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閑話【雪が止む前】
夕方から降り始めた雪は、雲の隙間から落ちる月の光を冷やしている。
冒険者たちと共にこの氷冠砦に入ったばかりの治癒士の若者は、護衛の女騎士と共に病棟の見回りに出ていた。
病床は数え切れないどころかベッドが足りず、治癒士の仮眠室までもが痛みに魘される声に満ちていた。
「……助かった人、多いですね」
「でも、まだ目を覚まさない人もいます」
「……あの人、ずっと立ってましたよね」
「女性の治癒士ですか?」
「はい。銀髪の……」
「……はい」
二人の会話に上った、治癒班のエース。
彼らは自らの目蓋に焼き付いているリヴィアの姿に、尊敬の念を込めた。
「すごい人ですね」
「僕も……あんな治癒士に、なりたいものです」
もうすぐ、夜明けを報せる鐘が鳴る。
閑話 了




