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第九話 勇者さん飯を食らう

私が二人が指名手配になったのを聞いたのは事件から大体一ヶ月後だった。

王子直属のパーティーの付き人として、学ぶことが多過ぎて王城に籠りっきりだったから。


一週間の付き合いだけど、あの人たちは人殺しをするような人じゃないし動機もないと思う。私は助けられたのだから。


おそらく魔族の手先かなにかではないか

勇者の芽を摘みにきたとかそんな、

とりあえずまた会えたら話を聞こう

捕まったら私がやれることはしてあげよう


「ねー。スミレちゃん何ボーッとしてるの?」


「ちょっとした考え事です。それにしてもあと少しですね。」


「だねー。王子様の準備が終わり次第ようやく出発かー。」

どうもレイジという男が苦手だ。今もしれっと私の座っている椅子の横に移動している。

距離が近いのか?女たらしだった弟に似てて嫌だ。


王子のメイクアップが終わったらしい。

ゾロゾロとメイドがはけていく。

なんせ王の子が勇者として旅に出るのだ。王も勇者だったらしいし盛大に送ってあげたいのだろうね。


「スミレさん。ご武運を。」


「先生のその姿しっかりと目に焼き付けましたよ。旅の途中で忘れないぐらいに。」

と微笑んだ。

仕事中なのもあり、それ以上先生は何も言ってくれなかった。


でもすごい心強かった。


「よいか。それでは行(ゆ)くぞ。」


先頭を歩く勇者の後ろについていく。


その後ろに戦士レイジ


続いてアーチャーのハンナちゃん


罠師のカタモルさん


魔術師スミレ


僧侶のバーバラさん


カタモルさんの体が大きくてよく前が見えないけど、門が近づいてくるのがわかる。

緊張で慣れないローブの裾を踏んでしまってよろけた。

そこでようやく周りの人たちを見れた。


みんな笑顔だ。


歓声が耳を揺らしてその摩擦で胸が熱くなります


はじめて


うん


はじめて胸を張って歩ける


頑張ってきます


おばあちゃん、おじいちゃん!!




そこからは順調過ぎて少し怖いぐらいだった。

頼れる人が多いし、王子の付き添いだから半端な人はいない。私もできることをしている。でも自分の劣等感が拭えない。


「少しいいか。」


王子が口を開くと全員すぐに切り替える。


「出発してだいぶ経っているが、今どの辺にいるかわかるか?」


ハンナちゃんがすぐに地図を開く

「大体、王国からこれだけ離れた所でございます。」


「そうか、ではこの街に寄ろう。最近、同じ食事ばかりで飽き飽きしているだろう。買い出しも含めて店に寄らないか。」


「いいですね!!」


そうしてみんなウキウキで身支度を始めたが、王子の顔はあまり変わらなかった。



家だ


宿だ


ベットだ


そうしてベットにダイブした

嗚呼、幸せ



そして久々の麺!シンプルな野菜スープ!これだけであと数日はハッピー

パスタをほおばりながら次に向かう都市について会話していた


でもやっぱり王子はどこか浮かない顔をしている

伝えるなら今しかないか、、


「王子、恐縮ですが質問よろしいですか。」


「わかった。なんだ。」


「王子はやはり王子なのですか。」

他の三人も同じことを聞きたがっていた顔をしている

もちろんレイジを除いた


「??、、というと?」


「どこか私たち堅苦しいな、といいますか、同じ目的のために力を合わせるパーティですし。無礼だとは思いますが身分の差を考えたくないんです。」


「俺も同じこと思っていました。」とカタモルさんも同意してくれる


「仲間としてともに歩みたいのです!」






少し王子は悩む様子を見せた。

でも顔は少し笑っていた


「そうか、それなら仕方がないな、、、、ふぅ」

首をコキっと鳴らす





「疲れたなぁ、、、、、、では、しばらく王族を辞める。初めまして、リヒトというものだ。よろしく頼む。」

肩の荷が下りたのか一気に顔の筋肉が緩んでいった。

なんだ、いい笑顔もってんじゃん


リヒトは最低限の作法で次々にパスタを胃に入れていく

一口、また一口と消えていく。細かく切られたべーコンも、炒められたキノコも踊るように吸い込まれていく

さっき食べたはずの同じものなのに、別の料理の香りのように感じた。

こんな幸せなパスタを今まで見たことがあっただろうか、いや、無い


「あぁ、幸せだ、、人の目を気にせずに食事ができるのは。」


とはいっても明らかに私たちよりお行儀が良くてなんか悲しい


「実はずっと形式ばった王城の風習が嫌いでな、これが自由というものか。」


目に光が宿ってぴかぴか光っている


そうして勇者リヒトの旅が始まった

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