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サブヒロイン一筋ですが何か?  作者: ないんだな、それが
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第十六話

 目が覚めると、あたり一面、暗く温かかった。

 どうやら布団で寝かされているらしい。

 身体を起こそうとすれば、全身に軽い痛みが走り、思わず身体をうずくませてしまう。


「こ、こは……?」

 周囲に目を見渡すも、暗すぎるせいで何もかもが見づらい。

 あまりにも情報が少なすぎる。

 夜目が利くまでは、意識を失う前の情報を必死に呼び起こそうする。


(たしかグリードグリズリーと戦って、それから、それから……!)

 そう、コースケが助けに来てくれたのだ。だが、彼は止まってくれたのだろうか。

 一度気がかりが起きると、いてもたってもいられない。

 痛みを訴え続ける身体に鞭を打ちながらも、その場から起き上がろうとする。


 だが、夜目も利かず、戦闘中に使った麻薬の影響だろう。

 言いようのない吐き気、眩暈に襲われ、その場で大きい音を立て崩れ落ちる。


「い、たい」

 あまりにも身体に無理をさせている。

 自覚はあるが、せめて安否だけでも確認せねば。助けて貰った以上、貸しは帰さなければ。

 その思いが身体を突き動かし、徐々に利いてくる夜目を頼りに扉まで這い寄る。


(廊下まで出れば、誰かが気付いてくれるかもしれない)

 そう思っていると、足音が近づいてくる。

 一体誰だろうと考えていると、ガチャリとドアノブの音一つと共に、ランタン片手に黒を基調としたエプロンドレスを纏った女性が姿を表す。


「あぁ~、お目覚めですかぁ? おはよぉーございますぅー」

「カリン……さん」

 おっとりとした口調、それに眠たげな垂れ目、赤い三つ編みの髪を片手で弄りながら見下ろしてくる姿は間違いようがない。


「ここは……ギルド?」

「そうですよぉ。コースケくんがぁ、わざわざ急いで此処まで運んできたのでぇ、治療して寝かしてたわけですぅー」

 その言葉に、一瞬納得するがすぐにコースケ自体はどうなったのか気になりだす。


「コースケは? コースケはどうなったの、どこいったの?」

「その話はぁ、あとにしましょぉー。今はぁ、クレアちゃんも大事にしないとぉー」

 気まずそうに頬を描いた後、無理やり話題を変えようと思ったのだろう。

 手を叩いて、一旦この話を終わりと言わんばかりに肩を担ごうと手を伸ばされるが、それを払いのける。


「それよりも聞かせて、コースケはどうなったの?」

「え、あぁ、うーん、っと」

「――お願いカリン」

 困ったようにするカリンさんに念を込めてお願いするが、チラリと後ろを一瞥する。

 誰かを警戒している。それだけは読み取れるが、真剣に見つめれば、小さなため息を一つ。

 ランタンを傍の机に置くと、扉を閉めしゃがみこんでくる。


「なにがあってもぉ、驚かないでくださいねぇ?」

 そう言って、先程までとはまた違った威圧感に押され、黙って首を縦に振る。


「コースケくんですがぁ、今このギルドにはぁ、いませぇん」

「どういう、こと……?」

 呼吸が荒くなる、冒険者としての勘が警鐘を鳴らし続けるが、無慈悲に言葉が続く。


「ですからぁ、コースケくんはクレアちゃんの罰も含めて一人で引き受けてぇ、謹慎ですぅ。良かったですねェ、あとちょっとやらかしてたらぁ、除名は免れませんでしたよぉ?」

「どう……して?」

 その言葉に穏やかなカリンに目を合わせられない。

 だが、抑えようとのない疑問が震えた言葉を口にした。


「本当にぃ、分からないですかぁ。――だったらぁ、救いようがないですねぇ?」

「今回の一件、ギルド長も重く見てるんですよぉ? たまたま運が良かっただけで、生き残れただけであってぇ、下手をすれば街の住人にも被害が出ていたわけなんですよぉ?」

 そこのところ良く分かってますかぁ。と問いかける声が聞こえるが上手く理解出来ない。

 ただ自分の起こした失態が、どれだけの問題を引き起こしかけたのか。

 それを理解し、飲み込むだけで精いっぱいだった。


「すいま、せん、でした」

 その言葉にクスクスと笑う声が聞こえる。

 ゆっくりと顔を上げれば、微笑んだ表情のまま、視線をあわしてくる。


「良いんですよぉ? 人間は間違える生物ですからぁ、今回を糧にしてくれればぁ。でもぉ――」

 ニコニコと笑いながら、次はないですよ。

 耳元に呟かれた言葉に全身が言い知れぬ悪寒に襲われる。

 何も言い返せずただ震えながら首を縦に振れば、良い子ですねぇ、と何の慰めにもならぬ言葉を掛けられた。


 そうして震えている私を、軽々しく持ち上げると、ベッドへと戻される。

 傍には共鳴石を置かれる。


「何か必要な物があったらぁ、それで呼んでくださいねぇ、私いつでも対応できますから」

 カリンが何かを言っている。

 だが、言い知れぬ恐怖に背筋を震わせる事しかできない反応に、ごゆっくりと一言、扉が閉められる。

 コツコツと歩く音が遠ざかっていくと共に、震えが収まり。


「っ! はぁっ、はぁっ、はぁっ」

 呼吸が定まらない。怒らしてはいけない人を再認識すると、ふと窓から見える景色を見た。

 コースケはどうしているだろうか。何故だか、それが気になった。

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