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とりあえず かなえとく  作者: 深川 七草
夏の雨の章
38/52

38*和解*

「紗綾、行くわよ」

「うう、怖いよ美穂」

「何言ってるのよ。あなたが行かないと話、終わらないでしょ」

 美穂と一緒に、野球部の部室へ行く日がやってくる。

 新入生にハーブティーを作るにしても、パプリカのプランターを用意するにしても、地蔵裏に行かなくてはならないので越えなければならない壁である。

 トントン

「失礼します」

 ノックして、私と美穂は野球部の部室に入った。

 机を挟んだ向こうには監督とキャプテン、そして栗山や高峰さんもいる。

「始めまして、竹内さんから聞いたよ。白山北高校の知り合いに、練習試合をやってくれるよう話をしてくれたんだって?」

 キャプテンはさわやかに、そしてうれしそうに話している。

「君たち菜園部なんだって? 僕、あんまり顔が広くなくてね。助かるよ」

 監督からもお礼を言われるなんて思わなかったな。

「いえいえ、ご近所ですし」

 部活を始める前に、このためだけに待っていてくれたようだ。

「それなら、プランターに球が当たっても恨みっこなしってことでいいわよね?」

 高峰さん、栗山とのできごとを知っていて言ってるのかな? 分からないけど、表情を見る限りでは嫌みってわけでもなさそうなんだけど。

「もちろんだよ。栗山も高峰さんも応援してるよ」

 野球部の誠意を前に、言葉は本当になった。


 練習試合の日。

 すでに渡辺君が来ていると美穂に教えられ、お礼を言いに行くことにする。

 真空と美穂は分かるが、李華や小袖までついてきた。

「ありがとう渡辺君。助かったよ」

「いえ、焚口さん。僕たちもいろんなところと戦った方が勉強になりますし」

 すると李華が横から喋り出す。

「うちみたいな弱小じゃ、練習にならないだろ?」

「そんなことありません。すばらしいチームだと思います。去年、僕たちを倒したから言うわけじゃないですけど、僕たちが負けたのも偶然なんかじゃなくって、城見坂に力があるからですよ」

 真剣な青年を前に、李華のぼやきも止る。

「すいません。集合なので行きますね」

「渡辺君たちもがんばってね」

 私が声をかけると、一礼して渡辺君はベンチの方へ戻って行った。

「ねえねえ、李華。渡辺君、かっこいいよね」

「うん? 小袖、お前スパイするなよ?」

 四月も後半になり蒸し暑くなっていく中、練習試合が行われたのであった。

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