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妖少女  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三節 七人同行
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本命出現

「我等は妖撃滅神意団である。神意により……」


「【黴】は我が手にあってこそふぅさぁあわしぃぃぃっ」


「【蛭子神】さんを僕にくださいっ」


 私が歩けば歩くほどよくわからないチームが怒涛のように押し寄せてくる。

 よくもまぁこれ程の弱小チームがあるものだと思う。

 一部はただの人間の団体もあったが、神意がどうとか言われても困る。

 神が私を殺したいならお前達に頼むより直接自然災害で潰してるだろうに。


 あと、なんか狂ったマッドサイエンティストみたいな老人が襲いかかって来たので蹴り倒したのだが、あまりに変人っぽかったので関わり合いになりたくなくて殺しもせずに逃げてしまった。

 ついでに最後にあった告白めいた叫びの主にはヒルコ自ら【金槌坊】から奪った金槌でトドメをさしていた。


「そろそろ残り時間も少なくなってきたかな」


『まだ二時間以上あるけどね。そろそろ、彼らが来るかもしれないね』


 敵対したくはないが、やらなければならないのは確かだ。

 だが、それよりも危険な敵がそろそろ来そうな予感がある。

 ……糸?


 不意に、目の前に煌めきが見えて立ち止まった。

 風に揺られるのは細い糸だ。

 空を見上げる。

 薄明かりの中にぼんやりと、一人の女が空中に立っているのが見えた。


「来たか……」


「あら、気付いたの? 折角罠を張ったのに意味がなかったわね」


 その女は私が気付いたと見るやスルスルと糸を伝って目の前へと落下して来た。


「初めまして、妖研究所暗殺班第一班。【絡新婦】よ」


 藍色のショートボブの女が巨大な胸を見せつけるようにして立ち塞がった。

 蜘蛛女か、やっかいな……いや、ここは厄介な奴をさっそく潰せると喜ぶところか。

 ヒルコに伝えて稲穂のナイフを取り出す。


「行くわよ【おいがかり】」


「っ!?」


 もう一人いた!?

 思った瞬間背中に何かが飛びかかってきた。

 首をがしりと掴まれ、手にした小刀で首を薙ごうとしてくる。


 だが、私の外側には彼女がいた。

 ヒルコが手にした金槌が後ろから襲いかかってきた何者かの即頭部を穿つ。

 ぎゃっと音がして私から何者かが引きはがされた。

 それと同時に私は手首をナイフで切り裂き蜘蛛の糸を掴む。

 糸を伝って黴が浸食を始めた。


「チッ。やっぱりこの程度じゃ楽に殺せないか」


「これで殺せると思ってるならそっちの方が楽ね」


 糸を伝う黒が浸食を始める。

 またたく間に黒い線へと染まって行く蜘蛛糸。

 が、【絡新婦】は慌てることなく糸を断つ。


 ふむ。向こうも楽には倒せないと。

 じゃあ、アレをさっそく使うとするか。

 私はパチンと指を鳴らす。それが合図なのだ。


「死んで貰うわ高梨有伽。あなたの身体はラボが回収して大切な研究材料にしてあげる」


「抜かせ。お前の死体を送り届けて材料にして貰え!」


 紫鏡のナイフで糸を断ち切りながら走る。

 背後から再び飛びかかって来る【おいがかり】。

 これはヒルコが金槌片手に追い払ってくれているので放置だ。


 【絡新婦】は糸を吐き出す。

 再び空へと舞い上がる【絡新婦】。ハンドガンを胸元から取り出しこちらに向けて来た。

 成る程飛び道具で遠くから潰すと。


「残念ね。これならあなたも殺せるでしょう?」


「本当、残念だよ。わざわざ目立つ場所に行くなんて。これであんたは確実に死ぬ」


「は? 何を言って……」


 女の言葉は最後まで続かなかった。

 音も無く、ソレは女の心臓を貫いていた。

 何が起こったのか理解できなかったようで、胸元を通過した何かを確認しようと胸を見る。


 自身の心臓部に赤い穴が一つ、開いていた。

 え? っと【絡新婦】から疑問の声が漏れる。

 何をされたか理解できず、彼女は糸から落下して地面に墜落する。


「ぐぶっ?」


「だから、言ったでしょう? 目立つ場所にいたら、彼女・・にとっては狙いやすい的なのだから」


 まだ理解できていない【絡新婦】。

 自分が誰に何をされて殺されるのか、全く理解していない様子だった。

 まぁ、そうだろうね。

 誰も、味方だと思っている相手に遠くから狙撃されただなんて、思いもよらないだろう。


『くたばれっ』


 ヒルコ渾身の一撃で【おいがかり】もトドメを刺されたようだ。幼い少年のように小さな男だったが、完全に顔が潰れていた。

 その金槌なかなか使いやすそうだね。ヒルコ専用装備になりそうだ。


「そういえば、あんた良くこんなセリフを相手に吐いてたんだっけ? 教えてよ、いきなり人生が閉じると理解した今、どんな気分? ねぇ【絡新婦】さん?」


 その言葉に、【絡新婦】は察したらしい。

 悔しげに遠くの誰かを睨みつける。

 なぜ、裏切った? そう唇が動いていた。


 でも、直ぐにその命が消えていく。

 まずは二人。

 待っていろ暗殺班。一人づつ確実に殺して行ってやる。

 私達三人がお前達のリスクになってやる。

 名前:  速水はやみ 柊斗しゅうと

  妖研究所暗殺班第一班に所属する少年。

  本来可愛らしい顔で将来有望のイケメン予備群。

  背後から覆いかぶさり相手の首を切り裂くのが暗殺の手口。

 特性:  おんぶ好き

 妖名:  おいがかり

 【欲】: 背後から覆いかぶさる

 能力:  【おいがかり】

       暗闇から背後に覆いかぶさることができる。

      【暗闇移動】

       周囲に光が無ければ気配を悟られることなく移動できる。

      【光脆弱】

       光に大して極端に弱くなり夜行性になる。

      【同族感知】

       妖使い同士を認識する感覚器。

       個人によって範囲は異なる。

      【認識妨害】

       相手の同族感知に感知されない。

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