表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖少女  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二節 のっぺっぽう
415/485

各係の人物紹介

「初めまして、処理係の高梨有伽です。こっちは上下真奈香」


 坂出さんに言われたように私は即座に自己紹介を行う。

 ほんわかとした総務係のお姉さんは私達の自己紹介にあらあら。と返し、お辞儀が終わると同時に深々とお辞儀を返してきた。


「あらあら。これはどうもご丁寧に。でも、隊員同士の自己紹介の時は名前と妖能力も一緒に言わなきゃいけないわよ。私は草壁くさかべ 狸狐りこ。妖能力は【隠神刑部狸】。総務係の係長をしています。よろしくね高梨さん、上下さん」


 うふふと笑いながら草壁係長さんにダメだしされてしまった。


「失礼しました。妖能力は【赤嘗】と【黴】です。真奈ちゃんの方は【茶吉尼】です」


「あらあら。これはどうもご丁寧に。お噂はかねがね聞いていますよ。噂通り仲がいいのね」


 と、言ってくれるのはいいのですが、私の腕を絡め取っている真奈香を見てから言うのは止めてくれませんか? どういう噂なのか凄く気になるんですが。

 まぁいいや。それより気になった妖能力について聞いてみよう。私そのなんとか狸って聞いたことないし。


「草壁さん、草壁さんの妖能力ってどんなものなんですか?」


「うふふ。【隠神刑部狸】では分かりにくいかしら? 【八百八狸】ならわかる? 軍隊を率いるのを得意とした狸なんだけど?」


 狸が軍隊を率いる!? なにその凄い狸。

 そりゃあ係長もしてますわ。


「それと、こちらの二人が同じ係の係員よ」


 一人は男の人だった。坊主頭に人の良さそうな顔をした、僧侶を体現する様な人だ。

 物凄く神聖な後光が差しそうな人だった。

 普通に休日とか座禅組んでそう。


「僕は家仏けぼとけ 連佛れんぶつです。妖能力は【算盤坊主】だよ。支部の会計とかに携わっているんだ」


 総務課ってそういうのもやるんすね。


「初めまして、【肉吸い】。紅葉葉もみじば よろず。よろしく」


 家仏さんの挨拶が終わると同時にかなり小さな声で自己紹介をしたのは長い髪の女性だ。

 目元というか顔が隠れる程の縮れ毛を持つ彼女は、まさに黄泉醜女を体現する様な暗い顔をしている。

 目元の隈が凄い。


 というか、肉吸いって、物凄く恐そうな妖能力っぽいんですけど!?

 そんな紅葉葉さんは顔を一度髪で完全に隠すと、次の瞬間ばっと髪を掻きあげる。

 するとそこにあったのは、女の私ですら思わず息を飲む程の美貌に変化した紅葉葉さんの顔だった。


「改めて初めまして。紅葉葉万よ。こっちの顔にすると自分の体内の肉が減るからあまり多用はしないのだけど、特別よ」


 まるで自慢するように胸を張る紅葉葉さん。

 何かを張りあうように視線を向けるのは、真奈香だ。

 何故かと言えば家仏さんの視線が日本人形みたいな彼女の顔に吸い寄せられているから。

 うん。人物関係がよくわかるね。


 そしてご安心くださいな。真奈香さんは男には興味はありませんので、唯一の例外は隊長です。

 他の男に興味は示しませんので気にせずに。

 というか真奈香さん? その獲物を狙う目はなんですかね?

 いや、私にしか聞こえてないけどハーレム候補発見とか言わない。

 私は絶対百合世界に行く気ないから。


 しかし、凄いな肉吸い。自分の肉使って美貌を保つとか。

 いや待て、もしも肉が無くなったらどうなるんだ?

 決まってる。干物みたいなミイラ女が出来上がるのだ。いや、干物じゃなくて乾物か。


「あーその。こんにちわ。ほ、本日ぶりです」


 私達が総務係と話していると、おずおず話しかけて来る二人の男女。

 護送係はこの二人か。二人で大丈夫か? いや、その為の総務係か。リーダーまで来てるんだからむしろ大盤振る舞いだよね。

 多分だけど本来なら鮎川ペアがここに来てたんだろう。

 でも二人は反逆者として処分されてしまったので仕方なく護送係の予備人員が駆り出され、彼らだけだと不安なので総務係も来たってとこだろう。


「私達の自己紹介は、さっきしたし、いいですよね?」


 真奈香が笑顔で告げると、首がもげるんじゃないかと思えるくらいに首を振る二人。

 ちなみに翼の紹介してないけどいいのかね?

 まぁ、彼は赴任時にでも顔合わせしたんだろう。


「俺……いえ、卑しき私めが堂島どうじま すぐると言いますですハイ! 妖能力は【芝天】。河童の仲間みたいなしがない妖使いでございますっ」


 この人は、何でこんなに私に怯えているのでしょうか?

 モブ顔の彼は普通の人過ぎて特徴が全くない。

 無駄に敬礼してるし。直立不動なのはなんとかならんかいね。

 多分次に出会っても私顔忘れてるよ多分。


「えとえと、わ、私は、因幡いなば 阿南あんなです。【麻桶の毛】の妖使いです」


 遅れてふかぶか挨拶して来たのは小柄な少女だ。

 田舎の垢抜けない感じのお嬢様といったタイプだ。

 着やせするのかスレンダーだ。


 しかし、麻桶の毛? また変わった妖使いですね。

 ちなみに、詳しく聞いてみると、どうやら妖怪というよりは神様の一種らしい。

 昔、弥都波能売神社って所に祀られていたらしい一本の毛だそうだ。

 髪の毛なのに勝手に増えて伸びて相手を拘束したりするんだと。

 名前:  家仏けぼとけ 連佛れんぶつ

  もともと僧侶として修業をしていた人物。

  妖能力に目覚めてから計算ばかりするようになり拝み屋稼業から足を洗ったらしい。

  計算能力の高さを草壁に見出されグレネーダーに。

 特性:  計算好き。

 妖名:  算盤坊主そろばんぼうず

 【欲】: 算盤をはじく

 能力:  【算盤弾き】

       算盤による計算力を数倍に高める。

      【計算加速】

       計算するスピートが1.5倍くらいにあがる。

      【算盤稽古】

       算盤教室などを開くことで対象になる教え子の計算能力も上昇する。

      【同族感知】

       妖使い同士を認識する感覚器。

       個人によって範囲は異なる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ