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妖少女  作者: 龍華ぷろじぇくと
第一節 加牟波理入道
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事件を追え4

 そしてやってきたのは、過疎地のコンビニエンスストア。

 ここのはファミリーなコンビニか。

 んー、こんな場所にコンビニ立てて大丈夫か?

 駐車場ガラ空きですよ?


「有伽ちゃん。はい、これ」


 ん? なんですか真奈香さん? 写真?


「鮎川さんたちの顔写真、係員さんたちから……貰って来たよ」


 用意がいいとはこの事だ。

 まぁ、貰ったというよりはぶん盗ったといった方が適確だろうけど、深く追求することはしないでおく。

 真奈香さんパネェっす。


 自動ドアを潜り店内へ。

 コンビニは結構寄るけど、私の近所にあるのは七がつくコンビニなのでこの系列の店には入った事が……

 なんとっ、大人気御礼ヒトデバーガーだとぅ!?


 なんて、なんて不思議なバーガーなんだ!? 気になる。物凄く気になる。

 はぁっ!? こっちはクラゲココ!? なんだこの飲み物はっ!?

 何々、ナタデココの食感になぞらえたクラゲを使用、ヨーグルト味!?


 ぐぅっ、こ、これはっ。

 私のチャレンジャーとしての魂が揺さぶられている……

 真奈香が店員さんに事情聴取を行っている間、私は買うべきか買わざるべきか、瀬戸際の選択を行う事になった。

 そして……結局買ってしまうのだった……




「フッ、旨いよ。なんか無駄に旨いっすよ真奈ちゃん……」


 温めてもらったヒトデバーガーに齧り付きながら、私と真奈香はコンビニ前に屯っていた。

 ちくしょう。自分のチャレンジャー魂が憎い。

 変わったもの見るとついつい買いたくなるこの性根が憎い。

 結局事情聴取何も出来なかったし。


「鮎川さんもそのバーガー買って行ったらしいよ。店員さんが覚えてた」


「え? そうなんだ。他には何か言ってた?」


「うん。なんかね、もう一人いたみたい」


「もう一人?」


 ってことは、誰かが逃走を手引きしていたってこと!?

 まさかそれが……隊長!?


「えっとね、おかっぱ系黒髪の男の人だって。すごく笑顔で缶コーヒー買ってたって言ってたよ」


 ……誰だよ? あれ? でも、そんな感じのヤツ一人知ってるな。

 そういえば、あの時邪魔された気がするぞ?

 ってことは、あの人と出会ったあの時がこのコンビニ行った後だったんじゃ……

 しまった。アイツを一緒に見かけたんだから一番最初に聞きに行けば良かった!?

 可能性の域は出ないけど……ダメ元で調べてみるか。



「うん、会ったよ?」


 私は思い当たった人物である、危険妖保護の会に所属している式森さんを訪ねた。

 おかっぱ優男といえばこの人だろうと、独断と偏見で当ってみたのだけれど……

 式森さんは私の苦労など一吹きで飛ばすかのように、何気ない顔で言いやがった。

 こ、ここまでの苦労って一体……


 あぁーもうっ、なんかこの人の言葉と態度、物凄くイラッとくる。

 ぶっ飛ばしてやろうかなちくしょう。

 どれほど遠回りしたのやら。初めから知り合い全員に聞いて回ればたらい回しされることなく、ここに速攻辿りつけてただろうにッ。


「何処で会ったんですか?」


 真奈香の言葉に式森さんは顎に手をやり考える。


「うん、確か会ったのは本部だね。そこから車で送って……えーっと、どこだっけ」


 ああもう、役立たずだなッ。


「ああ、そうそう。黄泉比良坂に連れてったんだよ」


 黄泉比良坂?

 余程顔に出ていたのだろう、式森さんが地図を書いてくれる。


「はい、ここに行けばイザナミさんに会えるよ」


「そこに居るんですか?」


「いや? 黄泉の国に留まるのは無理だからってそこから出て……えーっと、ああ、僕はそこで君たちに襲撃されて別れたからその後は分からないな。あ、そういえばおばりよんだったかに襲われたよ。君たちに襲撃される前だけど」


 殺すぞこんちきしょうっ!

 結局ふりだしかよっ。

 ダメだ。鮎川智佳斗方面から隊長を探すのは無理そうだ。


 何か別の方法を探さないと。

 とりあえず、一度支部に戻ろう。

 誰かが見つけたかもしれないし。


 というか、鮎川智佳斗のその後っていえば確か翼がやられたとか言ってたわね。

 あの時の報告じゃ確かもう一人の立山優奈を小林さんと前田さんが戦ってたけど追い詰めたと思えた途端に隊長から電話が来たんだっけ?


 確か、全員一時支部に戻れ。だったよね。

 そして、結局小林さんたちは立山優奈抹消を諦めたんだっけ。

 一度抗議したけど隊長がそいつを倒す必要はないとか告げたんだっけ?


 ……あれ?

 思い出したら違和感バリバリだ。

 なんで隊長はあのタイミングで皆を抹消対象から遠ざけた?


 確か、翼は隊長と一緒に行動していたはずだ。

 となると翼を倒した鮎川智佳斗はそのまま進めば隊長と接触していることになる。

 そしてその段階での撤退命令。

 あれ? あれ? これって……繋がってる? 繋がってるよね? 可能性の域を出ないけど、まるで隊長が見逃した状況が完成してる。


 これは、もしかすると本当にもしかするかもしれない。

 あ、思い出した。撤退命令の少し前、隊長が私に電話を掛けて来たはずだ。

 止音君の連絡先を教えてくれ。確かそう言っていたはずだ。

 何も知らない私はそれを鵜呑みにして連絡先を渡してしまった。


 そして、先程会った止音君は言ったはずだ。

 俺たちは、今回の騒動の全貌を知ってると。

 つまり、きっとそこが終点かソレに近い場所だ。

 けど、そこへ辿りつけても彼らは私に事件の事は教えない。


 なら、鮎川智佳斗から隊長に辿りつくのは難しいと思われる。

 事件、振り出しに戻る。

 ……あれ?

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