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鑑定士 2

                                   ・



「20、ですか?」

「ああ、20だよ。 まさか"高い" とは言わないだろうね」

思わず訊き返した私に鑑定士が応える。

「いえ、そんな金額で宜しいのかと思って」

「おや、感心だねぇ。 "鑑定"の価値を分かってるようだ」

鑑定士は私の顔を見てにやりと笑った。

「あんたがもっと持ってりゃ吹っ掛けてやったところさ」

「・・・ではこれでお願いします」


 私は鑑定士の前に10ルド硬貨を二枚置いた。

正直 "払える額" だった事にほっとしていたのは否めない。


「これは "コモン" ではないねぇ」

代金を仕舞った鑑定士がクロスボウを指して言う。

「市中の武器屋で売り買いされている道具じゃない」

そうなのか。

山賊達は我々と同じように店で武器を買っている訳では無いのか。


「まあ、こういうのを診るのが私の本来の仕事なんだけどね!」

クロスボウを掲げ持って鑑定士が言う。

「剣を何本も持って来て『どれが一番イイか教えろ』 みたいなのばかりさ」

大げさに溜息をついてみせる。

攻略組のプレイヤー達にはそれも重要な事だと思われるが。


「・・まったく、自分で使ってみりゃ分かる事なのにね!」

そう言われれば確かにそうかもしれない。

武器に限らず肝心なのは数字上のスペックではない。 ()()()使()()()()だ。

だが効率を重視する攻略組は数ある同種武器を比較検討する時間を惜しむ。

最初からベストスペックの武器を使用したいのだろう。

その気持ちは分からないでもない。


「でも、それはアンタも同じだよ」

鑑定士がクロスボウをカウンタに置いて呟いた。

「私がこれから言う事はアンタがこれを使い込めば自ずと分かる事なのさ」

「・・・・」

確かに。 峠で私が使った弓も射る度にその性質が明らかになって来たものだ。


「それにアンタは既にこの道具の凡そを知っている」

若くもあり老婆のようでもある鑑定士は私を指して言った。

「20ぽっちで教えてやるのはそれもあるからだよ」

「有難うございます」

私は礼を述べて頭を下げた。


「良くお聞き。 このクロスボウはね・・・」




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