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探賾
失ったものを、取り戻したい。
そんな願いを抱く人の詩です。
※タイトルは「たんさく」と読みます。「探索」と同義語です。
あなたはどこへ行ったの?
ぼくはどこへ来たの?
あなたという光の中に ぼくは生き
けれどその光はもう とどかない
失ったものの大きさを
ぼくは知ることはないだろう
もうぼくはぼくではない
戻りたいとさえ思わない
でも
あなたという存在の知覚は
見えない煙の向こうから
たしかにぼくを喚んでいる
知りたい 識りたい
見たい 視たい
聞きたい 聴きたい
漠然とした好奇心がぼくを動かす
引き替えに消えるものがあったって
ぼくは喜んで棄ててやる
煙のはれた その彼方に
のぞんだセカイがあるのなら
なお、この詩は拙作「テガミ」http://ncode.syosetu.com/n8536cj/の本文中に登場する詩を、別途先行公開したものです。