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深夜の最終工程

「おい! 発光モジュール・ナンバー12から15の接続に、わずかな遅延が発生しているぞ! 魔力の流量が同期していない、再調整だ!」

「プレス班! 粘土板の乾燥を急ぐあまり焼きムラが出てる! 回路にヒビが入るぞ、検品の手を抜くな!」

プロジェクト『サンライト』開始から48時間。ハルクの工房は、文字通りの戦場と化していた。

飛び交う怒号、魔銀インクの独特な金属臭、そして徹夜続きで目を血走らせた職人たちの熱気。

だが、作業の進捗は驚異的だった。

一つの巨大な魔道具を全員で囲んで捏ねくり回す従来の製法とは違い、俺が設計した『マイクロサービス・アーキテクチャ』は完璧に機能していた。

各自が割り当てられた単体部品を黙々と量産し、それを中央の組み立てラインで統合していく。

「カズトさん……! 最終結合パーツが20基分、すべて揃いました!」

アレンが目の下に濃いクマを作りながら、完成した筐体ケースを指差した。

それは、高さ一メートルほどの美しい円筒形の魔導塔。内部には、プレス成型された20枚の魔導基板が整然と並列接続され、中央の『巨大集束レンズ』へと魔力を供給する構造になっている。

「よし、これが最終工程だ。バグが出たらその場で修正するぞ。……1号基、起動」

俺は筐体のメインレバーを静かに押し下げた。

底部にセットされた4個の特大赤魔石から、並列回路を通って一斉に魔力が流れ出す。

ジジジ……と、回路が同期する独特の駆動音が響き、次の瞬間。

――カァッ!!!!


「うおっ!?」「眩しすぎるっ!!」

工房の天井が、まるで真夏の正午の太陽に晒されたかのように真っ白に染まった。あまりの光量に、職人たちが一斉に腕で目を覆う。

「光量の安定度、問題なし。並列接続による負荷分散も正常に機能している。熱暴走の兆候も……ないな」

俺は魔導塔を【鑑定】し、ふう、と深く息を吐き出した。

「お、おい……嘘だろ……。俺たち、本当に二日で王族向けの最高級魔道具を完成させちまったのか……?」

「手彫りなら数ヶ月はかかる代物だぞ、これ……」

職人たちが、自分たちの作った「奇跡」を呆然と見つめている。

「これが分業制とモジュール化の力だ。お前たちの技術力が、正しい仕様によって100%引き出された結果だよ」

俺は職人たちに向き直り、ニヤリと笑ってみせた。

「テストは完全合格だ。全員、1時間の仮眠を取れ。その後、辺境伯の夜会会場へこの『魔導照明システム・サンライト一号』20基を搬入する!」

「「「おおおおおおおっ!!」」」

地獄のデスマーチの果てに、俺たちはついに、納期直前での「完全な納品物」を組み上げた。

待っていろよ、丸投げ辺境伯(クライアント)。現場のエンジニアを舐めた報いに、度肝を抜くほどの光でその目を焼き潰してやる。

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