嘉応の強訴らしきもの(2)
-比叡山西側・朝廷軍
こんにちは平重盛です。
いよいよ比叡山討伐に取りかかります。宮城前での戦いのあと、宮城と法住寺を警護していた武士たちが次々と合流してきた。
功を求めてのことだけど、何を相手にするか分かっているのかといえば相当怪しい。
「お待ちくだれ! 叡山は建立以来300有余年、王城の鎮守としてあるもの。僧兵どもの行いに非はありますが、これを焼き払うなど前代未聞。どうかお考え直しくだされ!」
これだ。標的が分かった途端に異を唱える者が出てくる。これだから平氏以外の武士は使いたくないんだよ。
「比叡山は、王城の鎮守たりといえども、その勤めを果たさず、天下の騒乱の元凶だ。武装し、殺傷をほしいままにし、天下の嘲弄をも恥じず、天道のおそれをも顧みず、淫乱、仏の教えに反して肉食を常とし、財貨をため込み、その罪状がつきることは無い。この末法末世の比叡山に仏法なく、僧もない。もはや国家の安寧に不要のもの。我が天にかわりてこれを誅滅する。不満がある者は即刻立ち去れい!」
結局集結した兵のうち、500ほどが離脱していった。意外と多く残ったな。
「残ってくれた者たちに礼を言う! 此度のことで仮に恩賞がでずとも、皆のことはこの重盛がしっかりと覚えておく。必ず働きに見合う恩賞を出すことを約束しよう!」
大声で宣言すると、兵たちから歓声があがった。
「よし! 神罰、仏罰はすべて私が引き受ける! かかれーっ!」
兵たちが一斉に動き出す。
この日、僕は比叡山の根元中堂、諸社、僧坊を焼き払い、僧兵をことごとく討ち取った。
翌日、東に逃げた者を追跡し、女、子どもを除き、これを誅滅。3日目に京に帰還した。
帰還した京は騒然とした状態を通り越して、恐慌状態になっていた。
不安におびえる者、家財一切をまとめ、あてもなく逃げだそうとする者。
宮中でも今回の行いを否定的にとらえる意見が大半を占めている。
平氏一門も下手に僕を擁護する発言ができない状態だ。
「ただちに解官し、流罪に処すべし!」
何かを恐れるように「罰を」という声が広がる。
「私を罰する必要は無い。わざわざ人の手で罰せずとも神罰仏罰が下るからだ。なにもなければ神が此度の行いを認めているということ。さもなくば今は末法の世。仏法が消え失せたというのが真実なのであろう。」
そう言い放って、僕を非難していた貴族の1人ひとりに目を合わせると、皆、顔を青ざめさせて目をそらした。
これ以上はいるだけ無駄だ。
「神罰、仏罰が下るか、皆、見守っているがいい!」
そう言い放って法住寺へと引き上げた。
「いやー お疲れだったねー。スカッとしたよー。」
法住寺で出迎えてくれた後白河法皇はまったく動揺していない。この人も大物だ。
「でも大丈夫? 騒ぎを収められる?」
その点は不安らしい。
「しばらく京を離れることになるかもしれません。それに今回の件に反発する寺社の討伐にも時間がかかると思います。」
京のことは清盛パパに任せるしかない。
このあと、しばらく後白河法皇と今後の話をして引き上げた。
その数日後、清盛パパが福原から帰還。なぜ相談しなかったと、めっちゃ怒られた。
その後、宗盛も加えて3人で今後のことを相談。
清盛パパが復権し、宗盛がそれを支えることとした。僕のことは朝廷が今回の件について、清盛パパにどうすべきか打診してきたら権大納言を解くことで合意を図ることにした。階位はそのままなのだから中途半端な措置ともいえる。
現在握っている軍権も僕と基盛、知盛で3分割することにした。これも平氏一門での分割だから問題ない。
概ね相談し終わったときに急使が来た。
「南都の僧どもが騒ぎはじめております!」
さあ、各地でどこまで火の手があがるかな?
「じゃあ、僕は行きますね。」
「修羅の道だぞ、重盛。」
清盛パパはいつになく厳しい顔つきをしている。いざとなったら平氏惣領は宗盛にしてくれて良い。
「家族のこと頼みます。」
それだけが気がかりだ。清盛パパに頼むと鎧をまとい再び出陣した。




