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プロローグ
「ふわぁ……」
またひとつ、あくびがこぼれた。
春の昼下がり。ポカポカした陽気に誘われて、私はお気に入りの着物を着て、近くの川べりに散歩にやってきた。川沿いの桜並木は満開。風が吹くたび、ピンク色の花びらが雪のように舞い落ち、きらきらと輝いている。
「きれいだなぁ……」
私は手にした文庫本を閉じ、舞い散る花びらを一枚、そっと指先で受け止めた。
「猫耳、邪魔じゃない?」
ふと、声をかけられた。振り返ると、小さな女の子が不思議そうな顔をして私の頭を見つめている。
「ううん、全然」
私はにっこり笑って、頭につけた猫耳カチューシャを撫でた。
「これは、私のお守りなの」
女の子は首を傾けながらも、私の言葉に納得したようで、また元気に走り去っていった。
私は再び文庫本を開き、読みかけのページに目を落とす。
「……さて、続きを読もうかな」
ゆったりとした時間が流れる、いつもの日常。そんな、私のゆるゆるな日常が、またここから始まる。




