使いが相手でなければ出てくる事のない妖使いだそうだ。

 そのどちらもここに存在する。

 うん、確実に漏れてるね。


 どうやって情報を得てるんだろうか?

 確かにちょっと気になってきたな。

 ヒルコにでも調べてもらうか。

 

 でも遠視系能力だと手の打ちようないしな……

 まぁいい。今は【七人同行】だ。

 ヒルコから出された草薙の柄を手にして走り込む。


 不気味に佇む【七人同行】に一撃必殺とばかりに一薙ぎ。

 真っ二つに分かたれる男。

 あまりにも手応えが無さ過ぎる。

 殺しちゃったけど、これでいいのか?


『有伽!』


 ヒルコの言葉でギリギリ反応で来た。

 真上から飛びかかってきた女性のナイフに草薙が向う。

 そのままナイフを弾いて女を二つに裂いた瞬間、背後から襲いかかって来る中年サラリーマン。

 鞄を振り上げるバーコード禿のそいつは、鞄をフルスイング。


 ヒルコがこれに反応するが、衝撃が重かったらしく呻きを洩らしていた。

 どうやら鉄板か何かが入っていたようだ。

 なんとか受け止め反撃とばかりに稲穂のナイフで切り裂く。

 喉を切られたサラリーマンが崩れ落ちる。


 まさか一人と思わせて三人がかりだったとは。

 でもそれでも温い。

 彼らは妖能力すら使って来なかったのだし……?


「そういうことか……」


 思わず私は呻きを洩らした。

 一番最初に殺した男が、私の視線の先に佇んでいたからだ。

 つまり、不死身。

 七人の犠牲を出すまで彼らは成仏する事は無いのだ。

 ようするに、死なない。

 七人殺すまで無敵の存在。


「確かに、私を殺すにはうってつけの存在ね」


 私を殺してもまだ四人。【黴】が蔓延して喰われても復活するらしいから問題は無いということだろう。

 生き返っては死んでのループするとは思ってないのだろうか?

 いや、おそらく【黴】対策もされてるのだろう。厄介な。

 名前:  元町もとまち あずさ

  妖研究所暗殺班第一班の最終兵器。

  凶悪な妖使いを抹消するためだけに存在する妖使い。

  殺した相手を同行者として蘇して命令を聞かせることができる。

 特性:  旅行好き

 妖名:  七人同行

 【欲】: 旅をする

 能力:  【同行確保】

       殺した相手を同行者に加えることが出来る。

      【七つの犠牲】

       七人を引き入れるまで死ぬことはない。

       ただし七人殺した時点で同行者は全て成仏する。

       大量虐殺を行っても七人揃った時点で殺されれば死ぬ。

      【見識疫病】

       姿を見たモノに厄病を振り撒く。

      【七人同期】

       同行者が見た事象は全て把握する事が出来る。。

      【同族感知】

       妖使い同士を認識する感覚器。

       個人によって範囲は異なる。

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