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異世界召喚 〜リアルすぎるカードバトルを添えて~  作者: 一刻一機
第一章 ~貧乏姫の戦争~
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第一章 ~貧乏姫の戦争~(9)

14


 森に閃光が走った。


 俺とアヴァエル、そしてキリアの3人が、テッサの治療のため森に薬草を探しに行っており、その鬱蒼とした森の中でも確認できるほどの眩い光だった。

 次々と木々が倒れ、炎が燃える激しい音が聖樹の森中に響く。

 戦争映画で見たことのある、空爆を受けたような光景が俺の目の前に広がっていた。

「あ、あれは…!?」

 狩人達から、帝国兵達が森の北東部で陣を組み始めたと報告が来ていたので、いよいよ本格的に攻めてくるだろうと聞いてはいた。

 しかし、どうせ森に侵入し出してから抜けるまで一週間はかかるだろうという話であったはずなのだ。

 それが、森の一部が激しく燃え上がり、黒々とした煙を上げている。

 帝国側からの攻撃であろう事は、疑いようもない異常事態だ。

「な、何だ!?今のは魔法か!?」

「あんなのが魔法以外にあるか!」

「そんなこと言ってる暇があれば、早く城に戻らないと!」

 驚く俺につっこむアヴェル。

 だいぶ、定例化してきたパターンだが、キリアはそんな俺たちを無視して城に戻るようだ。

 すぐにキリアの背を追って、俺も城向かって走る。

 予定では、戦争が始まったら、城の前の魔法陣で待機し、敵が国の中心まで来たときに、俺が持つ女王巨人蜘蛛クイーンジャイアントスパイダーの召喚を行う予定だったからだ。

「待ってください!ミナト様!」

「何だよ!そんなゆっくりしている場合なのか!?」

 俺とキリアは駆けながら大声で会話をする。

 遂に始まった戦争に、緊張のあまり声が自然と大きくなってしまう。

「あれが帝国軍の攻撃だとしたら、侵攻速度があまりにも早すぎます!子供たちやお年寄りの避難に時間がかかります!私は戦力が揃うまで、何人か集めつつゲリラ戦を行いますので、そのうちに民間人の非難を手伝ってください!」

「ええええっ!?なんで、戦争間近なのに避難していないんだ!?」

「……そろそろ麦の収穫が近かったので、みんなぎりぎりまで農作業をしていたようです」

「のんびりしすぎだろ!?」

「とにかく急がないと!」

「ああっ、もう!」

 キリアは急遽ルートを変更し、森の周辺を迂回しながら、戦地予定地へ近くようだ。

 何かあった際に、すぐに森の中に逃げ込み、少人数でも戦える森の中を戦場(フィールド)にするためらしい。


 ◇


 キリアと別れた俺とアヴェルは、すぐに民家のある方向へ向かう。

 今、火の手が上がった場所からファラ達の家は近いが、巨人蜘蛛のせいで家が駄目になった事もあり、ファラ一家は全員城に居候している。

 俺達がいた場所から近かったため、念のためファラ達の農地とブメの小屋を覗いたが誰もいなかった。

 そのまますぐに、近所--それでも一軒一軒がかなり離れていたが--の家々を回り、戦闘に耐えられそうにない人達を、城へと誘導して行く。

 このまま行けば、戦争に巻き込まれずに済むかと思っていた。

「っ!?」

 だが、やはりそう順調にはいかないらしい。

 北東部よりもやや更に北よりの場所から、黒い甲冑に身を包んだ男たちが三人、こちらに向かって来た。

「みんな、早く逃げろ!」

 明らかにこの国の人間が着ないような、いかつい甲冑に武骨な剣や槍を持っている。

 それに、蜘蛛達と違った不純な殺意をびしびしと感じた。

「おいっ、いたぞ!魔の森の蛮族共だ!殺せば殺すだけ褒章が出るぞ!」

「ひひっ!こりゃいいな、ガキと年寄りだけだ!」

「俺にも何人か寄越せよ!」

 こちらには大勢の子供やお年寄りがいるにも関わらず、手を緩める気配はない。

 むしろ欲に濁った眼とにやにやと汚らわしい笑いを、こちらに向けてきており、思わず怖気が走る。

 どうやら只の下種げすらしい。

 ならば遠慮は不要だろう。

「下品な連中じゃ。我が魔法の餌にしてくれるわ!」

「いや、アヴェルの魔法はギリギリまでとっておいてくれ。連射できないんだから」

「む……調子に乗りおって。我は魔王!魔王アヴェル様じゃぞ!」

「はいはい……って、こんな話してる場合じゃなさそうだぞ!『突風弾エアシュート』!」

 俺は問答無用で、黒甲冑の一人に魔法を放つ。

 女王巨人蜘蛛クイーンジャイアントスパイダーにも使った、回転する風の弾丸が腹に当たり、大の大人が軽々と宙を舞った。

「っ!?おい、魔法士がいるぞ!」

「あのガキだ!あのガキからやれ!」

 上手い具合に標的が俺に移ったが、初めて受ける人間の生々しい殺気を受け膝が震えそうだ。

「『突風弾エアシュート』!」

 更に魔法を放つものの、さすがはプロの兵士だった。

 俺が手を向けるのにタイミングを合わせ、鎧で身を固め魔法を弾いてしまう。

「『素早さ強化(スピードアップ)』!」

 しかも、何らかの身体強化系の魔法を使ったらしく、俺を追いかける速度が急上昇し、黒甲冑の一人にあっという間に距離を詰められてしまった。

「どうした?もう逃げないのか?」

「うわ、うわああ!?」

「ミナト!」

 男が薄ら笑いを浮かべながら、これ見よがしに剣をちらつかせながら切りかかって来た。

 どうやら、俺が恐怖を覚えてるのを見て、加虐心が煽られたようだ。

(あれ?)

 だが、俺は男が振り下ろした剣は、しっかりと眼で見てからでも、あっさりと躱せるぐらいスローモーな動きだった。

「ちっ!上手くよけやがる!」

「おいおい!何をてこずってんだ!?何なら俺が代わってやろうか!?」

 ひょいひょいと男の剣を避ける間に、もう一人の男も追いついてきたが、手伝う気は無いらしい。

 剣を振り回している男は、顔を真っ赤にして俺に向かってくるが、剣がかする気配もない。

(こいつら、キリアと比べると、止まって見えるぐらい遅いな)

 この一ヵ月、キリアにフルボッコにされ続けたのは、伊達ではなかったらしい。

「『攻撃力強化パワーアップ』!」

 俺は剣を持った男の後ろに回り込むと、魔法で強化した拳で殴りかかった。

「ぐはぁ!?」

 なるべく装甲の薄そうな後頭部を狙ったら、ちょうどいい所に当たったのか、男は地面を滑るように吹き飛んだ後ピクリとも動かなくなった。

「お、おい!?」

 仲間があっさりとやられた事に、もう一人槍を持った男が驚き固まっている隙に懐に潜りこむ。

「『武器強化ウェポンストレングス』!」

「ちっ!『防御力強化(ディフェンスアップ』!」

 冷却時間クールタイムがあるため、先ほどとは違う魔法で拳を強化し、槍を持った男の顎を狙ったが、これは手甲で防がれてしまった。

「ふ、ふははは!死ね!死ねぇ!」

 俺の攻撃を防いだ事で増長した男は、鎧同様に黒く塗られた槍を突き出した。

 だが、槍の方が懐に入ってしまえば、先ほどの剣よりもよほど回避が楽だった。

「そんなの当たるか!『攻撃力強化パワーアップ』!」

「んなっ!?多重起動マルチプル……」

 その場の思い付きだったが、魔法の重ね掛けは効果があったらしい。

 槍の男が何か言い終える前に、兜の上から強引に殴りつけると、ごきりという鈍い音と共に槍の男を昏倒させることができた。

「いってぇ……」

 ただし、代償として、右手甲の骨が折れている。

 細かい骨が複雑骨折すると、こんなに痛いのか。

 あまりに痛くて、声すら出ない。

「キ、『治癒キュア』……」

 俺は半泣きで、『治癒キュア』を使うとすぐに拳が治ったが、しばらく痛みの余韻が残っており、あまり素手で戦うのはやめようと心に誓った。


「大丈夫ですか!?」

 避難させていた人達が心配して様子を見に来てくれたので、俺は男たちの身ぐるみを剥ぐ作業と、剥いた男たちをロープ等で拘束する作業をお願いする。

 もちろん、最初に『突風弾エアシュート』で吹き飛ばした男の回収も忘れない。

「こいつらどうしましょうか?」

 ファラぐらいの年齢の女性が、俺に尋ねてきた。

 俺に聞かれても困るのだが、敵兵士三人を倒したので、一応敬意を払ってくれたのだろうか。

「……そうっすね。とりあえず、武器とかだけ奪って、城に避難して下さい。こいつらは置いていけばいいですよ。連れて行っても邪魔でしょうし」

「はい。でも、武器とか魔法カードは貴方が使いませんか?」

「あー……武器ね」

「そうじゃ、剣でも槍でも使うべきじゃ」

 アヴェルも女性の意見に追随している。

 たった今、素手で鉄装備の兵士と戦う無謀さを学んだばっかりなので、武器は欲しいが……正直使える自信も無いし、使う勇気も無い。

 マジモノの刃物を振り回せる神経を、現代日本の若者に求められても困るのだ。

 と言うわけで、日寄ってしまうが、槍の刃を外したものと、魔法カードだけをもらっていく。


素早さ強化(スピードアップ)』祝属性 ★★

【魔力を付与することで、速度向上の意思が込められた行動に対し、その指向性を僅かに向上させる】


防御強化ディフェンスアップ』祝属性 ★★

【魔力を付与することで、防御の意思が込められた行動に対し、その効果を僅かに向上させる】


 この他に、『攻撃力強化パワーアップ』と『武器強化ウェポンストレングス』が一枚ずつ手に入った。

 これで、攻撃力強化パワーアップ武器強化ウェポンストレングス冷却時間クールタイムを考えなくても良くなりそうだ。

 欲を言えば、『突風弾エアシュート』が先ほど、鎧で弾かれたので、別に強そうな攻撃用の魔法が欲しかったが、こればかりはもらいもの(強奪したもの)なので、諦めるしかない。

「あ、あんなに敵が!」

 俺が手に入れた魔法カードの整理をしていると、先程の閃光が走った場所から、続々と黒鎧の集団がやって来た。

 のどかな農園の風景だった聖樹の国が、異様な雰囲気に包まれていく。

 無神経に自室を荒らされたような不快感を覚え、俺は避難を急がせながら、連中の動きを睨み注視していた。

 敵が揃い進軍を始めたら、俺も全速力で城に逃げなければならない。

 先程の三人程度なら何とかなったが、既に敵の数は百を超えようとしている。

「なっ!?」

 だが、敵は集結する前に、四方八方に散り散りに動き出した。

「『火矢ファイアアロー』」

「『火矢ファイアアロー』」

「『火矢ファイアアロー』」

 そして、魔法の火で畑や家を次々と焼き始めた。

「あ、ああ!うちの畑が!」

「これから収穫なのに!」

「駄目だ!みんなあいつらい構うな!とにかく城に向かって、全力で逃げろ!」

 自分たちの畑や家が燃えるのを見て、誰もが絶望の表情を浮かべている。

(くそっ!ゲリラ戦を展開するって言ってたキリア達はまだなのか!?)

 幸い、まだ敵集団はこちらに気が付いていないが、あの無差別振りを見れば、こちらに気が付いた途端に襲い掛かってくるだろう。

「いたぞ、あそこだ!蛮族共を刈り尽くせ!女子供は問わんぞ!首一つにつき金貨一枚をくれてやる!皆殺しにしろ!」

 案の定、隊長らしき人間がこちらを見て、とんでもない事を言い放った。

「なんだと!?あいつら、無茶苦茶言いやがって!アヴェル!お前は、みんなの護衛に付け!俺はここで、奴らを食い止める!」

「ミナト!お主も逃げるのじゃ!」

「駄目だ!この距離ならすぐに追いつかれるぞ!」

「ミナト!」

「アヴェル!頼む!」

 口は乾くし、手の汗が止まらない。

 だが、今ここで戦えるのはどうやら俺だけらしい。

 隊長の声に男達が咆哮を上げ、畑を踏み荒らしながらこちらに向かって駆けてくる。

「うわあああああ!!『突風弾エアシュート』!」

 破れかぶれになって、突風弾エアシュートを撃つものの、冷却時間クールタイムのせいで一秒に一発しか撃てない。

 今ので油断していた一人と、それに巻き込まれた数人の脚を止められたが、それだけだ。

 ぎらぎらと光る、剣や槍が恐ろしい。

 さっきは上手く躱せたが、このまま接近戦になれば、数の暴力に呑まれ俺なんかあっという間に串刺しになるだろう。

「っ!『突風弾エアシュート』……はじかれた!?」

 しかも二発目は、やはりあっさりと防がれた。

 もう敵は目の前だ。

 この世界に来て二度目の死を覚悟した瞬間だった。

「え?」

 黒鎧の一人に、いきなり木の棒が生えたと思ったら、風切り音と共に次々との黒鎧達が倒れていく。

「これは、もしかして……やっと来たか!」

 どうやら、森の中から大勢の人間が矢を射っているらしい。

 恐らくキリアが率いるゲリラ部隊だと思うが、もしくは全く違う人達かもしれない。

 意気揚々と武器を掲げていた連中が、面白いように混乱して右往左往している。

「森だ!森の中にいるぞ!」

「「「「わああああああ!」」」」

 一人が叫ぶと今度は、次々と森の中に飛び込んでいく黒鎧達。

 全く統制が取れていないらしく、烏合の衆もいいところだ。

 テレビで見た自衛隊の行進なんてものの見事に揃っていたし、その軍事行動は規律に縛られた厳しいものだと聞いている。

 だが、これはあまりに酷い。

 これは、この世界が未発達だからこうなのか、それともこの集団が偶々こうなのか、判断に悩むところである。

 ただ、どちらかと言えば、全員が『異常に興奮し過ぎている』ような気がする。

 まるで危ない薬(・・・・)でも使ったかのようだ。

「だが、これはチャンスだな」

 これなら各個撃破できる。

「クロスケ……行けっ」

 俺は矢が脚に刺さり暴れている一人に、クロスケをけしかけ、その顔をクロスケで覆わせた。

「ふごっ!?ふごごごご!?……ふ……ぐ」

 ばたばたと手足を震わせ、何とかクロスケを剥ごうと爪を立てるが、その柔らかなスライムボディには無駄な抵抗でしかなく、男はすぐに動かなくなった。

「よし。まず一人。クロスケ、鎧とか武器だけ食えるか?」

 窒息で気絶させ、その隙にクロスケに武器や鎧を溶けさせてしまい、無力化していく。

 もちろん魔法カードの回収は忘れない。

 正気を失った集団は、俺とクロスケの良い的だった。

「『攻撃強化(パワーアップ』二枚!」

「『武器強化ウェポンストレングス』三枚!」

 魔法カードが増えれば増えるほど、敵一人を無力化させる時間が短くなる。

 どうやら同じカードでも同時に使えば、使っただけ強い効果を発揮するらしい。

 最初は、素手で鉄の防具を殴ると、手の骨が折れて大変な目にあったが、今なら後ろからぶん殴れば簡単に気絶させることができる。

 とりあえずで持っている槍というか、穂先が無い木の棒はいらなくなった気がするな…… 

 クロスケも、十人分の鎧を食べたところで段々と硬度を自由にできるようになってきたらしく、たまに敵の反撃を喰らっているがびくともしていない。

「クロスケさん、マジパないっす」

 俺も、少し軽口を言う余裕もでてきた。

「死ね!このガキィ!」

「おっと、『攻撃強化パワーアップ』五枚っと……とりゃ!」

 敵に切りかかられても、落ち着いて対処できる。

 なにせ、『攻撃強化(パワーアップ』を五枚も重ね掛けすれば、鎧を来た人間一人を吹っ飛ばせるほどの威力があるのだ。

「おっと、今度はこっちか。『防御強化(ディフェンスアップ)』5枚っと」

 俺の腕に白く光る膜ができ、振り下ろされた剣を阻む。

 何よりも『防御力強化ディフェンスアップ』の五枚掛けで、鉄の剣や槍を防ぐ事ができたのが大きい。

 人間、ある程度の安全が確保されれば、急に態度が大きくなるのだ。

 どうやらこの「~~強化」と言うカードが標準装備なのか、ほぼ全員が必ず何らかの強化カードを持っている。

 あと、鎧ではなくローブを着ていた一人からは『火矢(ファイアアロー』のカードが手に入った。


火矢ファイアアロー』火属性 ★★

【可燃性の魔力を燃焼させ矢とする事ができる。ただし、生み出した火に、魔力は余り付与されていない。】


体力強化タフネスアップ』祝属性 ★★

【魔力を付与することで、体力を要する行動に対し補正がかかる他、僅かに打たれ強くなる】


『魔力強化(マジックアップ』祝属性 ★★

【魔力を付与する事で、一時的に(レベル)を拡張し、僅かに魔力の底上げを行う】


知性強化インテリジェンスアップ』祝属性 ★★

【魔力を付与することで、一時的に魔法に対する感応性・親和性が向上される他、僅かに知的活動に補正がかかる】


精神強化マインドアップ』祝属性 ★★

【魔力を付与することで、一時的に魔法に対する抵抗力が向上される他、僅かに心理的負担が軽減される】


「おお……」

 『突風弾エアシュート』以外の遠距離攻撃手段が手に入ったのも嬉しいが、恐らくこれで「~~強化」シリーズは全て揃ったのではないだろうか。

「これが、皆がカードを集めたくなる理由か」

 今まで経済的な理由で、何かの趣味に走ることは少なかったし、特に収集癖なんて金食い虫の発作は起こした事もないが、こうやって何か特定のモノを集めるのは少し楽しいかもしれない。

 特にこうやって、実際に使うことができるなら、尚更集めたくなる。


 二百近くいた黒鎧の集団は、そのほとんどが森からの攻撃に倒れたか、森に入ったまま消えてしまった。

 これで少しは落ち着いたか……俺がそう油断した時だった。


「何だ貴様ら、この有様は!誰がこんな事をしろと言ったぁ!!ハインツ!ここに倒れている阿呆共を全員縛り上げろ!」

 さっきの集団の何十倍もの人数が次から次へと押し寄せてきた上で、さらにさっきの隊長格の人間なんて比べ物にもならない迫力で怒声を発した。

 垣間見える気配も、伝わってくる圧力もさっきまでとは全く違う。

 こちらが本命の戦力か!と、緊張も新たに身構えたのはいいのだが……

「ハッ!聞こえたな!第一から第二部隊は、阿呆共の回収!第三から第部隊は消火活動!第九部隊は民間人の探索と救護!第十以下は待機!すぐに動け!」

「「「「サー、イエスサー!!!」」」

「へ!?」

 そして、先ほどとは比較にならない、素晴らしく統制の取れた動きで、さっきの連中が付けた火を土砂や魔法で消して行く。

「ど、どうなってるんだ?」

 どう見ても同じ集団には見えない。

 同じ黒鎧なので、同じ帝国の敵兵であることは間違いないと思うのだが。

 森からも動揺した気配が伝わってくる。

 聖樹の森の民兵達も、彼らが敵なのは間違いないと思っているのだろうが、その行動が読めず、攻撃をしてもいいのかどうかすら迷っているのだと思う。


 これは一体全体どういうことだ?


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