第八話 レイドクエストは
「作戦があるの。」
そうサミは言った。
「とりあえず落ち着いて、ネズミ一体はあのムカデよりうんと弱いよ。耐えれた人なら余裕だよ。深呼吸。」
その言葉で頭に溜まったものが流れはじめた
息を吸って吐く
「私ね、魔術、一発ならどでかいの撃てるようになったの。だから一網打尽にしたい。」
「どうやって集める?」
「それが思いつかないから、コウを頼りにきた。」
サミの目は鋭く磨がれている
勝つ気だ
「少し考えさせて。」
ネズミの習性、、、隙間、歯、使えるものはない
魔物、動物、、
使い魔、
「そうだ、使い魔!!使い魔なんだよネズミは!」
「考えついた。サミ、あの東屋の上で思いっきり魔術を貯めて、ピンク髪を狙って。そしたら絶対ニ対一の状況ならネズミで阻止してくるはず。」
「でも、貯めてる間にきちゃうよ。」
「今、俺のスキルでムカデの毒を再現してる。だから、再現が終わったら貯め始めてほしい。俺がネズミを止める。」
「わかった。それで行こう。」
そうしてまた俺は目を瞑った
ーーーーーーーーーー
「ふんッッッッ!!!」
土煙と共に地面が抉れる
「ええぃちょこまかと鬱陶しいやつめ!」
「ジョーさん!!左後方にナイフです!!」
「わかった!!」
そう言うとハンマーの持ち手でナイフの軌道を逸らした
「おそらくこの女は魔物使い(テイマー)です!魔物を使役している間は他の魔術が使えません!武器による攻撃に注意してください!!」
「ガッテン!!」
踏み込み、振り下ろすハンマーは風を切る音と共に女のアバラめがけて急接近する
しかし体術でギリギリ避けられた
後隙を狙った女にナイフで刺されそうになる
すかさずメガネさんがレイピアで弾く
女にはまだ余裕がある
「さっきから一言も話さんとは気弱なやつよの。」
「…………」
「何か言うことはないのか。目的やら、恨み言やら。」
「………….」
「おそらく、上からの命令で従ってるタイプですね。」
「そうだのー。ワシらもここで死ぬわけにはいかんのだ。ナワバリに入ったのならすぐ立ち去るが、、結界を張ったということはそういうことだろな。」
ジョーさんはハンマーを掲げて構えた
「いくぞタケ!!」
「小火山の鉄槌!!」
地面を思いっきり叩く
ハンマーから同心円状に炎が広がっていく
地面に逃げる場所はない、女は空中に跳んだ
メガネさんは叩きつけられたハンマーの上に乗る
「刺突剣術 燕突!!」
一気に女の元まで跳びあがり、刺す
女は防御をしたせいで勢いを殺せずに結界の天井に激突した。
そして落下した
舞い上がる砂ぼこりの真ん中に人影が倒れ込む
「ナイスだ!タケ!」
しかし返事は返ってこない
「おい!タケ!どこ行った!」
向かい風が起こり始め、視界が晴れる
「がポッ、、、」
砂ぼこりの中には女なんていない
喉を噛みちぎられたタケが倒れている
「くそっ!ネズミか!!待ってろタケ!今治癒魔術を、、」
とジョーは近づこうと一歩踏み出す
だが勘で近づこうとはしなかった。
その時上から他の冒険者の剣が勢いよく降り地面に突き刺さった
「おのれ!さっきから鬱陶しい!!」
目の前の剣を拾い上げ、向こう側にいる女と距離を取る
「よぅし。絡め手じゃな。」
「にしてもそっちは近接しかしてこんのか!!ジリ貧よのぅ。」
すると女はあらぬ方向を見た
目をやると高台にまた別の女が立っていた
「〜集え、この掌に、ゆらめく赤の灯火よ!!!」
炎の色が蒼い
そして大きい
「なるほどぉ、、やるな娘!!大したもんだ!!」
すぐにピンクの女が動く
すかさず剣を持ち前に立ちはだかる
「もっとワシと遊んでおくれよ。面白そうな方にすぐ乗り換えとはひどいやつよのぉ。」
そして切り掛かるのだが、さっきまでの力みがない。
ワシより向こうのほうが脅威なんだな
よし
と思っていた矢先、脇の間から抜けられてしまった
女は一直線に娘に走っていく
「絡め手じゃと言ったはずだろうに。」
ハンマーに結んでいたロープを落ちていた剣に結び剣をぶん投げた
ピンと張られたロープに足を取られて女の体制が崩れる
「嫌がらせでワシに敵うにはあともう少しは生きんとな!!!」
そして足を掴むことに成功
ここからは時間稼ぎだの
女は蒼い光へと手をのばす
その直後全てのネズミが鳴き始め光へと駆けて行く
「そうだ、しまっt…」
次の瞬間にはナイフで脇腹を刺されていた
「くそっ!!」
拳を喰らわそうとしたがもう女は走って行ってしまった
くそっ!!しくじった!!!
まずい詠唱中であれば対応は不可能!
せめてなにか投げねば!!
いや!ここは治癒魔法で傷を塞ぐ!
魔術の有無に限らずどうにか戦わなければ
ネズミの軍団は柱を登って行く
鳴き声が重なってどんどん大きくなる
白い石柱がどんどん黒く染まる
応急処置用の初級治癒魔術を詠唱しようとするが
呂律がうまく回らない
もう娘の下にはおぞましいほどの塊ができていた
ここで奇妙な事が起こる
上に登り切ったネズミが落ちて行くのだ
あのガゼボの下にどんどんネズミが倒れて行く
一体どういう事だ
そして女が娘のもとに跳んだ
が、おかしい
屋根の上まで来たというのに女の刃先が娘に届いていない
それどころか膝をついて倒れた
そうこうしている間に娘は屋根から降りていた
炎の塊が徐々に小さくなっていく
「燃えて我が道を切り開かん!フレイム!!〜」
娘の手から放たれたものはフレイムではなかった
ワシの知るものはもっと火だ
なのに手から飛び出したものは青く輝く小さな光
着弾と同時に世界が揺れた
きっと結界のせいだろう
地面と視界がものすごい振動と共に動いて、耳は聞こえなくなった
ーーー!
意識が飛んでいたようだ
頭に瓦礫がぶつかっちまったらしい
瓦礫から這い出してあたりを見回す
例のガゼボを中心に焦げた何か以外何もない
結界もない
だが先ほどにはいなかった人がいる
見た感じ王国の衛兵だろうか
あれからしばらく経ってしまったのだろう
「そうだ!タケ!!タケは無事か!!」
駆け寄ると傷が癒えたタケが気を失っていた
自分で集めておいて大勢のルーキーを死なせてしまった。でもルーキーたちも冒険者だ、いつでも死ぬ覚悟はあったはず。いや無い。あいつらはまだ本当の意味での冒険者じゃ無い、そのためのレイドクエスト。
絶望に打ちのめされている中大勢の衛兵がワシを囲む
「大丈夫ですか。」
「……」
「あなた方は今回の事件の唯一の生き残りです。」
「……」
「先ほど、剣士を保護しました。お仲間の方でしたか?」
「……」
「いきなりですが、逃亡した犯人の男と女の特徴、覚えていらっしゃいますか。」
何を言っているんだ。女一人だろ?男?
「.... ..」
「この爆発でレイドクエストに参加していた半数以上の冒険者が殺されました。死体からすべて、炎魔素が検出されています。」
「クエスト参加者は合計9人、あなたと、倒れている方、剣士の方を引いて6名いるはずですが、死体は4名分、2名足りないんです。」
「なにかご存知ではありませんか?」
「………」
「それにしても酷い殺し方だ。痛ぶるだけ痛ぶって、燃やすなんて、悪魔の所業だ。」
「ネズミ、、」
「どうされましたか。」
「これは、、ネズミが、、ネズミがやったんだ。」
「落ち着いてください。とりあえず、王国の方で聞き取り調査やらを行うのでついてきてください。お仲間の方は医療院に運んでおくので、剣士の方とあなたはこの車にお乗りください。」
そして灰をまきあげながら馬車は走っていった。




