聖女の手料理と王子達との距離感
そしてあっと言う間に次の料理の日になった。こっちの世界で少し伸びた髪を結んでエプロンを付け、ある人物を隣に携えて4人の前に立ち、点呼をとる。
「エプロン付けた?」
「「「「付けた」」」」
「手は洗った?」
「「「「洗った」」」」
「そしてこの人は?」
「リュカ様!」
「「「、、、、」」」
サイラス以外のリュカさんの弟ズは無口と言う状況に苦笑いも出ない。リュカさんは分かっていたって顔をしてるけど、俺は分かる。悲しいって事が。
と言うか、レイさんは呼べるよね?何照れてるんだか、サイラスはアワアワしてるし、、、、しょうがない。
優しい優しい千結さんが人肌脱ぎますか。
「今すぐ、言わなかったら当分の間3人が好きな料理は作りません」
「兄さん!」
「リュカ兄様!」
「リュカお兄ちゃん!」
「よろしい」
「!、」
「、、、、(はわっ、千結ゴリ押し)」
ってサイラスは思ってるんだろうけど。何で分かるかって?幼馴染の考えてる事が分かるんだから、サイラスの考えてる事ぐらい分かるっての。
サイラスは剣一タイプだから、単純思考って感じ。
でも、隣を見ればさっきの悲しそうな表情が消え去って驚きと嬉しさが混ざった様な表情をしてどう反応して良いのか悩んでるリュカさんが居て、ちょっと面白い。
そう思いながら、今日作る内容を伝えると厨房がざわついた、と思えばいつの間にか居たヒューゴさんが口を出した。
「千結様、すみませんが、騎士兵士に差し入れとは、王族、聖女がする事では」
「誰が決めたの?立場が上の人が人を労わる事、それを形にして表す方法で料理って言うこんなにもピッタリものはないでしょ」
「!」
「それに、俺達を守ってくれて、頑張っている人に感謝をちゃんと伝えたいからさ」
「、、、、分かりました。サイラス」
「はい!先輩!」
「見守っているが、馬鹿な事はするんじゃないぞ?分かったな?」
「!イエッサー!!!!!!」
ヒューゴさんにも伝わって嬉しいなって思ったけど次の瞬間にはサイラスの爆音でに鼓膜が破れるかと思った。
それに何だか厨房に居る料理人さん達から向けられる視線が嬉しそうと言うか優しい視線でむず痒さを感じざるおえない。
嬉しいよりも照れさが勝つからやめて欲しい。
まぁ、それから俺達は料理を作り始める。差し入れと言えば定番のおにぎりとおにぎらずとか、パンで挟むドッグとかサンド系とかが良いかな。あとは王宮内で出来るからスープ系もか。
「他にアイディアは?」
「はい!揚げ物は騎士も兵士も喜びます!」
「はい!ルーチェはスイーツが良いです!」
「うーん、ありがとう、その案も使おう」
ヤバい、危うくサイラスに「ルーチェと精神年齢同じ???」って言う所だった。
剣一ならなんにも思わず言えたけど、サイラスにはちょっと可哀想って言う気持ちになるから言わないでおいた。
そして今日は騎士、兵士が帰って来るのが午後1時、そこから訓練を2時間半するから、丁度午後3時半までには作り終えたい。
現在時刻午前9時、6時半の間に神経を集中させないとだな。
それにこれって普段料理人達が毎日してる事だから、これぐらいで根を上げちゃダメ、ダメ。
「まずはお米を研ぎますが、誰がしたいですか」
「なら俺がする。兄さんは慣れてないし、量も多くなるならルーチェは大変だろうしな」
「レイさん、ありがとう!お願いします!今日はパンも手作りにしたいから、ルーチェとリュカさんは生地のコネコネ担当です」
「生地、コネコネ!楽しそう!お兄ちゃん頑張ろうね!」
「!、、あぁ、服は着かないようにしような、、ルーチェ」
「他2人は野菜などなど切るよ」
「他2人って雑!千u 、、、、千結様!」
「まぁ、間違ってはないですし、否定は出来ませんが」
自ら疲れ仕事を引き受けるツンデレ、レイさん、明らかに楽しそうなルーチェと嬉しそうなリュカさん、そして雑に扱われたがヒューゴさんが居るので丁寧になったサイラスと雑に扱われてるのが慣れてる様なステラと言う妙な空間が作り上がった。
これはこれで面白いし楽しい。
それに、料理をする人数がちょうど幼馴染、剣一達と同じだ。
だからかな、嬉しいって気持ちが強くなって、まだ数週間しか経ってないのに、会いたくなるのは気のせいかな。
そう、頭の隅っこで考えながら、料理をする。時間のかかるパン作りや揚げ物から始めて行くのは料理の鉄則、だよね。あと、スープ作りも並行に行う。
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「出来た。そして疲れた」
「「「「「同じく」」」」」
15時20分、ギリギリで完成した。途中、料理人さん達が作ってくれた昼食を食べながらだけどね。
頭をフル回転させてたから、いつも以上に料理が美味しく感じたから、やっぱり頑張るって良い事だなって思いながら盛り付けられた料理を見つめる。
今回も【インタネットショッピング】を活用したけど、バレてないからラッキー、ラッキー。
ー千結は治癒魔法など聖女が使える能力は公表はするが、明らかにこの世界にある訳なさそうな魔法などに関しては言う事を躊躇っている。日本人の性だろう、「何処かの研究施設に連れて行かれて解剖」などとアホが考える様な事を考えているのは本人以外、リュカでさえ気付いてない事だろうー
「見た事ない料理が沢山ですね。おにぎりとおにぎらずの違いが気になりますね」
「ヒューゴさん、良く聞いてくれました。おにぎりは手などで形を成形するので、おにぎらずは物を使って形を成形する、握らないって言う違いがあります」
「はいはーい!コロッケにクリームとかぼちゃもあるのは何で???」
「ルーチェも良く聞いてくれました。コロッケは普通はジャガイモを使うのが多いですが、クリームシチューなどを冷やして形にしたクリームコロッケ、ジャガイモの代わりにカボチャを使ったカボチャコロッケもあるんだよ、種類として」
「パンにもサンドイッチは知っていたが、ホットドッグやコロッケパン、焼きそば?パン、サラダパン、スパゲッティパンなど、千結の世界は料理が豊富なんだね」
「まぁ、先人の知恵?海外の料理を日本人がアレンジした様な料理ばっかりですよ、リュカさん」
間違ってはない。うん。
明らかに元の料理、外国のだろ、って思う料理を日本風にアレンジしてるからな、日本人って。食に貪欲過ぎると毎回思うが、俺も同じなので言葉には出来ない。
そうこうしているウチに、訓練が終わる時刻に近づいて来たので、料理の乗った皿を運べるものに乗せて移動を開始する。
と言っても、王族が現れたら騎士兵士さん達は緊張するだろうと思って俺が作ったスイーツを4人に渡して別室に押し込んで、ヒューゴさんとサイラスと訓練場に向かう。
すると、ヒューゴさんから思わぬ言葉が耳に届く。
「千結様、この度のことは感謝致します」
「!、え?」
思わず足を止め目を見開く。まさか感謝されるとは思わなかったからだ。
それはサイラスも同じだったのか目が点になって、目を見開き、驚く顔と言う3つを行うと言う器用さをここで出してきた。
多分ここじゃない、と思うが嫌な予感がするので言わないし耳を少しの間塞ごう。
「!!?!?、ヒューゴ先輩が感謝した!!?これは夢?、、、、うん、夢だ」
「サイラス、静かに」
「イエッサー!」
「長い間、リュカと弟君達との関係は俺自身も悩みの種、でした」
「そうだったんですか」
「リュカの呪いもあるが、年齢差と言う事で距離が出来ていたのは否めない。だから、今回の事企画してくれた千結には感謝しかないんだ」
「、、、、いえいえ、俺の家は兄弟仲良いですし、喧嘩もしてないのに、ちゃんと気持ちが通じ合ってないのは、嫌ですから」
俺はそう言いながらカートを押す力を強める。
王族とか王位後継とか歳の差とか、勿論呪いなんて関係なく仲良くして欲しい。そう他人が思うのは身勝手だし傲慢かもしれないけど、思うのは許して欲しいな。




