242.みんなで見守る初収穫と大量の種
【陽の月3週目、木の日】【4月3日12:30】
時刻はゲーム内時間で午前4時。写真撮影を望むゾンビの行列を無事に捌き切りログアウトした後、30分だけ仮眠を取り再ログイン。疲労は残る中、普段より1時間早く戻ってきたのには理由があった。
「セ〜フ!なんとか実る前にイン出来たな」
そう、アース米の収穫に備えてである。稲の姿が他プレイヤーの目に映るリスクを減らしつつ、少しでも早く種を量産する為、ログイン時間を早めたのだ。
「さてさて残り時間は……後10分ちょいか。我ながら完璧やな!……うぉっ!」
ジョブや称号を農業特化に変更してから、収穫可能時間をシステムで確認。狙い通りにログイン出来た事に満足していると、背後から肩をポンポンと叩かれた。
ユサタク:よっ、流石に初回ともなると早いな。
ソーイチ:ビックリした!もう、叩く前に一声かけてくれよ!
ユサタク:すまんすまん。独り言に気づいて近寄ってみたら、アース米について呟きそうだったからな。口より先に手が出てしまったよ。
ソーイチ:ああ〜。確かにあのまま放置されてたら、ボソリと呟いてたかもな。
叩いた相手は我らがリーダーのユサタクだった。俺は急な肩叩きに不平を言うも理屈が通っていたので何も言えなくなってしまった。
ユサタク:それにしても流石に初回の収穫ともなると、いつもよりイン時間が早くなるんだな。
ソーイチ:そりゃMJOで初めての米収穫やで。そんなイベントの瞬間に立ち会わんとかありえへんやろ
ユサタク:本当にギリギリだったけどな。てっきり来ないかと思って、初収穫の栄誉は俺が貰うつもりだったんだがな〜。
ソーイチ:うわぁ〜。このリーダー、部下の手柄取る気満々やったんか。ずっる〜。
ユサタク:【収穫】のレベルが一緒なら誰が収穫しても一緒だし良いだろ?それにアース米は22時間系の野菜だから、日を追うごとに収穫時間はドンドン早まるんだ。多分、明日は別メンバーに任せる事になると思うぞ。
ソーイチ:収穫後、すぐに種蒔きしたとしても次は2時過ぎやもんなぁ。まあ、その時は【種化】含めて畑に居るメンバーに任せるわ。
ユサタク:ああ、任せてくれ。
ソーイチ:ところで例の件なんやが……
ユサタク:ああ、その事か。それはな……
一番大事なのは初収穫だけ。2回目以降の収穫については他のメンバーに任せてる事を伝えた。その後も少し談笑をしていたのだが、途中ゼロがコールに参加してきた。
ゼロ:お話中すいません。そろそろ収穫開始時間になりますので、持ち場に待機をお願いします。
ソーイチ:お、もう時間か……って、いつの間にか周りにめっちゃ人居るんやけど!?
ユサタク:そりゃ初回だしな。見張り2人も作物が実った直後にダッシュで見学に来る予定だから、2〜3分は刈り取るんじゃないぞ。
ソーイチ:オーケー。どうせやったら稲穂を背に記念撮影もしよか
ユサタク:それもアリだな。
いつの間にか集まっていた仲間達に驚きつつ、俺は全体が見える場所に立つ。すると畑がチカっと瞬き、1区画分だがみっちりと稲が生えてきた。
ソーイチ:来たああああ、稲や!ちゃんと稲穂や!
ユサタク:よっしゃあああああ!!
ベイクドモチョチョ:やりましたね!
ユサタク:ああ!セキライにミコト!2人も見張りを切り上げて来てくれ!ソーイチが記念撮影するから!
ミコト:こっちは大丈夫なのですぐいきます!
セキライ:俺も爆速で向かうっすよ!
ソーイチ:じゃあ来るまでの間に俺だけ撮っとくか。
フワフワ:【ビジョンスキャン】って集合写真に自分混ざれないですもんね〜。
ソーイチ:そうそう。
アーツの仕様にブツクサ言いながら、まずは自撮りでパシャリと1枚。そして、
ソーイチ:みんな揃ったな。じゃあ撮るで〜!
ユサタク:ああ、頼む。
ソーイチ:はいチーズ!
パシャッ!
全員揃ったところで、もう1枚撮影した。その後、俺を交えてスクリーンショットも何枚か撮影し、初収穫の記念撮影は終わった。
ユサタク:よし、記念撮影終了。大丈夫だと思うが、すぐに収穫してくれ
ゼロ:あっ、数の推移を記録したいので【種化】の前に収穫高の集計もお願いします。
ソーイチ:ああ、超速で刈り取ってくるわ。
ユサタク:ああ、機密保持のため、アーツで頼むぞ。
ソーイチ:わかってるって。
初回は手作業で収穫したい気持ちもあったが、今回はクラン事情を踏まえてアーツを放つ。ピカッと輝き、作物は一瞬でカゴの中に収まり、農地は手付かずの状態に戻った。
ユサタク:お疲れ様。初収穫の気分はどうだ?
ソーイチ:喜びもあるけど、やっぱりアーツ1回分じゃ現実味に欠けるな。
ユサタク:ははは、MJO初の偉業を成したというのに、随分と贅沢な悩みだな。
ソーイチ:確かにそうやな。
ベイクドモチョチョ:それよりソーイチさん!どれくらい収穫できました!?
初収穫についての感想をユサタクと語っていたのだが、腹ペコ美少女のモチョはグイっと近付き、成果を尋ねてきた。
ソーイチ:そうやなぁ……。おっ、上振れ引いたな。47個も収穫できたわ。
ユサタク:1粒平均で4.7倍か。肥料とか込み込みとはいえ良い乱数を引いたな。
ベイクドモチョチョ:素晴らしいです!こんな時に上振れ引くとはソーイチさん。持ってますね!
セキライ:さすがソーイチさんっす!
ソーイチ:あはは、運が良かっただけやって。それより次は【種化】の出番やな。
ベイクドモチョチョ:はい!今回のはぜ〜んぶ、種にしちゃって下さい!
アマネ:あ、種はこちらのカゴに入れて下さいね。
ソーイチ:オーケー。
特別な行動は何一つとっていないのだが、ただ運が良いというだけでみんなが褒めてくれる。俺は照れながら全てのアース米に【種化】を発動を宣言。
全ての収穫物にアーツを放った結果、アマネの用意したカゴにはアース米の種が山のように積み上がっていた。
次回は明日か明後日の午前6時に更新予定です。
※体調を崩してしまったので、2-3日お休み頂くかもです。完成出来次第更新しますので、引き続きお待ちくださいませm(_ _)m
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今後とも本作をよろしくお願いします。




