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同士重盛


 久安3年(1147年)


 おはようございます。平重盛です。


 母さまの事件があってから、できるだけ真面目にMissonに挑戦しています。


 しかし、真面目にしだすと、Missonの難易度が上がったような気がする。


 -顕世(うつしよ)と幽世(かくりょ)を行き来してみせよ。


 最初は意味が分からなかった。幽世なんて行ったことないし。

 「なあ」、と同意を求めるように小狼たちをみると、「行ったことあるでしょ」と言うように前足で膝をちょんちょんとつつかれた。

 その拍子にひらめいた神隠しの書の力を使ってみると、見事Misson達成。

 そうか、あの空間は幽世だったのか。



 -世界地図簡略版を描け


 これは楽勝、と思ってサラサラと描きあげるも反応なし。精度が低すぎたかと思い、書き直すも反応なし。ならば反対に精度を落とすか、とやってみるも反応なし。繰り返すこと十数度。まったく反応なし。

 通りかかった基盛が絵遊びをしていると勘違いして参加。試しに世界地図を描かせてみると、できあがったのは真ん中に葦原中国(あしはらなかつくに)と書いてその左右の端に根国(ねのくに)と常世国(とこよのくに)、上に高天原、下に黄泉と書いて、それらをぐるっと丸で囲んで顕世と書いてある。

 そして裏に幽世。

 ・・・何じゃこりゃ。と思っているとMisson達成の知らせ。

 うん、分からん。顕世って現世のことだよね。黄泉の国とかも顕世に入るの?

 恥を忍んで基盛に聞いて見た。


 「だって、地面の下にあるんでしょ?」


 ・・・なるほど。地面の下なら顕世か。だから天にある高天原も顕世か。

 ところで・・・


 「常世国って何?」


 「海の向こうのほうにある国だよ。」


 「ふむふむ。で、根国は?」


 「地面の下にある国だよ?」


 「?? それって黄泉じゃ?」


 「んーと、黄泉とは別って聞いた。よく分かんない。」


 そうか、分からないか。それなら仕方ない。次だ次。



 -本を1000冊読もう。もう読んだ本はダメだよ。


 これはパスだな。と思っていると、翌月からMissonがこなくなった。

 もしかして達成しないと次がないということか!

 急いで読み始めるも、うちの本だけだと足りない。

 どうするかと悩んでいると、時子(かあちゃん)が事もなげに言った。


 「いるじゃん。重ちゃんの知り合いで蔵書たんまり持ってて、かつ頼んだら見せてくれるひと!」


 出てきた名前は藤原頼長。


 あー、間違いなく持ってるし、見せてくれそうだな。

 尿殿(トイレ)事件以来、親しくさせていただいている。

 さらに彗星事件での僕の行動が耳に入ったらしく、怪異に動じない童だと、えらく感心された。


 意を決して邸宅を訪ね、要件を伝えると二つ返事で了承された。


 そして今日も早くからせっせと蔵書拝見のため外出です。



 「ところで同士重盛よ。何か良き献策はないのか?」


 宮中からお戻りになった頼長様が唐突に問われた。

 うん、蔵書を拝見している恩もあるし、何か答えないとな。


 そこで、平氏で実用化にこぎつけた糞尿の肥料化を披露する。平氏だけでやると色々と問題があるらしく、秘伝にするつもりはないと、じいちゃんにも言われているから言っても良いのだ。


 「ほう、興味深いな。成果が目に見えるようになれば、普及しそうよな。」


 よっしゃ!支援者(パトロン)獲得(ゲット)!


 その他、いくつか献策させられたが、もう何も思いつかないという時に絞り出した、元の世の勤務先で使っていた物の話に興味を持たれたようだった。


 「ふむ、勤怠管理(タイムカード)とな?」


 どうも宮中で遅刻魔が多いことを問題視されているらしい。

 しかし、他の貴族は「遅刻?それ問題なの?」という認識の差。これがさらに頼長様の怒りを助長している。


 「準備が整い次第、取り入れてやるわ。さすがは同士重盛よ。」


 お褒めいただいてしまった。

 1,000冊には到達していないが、日も暮れかけたので辞去する。

 また明日もよろしくお願いします。




 家に帰ると時子(かあちゃん)が神妙な顔で僕を待っていた。


 「重ちゃん、あたし、できちゃったかも・・・」


 「ぐはあっ!」


 そ、それは、焦る人は焦るけど、男の子(おのこ)として言われてみたい言葉ランキング殿堂入りの台詞です・・・。


 思わず膝をつき、胸を押さえてうずくまる僕。

 その様子に驚いて駆け寄ってくる時子(かあちゃん)。


 「ど、どうしたのっ?重ちゃん、しっかり!」


 「だ、大丈夫だから。それより念のため聞くけど、できったって何が?」


 時子(かあちゃん)が頬を染める。


 「たぶん、赤ちゃん・・・」


 ええ、そうでしょうとも。僕も念のため確認しただけですから。


 この後、時子(かあちゃん)は、ばあちゃんに報告に行き、僕は清盛パパに手紙を書いた。


 何日かして返ってきた手紙には、時子(かあちゃん)をよろしく頼むと書いてあった。

 そして、最後にもう一言。


 -頼長様と重盛が男色の間柄だって噂を聞いたけど、そうなのか?




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