友人のおねだり
長寛2年(1164年)2月 越前国
こんにちは平重盛です。
清盛パパが従二位に進みました。清盛パパの昇進が止まりません。たしか最終的には太政大臣までいったはずなので、このまま位人臣を極めるのでしょう。
僕の方はというと、丹後に続いて越前も僕の知行国となりました。
海運と越前の経営も順調にいっています。
最近は造船にも手を出しており、そのための林業も盛んになっています。
そんな折に届いたのが後白河上皇からの書簡。
「ちょっとお願いしたいことがあって、戻ってきてー。」というもの。
京にいる間は、用がなくても行っていたけど、そういえば、越前に来てからは随分ご無沙汰している。
「1度、行っておいたほうが良いかな。」
さっそく仕度をして京に向かう。
-京 法住寺
「生演奏舞台を造りたいんだ。」
久しぶりにお目にかかった後白河上皇は滋子さんが産んだ憲仁親王(2歳)と遊びながらそんなお願いをしてきた。
隣では滋子さんが舞台衣装らしきものを製作中だ。
「生演奏舞台ですか。場所はアテがあるんですか?」
「うん。ここ。」
ほうほう、なるほど。法住寺の敷地に建てると。
確かにここは、だだっ広くて建物を建てる余裕は十分にある。
「できれば隣に五重塔もつけてほしいんだ。」
後白河上皇が上目遣いで見てくる。予算のことが心配なのかな。
「五重塔でしたら、最上階まで登れるようにしておきましょう。面白そうでしょ?」
日本の五重塔は、そのほとんどが2階までしか登れない構造になっている。最上階まで登れるとなると噂になる。案の定、後白河上皇も小躍りして喜んだ。
「色はどうしますか?」
「外は朱塗りで、中は極彩色で頼むよ。・・・でも予算は大丈夫かい?」
後白河上皇は、すっかり平氏の銭で建てる前提で言っているが、問題ない。僕の小松邸を建てたときは、反対に後白河上皇に銭を出してもらったが、今では僕のほうが資金力は上だ。
「迷っているなら、いま建てたほうがお得ですよ。」
「得?」
後白河上皇は何が得なのか分からないようで首をかしげている。
「お子さんの記念にもなりますよ。それに、他にも建てたがっている人がいるから、急いだほうが良いですよ。」
・ ・・なんだか下手な不動産屋のセールストークみたいになってきたなあ。でも後白河上皇には効いたみたいだ。
「じゃあ、建てて欲しい。頼むよ。」
「はい。今年の暮れまでには完成させますよ。」
うちの技術屋集団にも建築の経験を色々積ませたいところだったので丁度良い。うしゃぎさんにも資材調達を依頼しよう。
急ピッチでやらせていただきましょう!