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異世界服屋ユルク◊ドレスアップ〜スキル【ファッションブック】で定番から最新まで理想のスタイルを叶えます 〜   作者: 鏡野スガタ


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加工屋 隠された姿

 さて、店の外に出たことだし。


「マスター、私も今日はこれで失礼します。ありがとうございました。」


 感謝のスマイルで店の見学を終えよう。


「どうだった? 俺の店は」

「規模が違い過ぎて圧倒されました。私ではまだ貴族街出店は早いかと」


 落ち込んだりはしなかったが。

 冷静に考えさせられる凄さだった……


「そうか、ユルクにはまだ町の服屋を任せておくとするか」

「はい、今日の見学は店の貴族コーナーの参考にさせていただきます」


 しかし、この店の規模を我が店に縮小するとなると。

 ごちゃつきそうだなぁ、そうだ。


「今度はマスターも私の店に来てアドバイスください」

「わかった、そうしよう。今日は予約客の案内があるからまた日を改めて、久しぶりにユルクの店にも行かせてもらうとするよ」

「はい!」


 来店の約束と別れのスマイルを交わし。

 マスターの店を後にしよう。

 次はどうしようか、このまま店に戻ってすぐ参考内容を活かすか。見学をメモにまとめてディスプレイして……

 せっかくの休日を仕事に当てるのもな。

 明日にして、のんびり過ごすか。

 貴族街を抜けて街に向かいながら行き交う人々の服装を眺めて。

 王立図書館が見えてきた、隣の公園で一休みしよう。

 ここら辺は相変わらず魔法使いや研究者が多いな。

 私も店で役立つ魔法を探すために、図書館や近くの王立研究所によく行ったなぁ。

 そうだ、加工屋の仕事場兼家を訪ねてみようか。

 ここから近いしマスターと素材屋の次にってことで、服飾ギルドメンバー達の様子を見てみよう――



 焦げ茶色のレンガ造りの大きな家についた。

 屋根や壁には蔦が絡まっていて神秘的というか怪しい雰囲気もある。

 私は服飾ギルドメンバーだから何も怖がる必要はないんだ。扉を叩いてみよう、トントン。

 あっ、使い魔のカラスが扉の横の覗き窓に現れた。


「こんにちは、服屋です」


 警戒心を解くための声かけとスマイル。

 カラスはうなずいて開けてくれた、お邪魔しよう。

 静かなこじんまりとした玄関ホール。カラスは私の肩に止まって一応怪しいところがないか服装やらをチェックしている。

 あ、扉が開いた。


「服屋か」


 フレデリクが迎えてくれた。


「どうしたんだ?」

「どうもしないんだけどさ」


 私の控えめなスマイルにフレデリクは不思議そうな顔をした。


「さっきまでマスターの店を見学していてね、そこで素材屋にも会ったから、こうなったら加工屋にも会いに行こうと思って来たんだ」

「思いつきか」

「うん、忙しいならもう帰るよ」

「入って構わない、仕事もそろそろ終わりだ」


 加工屋の仕事か、あんまり見る機会ないな。


「見学していいかな」

「ああ……」


 許可をくれると。

 フレデリクが先に私の服装をチェックした。


「服飾ギルドのローブなら加工時の予期せぬ爆発にも耐えて体に被害も及ばないだろう。顔はフードや(そで)なんかで上手く隠せ」

「え?」

「もしものための話だ」

「そうだね」


 以前仕事で来た時にも同じようなこと言われたな。

 しかし、今日は休みにぶらっと来ただけ。

 爆発事故に巻き込まれるのは嫌だな……

 何も無いことを祈りながら部屋について行こう。


「素材屋は新しい服を来て素材集めに行ったよ」

「そうか……」


 その時のことを話ながら歩く。

 フレデリクはうんうんと聞いている。

 仕事部屋に入ると何事もなかったように作業に戻った。

 私も見学と服装チェックを開始しよう。



 加工屋 (エンチャンター)の服装

挿絵(By みてみん)

 なんていうか、陰の者だ。

 まさに魔法使いにして職人の服装というか。

 マントとエプロンが合ってなさすぎる。

 まずはマントの長さ。彼の背丈に対して中途半端だ。

 フルレングス (足首丈)かフロアレングス (床すれすれか引きずる丈)ならカッコよくミステリアスな感じがあったかもしれない。

 今のマントは何レングスでもない謎丈だ。背が伸びる前から着ている愛用のマントだそうで。何年着てるんだ? 愛着ありすぎだろ。しかし、長年大事に着てもらえるのは服からすると幸せかな。

 それにしてもマスターの店のマネキンや素材屋の完璧なるコーディネートからの落差が激しい。

 加工屋はあまり服装にはこだわらないタイプだ。

 こちらはこだわってチェックしていこう。

 フードマント。魔法文様でもある銀糸刺繍のトリム (縁飾り)がある。

 留め具はフィブラまたはクローククラスプ。

 顔は髪とフードに隠れてよく見えないが。

 モノクル (片眼鏡)をつけているようだ。テンプルを使って耳にかけるタイプと目にレンズを挟むタイプがあるが髪が邪魔でどちらかよくわからない。

 チェーンも見えるが……


「あの、すみません」



 マントを脱いで髪を結んでもらった姿

挿絵(By みてみん)

 美男子が現れた。

 この姿で町を歩くだけでモテて城の専属加工師に任命されて令嬢と婚約までいくチート持ちだ。

 今のところ加工屋の仕事にしか興味ないようだが。

 私も服屋の仕事を続けよう。

 モノクルは耳にかけてあるテンプルタイプ。

 チェーンは後ろ襟に留めている。そうしておけばモノクルを外した時に肩に掛けておける。外れた時には落下を防げる。

 ベルト状の肩紐が丈夫そうなレザーエプロン (革エプロン)。胸の装飾のようなものはペンホルダー。腰に大きなポケット。

 締めているのはツールベルト。

 黒の襟付きシャツは袖を腕まくりしている。

 タイトなズボンとワークブーツ。

 右手に持っているのは丸底フラスコ、左手にはマジックテキスタイル (魔法付与された生地)。

 説明を省いた簡単な名前は作業着、仕事服、ワークウェア。

 ユニフォーム (制服)というには適当過ぎる、個人の自由な服装だろう。


「服装チェックか、俺には必要ないだろう」


 ボソッと素っ気なく言った。

 彼はまだ自分の顔の良さに気づいていないのか。

 今はどうでもいいのかもしれないが。

 適当な作業着姿さえ変えれば人生も変わるだろうに。

 割引するからと言って服屋に誘っても。

 今着てるのみたいなのしか買わないし。

 ま、気が向くまで、そっとしておくか。


「そんなことないよ、加工屋の服装を見る機会なんてそうそうないからね。参考になるよ」

「俺の服装が参考になるのか?」

「う、うん」


 加工屋向けの服として店で売るかは迷うけど……


「一つの服装例としてね。個人的にも見てて楽しいし。まぁ服装チェックは趣味でもあるんだよ」

「楽しいならよかった」


 納得してくれたようだ。


「フレデリクも加工屋を楽しんでる?」


 いつ何時でも顔からは読めないからな。


「ああ、楽しんでいる。今回の加工は既に二度爆発して失敗している、やり甲斐のあるなものでな……」

「二度も爆発済み!? 危ない時に来ちゃったな」


 私も床に散乱しているフラスコの残骸みたいになりかねない。

 フレデリクは綺麗な顔も無事にフードなどで守っていられるようだが。

 事故が起きたときの咄嗟の機敏な動き、服屋は服のためでないと機敏さを発揮できないから難しいかも。

 自分を守るために服を犠牲にするような危険はなるべく避けたいものだし。


「危険回避のために退散するよ、またね」

「あぁ、また……」

「また」


 安全を優先して帰ろう――

 しかし、何か物足りないな。

 そうだ、隣の部屋に行ってみよう。

 双子の片割れがいるかもしれない。


「ベアトリスにも挨拶していくよ、いる?」

「いるよ」

「では――」


 隣の部屋の扉をコンコン。


「こんにちは、ユルクです」

「いらっしゃい」

「急に、お邪魔するね」

「カラスから話は聞いてるわ、ゆっくりしていって」

「すぐ失礼するよ、爆発の危険があるっていうから」

「ふふっ、私の部屋に被害は及ばないから大丈夫よ、こっちの加工は爆発の心配もないし」

「じゃあ、安心だね」

「ええ、好きなだけ居て」


 笑顔をみせたベアトリスは、いつ見ても美しい。

 フレデリクの妹とは。陰と陽のような双子だ。

 何度見ても驚いてしまう信じられない。

 こんな人が、こんな目立たないところに居るとは……

 そのうち美男子の貴族とかと婚約するのかなぁ。

 そうなるとしても、彼女は今は仕事に専念している。

 私も服装チェックに専念しよう。



 加工屋 (エンチャンター)の服装2

挿絵(By みてみん)

 少し乱れた長い髪も加工時に使うという。触手のように伸びて手足のように器用に動く。

 スタンドカラーブラウスのパフのカフス (袖口)下、腕に巻いている黒い包帯。この魔包帯も加工時に使うという。危険な加工魔法で発生した毒素を吸収したり怪我を治癒したり。

 レザーエプロンはフレデリクのと似ているが、フレデリクのとは違い腹部やポケットのライン (装飾帯)や裾部分に刺繍など細部にこだわりが見られる。

 タイトなズボンとワークブーツ。

 レザーのロンググローブ (革の長手袋)。

 フレデリクと同じような片眼鏡。

 説明を省いた簡単な名前は作業着、仕事服、ワークウェア。

 全体的にフレデリクと同じような服装だが、彼の適当さとは違って整いとオシャレさがある。

 双子でもはやり服装なんかに違いがでるんだなぁ。


「服装チェック? こんな格好で恥ずかしいな」

「いや、紫のブラウスに黒い包帯、エプロンと片眼鏡、魔女の服装と職人の服装が上手く融合してると思うよ」

「そう? ありがとう」


 ベアトリスは喜んでスマイルをくれた。


「そろそろ一段落するから、一緒にランチに行かない?」

「いいね、行こう」


 丁度お腹すいたし、ベアトリスと出かけよう。


「どこで食べようか?」

「私の行きたいお店でいいかしら?」

「いいよ、楽しみだな。どこ行くの?」

「図書館の近くに新しいカフェができたの。オシャレなカフェだから、フレデリクと二人で行くのはちょっとどうかなと思ってたところだったのよ」

「よし、三人で行こう」

「行きましょう!」


 フレデリクも誘ってと。

 彼は特に難色も示さず了承した。

 いつもこんな感じで心が広いのか、仕事以外はこだわらないのか、どちらにしろ二人とのランチが決まった。

 作業着からの着替えを待とう――


補足です。


挿絵が乙女ゲーチックになってます。

今までのも、どちらかといえば女性向けのイラストになっている気がします。

服屋とかファッションとかの物語を男性が読むのか疑問なのもありまして。

まぁとにかく服装の特徴や良さがわかるような挿絵にしていきたいと思います。

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