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遠江でチート始めました


 保元3年(1158年)10月


 こんにちは平重盛です。


 ようやく遠江国の国府に到着しました。

 遠江の国府って、浜松とか掛川のあたりかと想像していましたが、違いました。見附です。

 現代だと磐田市のあたりかな。天竜川を渡ってすぐだったから多分そうだろう。


 これからしばらく住むことになる館で旅装を解いてしばし休憩。そのあと坊門殿と女房衆がテキパキと動き出す。

 そのうち、だらーっとしていた男衆を追い出しにかかったので、館の警護担当と僕と一緒に政庁に向かう者に分かれて動き出す。


 政庁には先触れを出しておいたので、在庁官人という地元出身の役人さんたちが、そろって出迎えてくれた。

 そして、おー、いるいる。天野氏、相良氏、久野氏、井伊氏、奥山氏、浜名氏と戦国時代で見知った豪族が名を連ねているではないですか。


 僕が感動に打ち震えている間に、頼長(呼び捨てにしてくれと頼まれた)が、国衙領や荘園の管理、徴税資料を役人たちに持って来させて、その確認作業にかかる。

 初日からこんなに働く受領ずりょうっているんだろうか。


 そして資料を確認した結果、


 「・・・やけに荘園が多いですね。」


 「そうだな、摂関家領、伊勢神宮領、美福門院領に・・・、鳥羽院領の相続整理がまだ終わっていないのか? あとは大小貴族の荘園だな。」


 頼長が必要な事項を書き出しながら解説してくれる。

 実は、遠江に到着するまでの間に、頼長とは今後の方針について何度も話し合ってきた。


 僕が国を富ませたいというのは、具体的にどういうことか。

 それは、米を含む生産量の底上げと百姓を含む生活水準の底上げ。そのために必要なのが銭の流通量の増加と物資の流通拡大。細かくなると海運の発展とか街道の整備とか農地の開拓とか、話は細部にまで及んだ。


 最初、頼長は国を富ますというのは、いかに徴税を増やし、京を発展させるか、ということだと考えていたようで、僕の説明にいちいち驚いていたけど、次々と現実的な問題を指摘し、要点をとらえた質問を発するなど、さすがの対応をみせはじめた。


 結果として、最初に着手すべきは、やはり農業だろうということになった。

Missonで溜め込んだチート知識をはき出す時がきました!


 やるべきことを整理すると、

 ・田を耕すのに西国だと牛を使う。牛の飼育が少ない東国では馬を使う。


 ・田の水を絶やさないよう、水車を使う。水車は製粉などにも使えるので、水車の改良研究もすすめる。


 ・田の肥料確保のため、トイレを汲み取り式にする。

 この政策提案には、僕も頼長も、互いに顔を見て笑ってしまった。大事な思い出の政策だ。


 ・肥料は、他にも草を刈って田に敷きこむ刈敷や、草木を焼いて灰にした草木灰を利用する。ただし、木は燃やす木の種類と量の管理が必要。


 ・田畑で同じ年の違う時期に、2種類の作物を栽培する二毛作を奨励する。


 ・育てる作物の種類を増やす。ただし、これは土地の生産性が向上してから着手する。


 ・灌漑や排水施設の整備改善。


 ・水稲の品種改良。


 ・手工業に使う原料の苧・桑・漆・藍を育て、商品化を図る。


 とりあえずは、こんなところだ。


 とはいえ、現実には上手くいかないこともあるだろう。利を示し、在地豪族と百姓を取り込みつつ、試行錯誤を繰り返すしかない。



 ある程度、遠江の状況をつかんだところで、在庁官人たちに新たな農業政策を示した。

 当然のように、最初は難色を示した。在地豪族でもある彼らには利もあるが、負担も多い。そして利が手には入るのは、まだ先だ。


 「そこで利を示します。」


 税の軽減。

 政策への協力と成果に応じて税を軽減することを約束した。


 目の色を変える在庁官人たち。

 実際、彼らの力なしにはどうにもならないのだ。ぜひ、頑張ってほしい。


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