DESPAIR
後悔することと絶望することは、少し似ているかもしれません。
だって取り返しがつかないから。
──そんな詩です。
歩き出そうとした。
扉を開けようとした。
勇む僕の足首に、
一本の鎖がまとわりついている。
嗚呼、
それが何だか僕は知っている。
生き場を変えても、
人間関係を変えても、
それは必ずついてくる。
後悔の色した心の枷は。
後になって悔いる。
それが後悔。
ああ、あの時こうすれば良かった。
ああ、どうしてあの時学ばなかったんだ。
ヒトの世は、ヒトの一生は、そんな後ずさりに溢れている。
しなければ良かった悪事も、
しなければ良かった失言も、
何もかもが未来への道中の責め苦。
そして臆病。
そしてより多くの後悔を産み出す、原材料になる。
何かを始める時、
何かに出会った時、
何かを理想にした時、
後悔はすぐに顔を出す。
さあ、もっと苦しめ。
そう言って嘲り笑うんだ。
──後悔があったから今がある。
──そんなのは甘えだ。
──考えて分からなかった事は、所詮それだけの事。
──後悔なくして学ばねば、後悔は消えない。
ねぇ?
そう言って、
あの日の貴方は儚い光の中で、
虚しく笑っていたよね。
扉は少し重たくて、堅い。
僕は情けなく笑った。
情けなくても笑えば、
足枷が外れるかもしれないじゃないか。
乾いた声で笑い続けた。
そして、涙を拭った。