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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
八章
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第20話「わ……わたしが……やりました……」

 小佐はもちろん、言い争う松竹梅もびくっとした。みんなの注目が集まる・雑談が静まる。


「萌~々~奈!」


 なにを言うのと止めに行く。引っぱって連れ戻そうとする巡条さんを振り払い、モモが聞く。


「松本。パスワード、誕生日とかにしてた?」

「え? してた……誕生日」

「やっぱね。そりゃ乗っ取られるわ」


 1月1日~12月31日までぜんぶ試したらゼッタイ当たんじゃん。小林のほうを見て言う。


「な、なんでそんなことするんですか? する意味ありますか?」


 メガネじゃないほう、ぽっちゃり佐藤が震えながら擁護する。動機が・目的が解せないと。


「イミだったらあるじゃん、あったじゃん。今コイツらケンカになったってこと」


 仲を裂くのが目的で、動機なんて知るか。そういうふうに答えて松竹梅に尋ねる。


「アンタらコイツらに恨まれるようなことはー?」

「いや……ないよね?」

「ない」「ない」


 松本が言って竹田・梅原が同調する。恨まれるようなこと以前に関わりがないのは傍目にも。


「だってさ。まーでもデブ、アンタも怪しいから。アタシはこっちって思うけどー」


 小林の机をパーでばんばん叩く。巡条さんがやめてって腕つかんだ。


「決めつけないの~! 小林さんも佐藤さんもなにもしてませ~ん! 私がやりました~!」

「バーカ、ムリあるから。カレンはわかってるわけじゃん? もうさー、はっきりさせろって」

「証拠もないのにはっきりしないわ~! 萌々奈のやりかた、怖~い刑事さんの取り調べ~!」


 冤罪を生むだけと。それにデブとかメガネなんて言っちゃダメ~ってつかんでる腕振った。


「そ、そうです、証拠はあるんですか?」


 佐藤が食い下がる。小林はずっとうつむいて反論も反応もない。得体が・心境が知れない。


「メガネがやったって証拠はない。ないからコイツの――リョーシン? にかかってるから」

「どうしてよ~! ご両親は関係ないじゃな~い!」


 今はボケてる場合じゃな~い……文脈からして良心です。黒川も小佐も一瞬ぽかんとした。


「カレンは自分がイジめられてまでさー、アンタだかアンタらをかばったわけ。どう思う?」


 ふたりの顔をぬっと・じっと見る。間を置いてやっぱり恫喝刑事みたいに大声で命令した。


「悪いって思うならジハクしろ! なんでテメーらの代わりにカレンが痛い目見んだゴルァ!」

「ごるあ~!」


 見るからに弱いけどモモの頭はたいた。……ごるあ~って。真似は・発音はできないよね。

 小林・佐藤はもとより教室の全員が雷に打たれる。昨日泣いてたのは誰なのか・夢なのか。

 サンダー黒川がごるあ~レンちゃんと小競り合いするなか、とうとう開かずの口が開いた。


「わ……わたしが……やりました……」

「小林さん……!?」


 髪を・額をつかまれながら驚く。……モモ、放してやれ。佐藤も驚いて得も言われぬ表情に。


「松本さんたちに……恨みは……あります……。体育で……ソフトボールで……下手で……」


 打てよとか捕れよとか聞こえるように言われるのが嫌だった――嫌味で腹が立ったという。


「だ、だから……そうですよ……仲を裂いてやろうって……! お、思っ、たんです……!」


 ぼそぼそ小さい声を強めて負けまいと白状する。正義は・道義は自分の側にこそあるのだと。


「ツイックーは……黄島さんたちつながりで……把握してたから……乗っ取りましたよ……」

「お、ま、え……!」


 松本がムカっと・ガタっと席を立つ。けど黒川が片手で制した。ジハクをぜんぶ聞けって。


「なにを言ってるの!? 小林さ――」

「カレンも聞けっての! ――黄島らのアカ知ってんなら、アイツらのも知ってんだろ?」


 赤崎・青山・後藤のほうを指し示す。黄緑は当然、奴らともSNSでつながってるわけだ。

 小林は知ってると認めた。さらに白状する。


「赤崎さんたちにも……恨みが……あります……。ディベートの……あとで……食堂で……」


 背中に『調子乗んな』って張り紙を貼られたと。それについては僕らも見てる・知ってる。


「だから……仲を……裂いたんですよ……! あなたとの画像を……印刷・投下して……!」


 赤崎も席を立って松本の横に迫った。前田たちは昨日の件で巡条さんが怖いのか今いない。


「あんなに上手く……いくなんて……思いませんでしたけど……。み、見事に……別れて……」


 口にも腹にも手を当てて不気味に笑う。赤は顔を真っ赤にかんかんに怒った。


「あんたねぇ……! ゆるさなぁい……!」

「引っ込め、恨み買うからだろうが。こういうメガネが怒らせたら一番やばいってわかれよ」

「そんな言いかたしないの~! ――小林さん、どうして……」

「巡条さんに……悪いって……思ったから……自白したんです……」


 席を立って殊勝にも頭を下げた。でも松赤にはそうしない。いよいよふたりは殺気立った。


「待てゴラ!」「やめて~!」


 モモとレンちゃんが抑える。肩で息してて怖い……。キレ川で見慣れても女子が怒るのは。


「あ、石田が二千円ないとか騒いだのもさー、アンタのシワザー?」


 答えなかった。仕業じゃないのか? なんにせよ小林が巡条さんがかばった真犯人だった。


「松本さん・赤崎さん、気持ちはわかるけれど~……どうか小林さんを恨まないでほしいの~」


 代わりに頭を深々と下げた。松赤の溜飲は下がらない。はっきりしたけどすっきりせず……。


        ◎


「は~い、小林さんを守ろう会~! ぱちぱちぱちぱち~!」

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