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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
八章
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第19話「メガネ。テメーのシワザだろ?」

びくびくする僕を引っぱって、黒川は軽く・明るく芝居する。「非常ベル押してみた撮れたー!」全校生徒にスマホを向けて撮影しながら。アタシが主犯とばかりに視線を・ヘイトを集めた。ふたりで職員室に呼ばれてこっぴどく叱られて、反省文も書かされて5時間目がなくなった。前左右を敵視して・蔑視して教室に戻り、心配も狼狽ろうばいもしてたレンちゃんに洗いざらい話す。

 話を聞き終えると奴らのほうに歩いて行った。前田の頬を平手打ち……!


「し、しお――」


 なにか言おうとしたところにもう一度。巡条さんが手を出すなんてよっぽどだ、怒り心頭だ。

 ただ二回叩かれてあの前田がおびえた。怒らない人を怒らせて恐怖なんだ。左右もビビる。


「……謝って」

「わ、悪ぃ……よくわかんねーけど」

「わからないの!? 私じゃなくって! 萌々奈に! 謝って!」


 ぎゅっと目をつぶって・拳を握って絶叫した。優しいお姉さんの激昂に教室中が震撼する。

 男三人が慌てふためいて僕らの前に来た。横に並んでモモに向かって一斉に正座・土下座。


「悪かった!」「ごめん!」「すまん!」

「…………」


 無言で・無表情で文字どおり見下す。巡条さんがあの誓約の紙を持ってきて前田に書かせる。『三、萌々奈に二度と近づきません』『四、雪佐くんに暴力を振るいません』――そう誓わせた。これでやっと1軍との禍根が・因縁が絶たれたと思う。あいつらが紙を・誓いを破らない限り。


「ごめんなさい……私のせいでもあるわ……」


 眉も目尻も下がり、頭を下げる。顔を上げたら左目から涙がひと筋つーっとこぼれた。


「私がクマくんを遠ざけたからこんなことに……」

「遠ざけたってなに? どういうことー?」


 残り四日姿くらます件を明かした。自分がいない昼休みにふたりっきりがどうしても嫌で。


「けれど私も明日から一緒にいるわ~。特別コーチは今日でおしまいで~すって言うから~」


 油断ならない前左右ににらみをきかせるために。かつ僕らにも厳しく目を光らせるために。


「いないからっていいわけじゃないけれど~、私がいるのにイチャイチャしたら有罪よ~?」

「見たみたいに言うじゃん。まージュン合戦はしてたけっなー、イチャイチャ」

「し、してるか! ――イチャイチャなんかしてないよ? ほんとだよ?」

「本当かしらね~、そうだといいわね~」


 どこか冷たく疑ってかかって信じない。まさか〝証拠〟を握ってた・憤ってたなんて……。


        ◎


「王手~!」

「あ、レンちゃん、それはニ歩だよ」

「にふ~? よんけん~?」


 ……それは近畿だよ。歩は同じ縦列に二個置いちゃダメなんだ。大体その王手意味ないよ。


「はい、ヒシャびゅーん。今のなに? わざわざフぅくれたわけー? アハハハハ!」

「むむむむむ~ぅ……!」


 煽られてぷくぷく・ぷりぷりむくれる。……毎回それかわいい。ちょっと指で突いてみたい。

 昨日は異常な・大変な一日だった。なんていうか向こう十年分くらい大声で怒った気が……。英くんたちから借りて今日こそ昼休みに将棋やってる。ギャルvsお姉さん、対極の対局だ。


「ク~マ~くぅん! クマくんクマくんクマくんクマくんク~マ~くぅん!」


 互い違いに横に腕振って駄々こねないで……。大丈夫、まだいけるよ。桂馬を出撃させよう。


「けいま~? 拓真は~?」

「……そんな駒ないよ」

「ふふっ、ここにあるものね~」


 抱きついてきた! さらさらの髪から色香が・芳香が! 香水もシャンプーもいい匂い!


「人に言っといてイチャイチャしてんじゃん!」

「するわよ~。だって私〝は〟・私〝が〟彼女だもの~」


 抱きついたまま見返す・言い返す。争わないでって言おうとしたら、あっちで争いが起きた。


「フォロー外してブロックまでしてどういうこと!?」


 竹田がスマホを見せて松本に詰め寄ってる。もうひとり梅原がなだめた。なにがあったのか。黄島と緑原が仕切ってる・威張ってる2軍+の面々で、松がソフトボール部・竹梅が陸上部。1軍とは交流がなくて黒川とも接点ない。男でいう石田・岩田レベル。あくまで僕の見立てで。


「あんたになんかした!? あれ!? あれ恨んでんの!?」

「どれよ! ブロックなんかしてない!」

「見ろよ! ほら! してるから!」


 ツイックーをブロックした・してないで揉めてるらしい。……アホらしい・今の女子らしい。


「ちょっと待って――あたしもされてる……!」


 梅原も自分のを確かめてブロックだったのか、打って変わって一緒になって松本を責めだす。


「あんたどういうつもり!?」「友達やめるつもり!?」


 僕ら三人もほかの連中も動向を眺める。巡条さんを見たらやっぱり〝あのふたり〟も見てた。


「チッ……うっざ・うっさ。うちのクラス、ここんとこモメるヤツばっか」


 前赤破局事件に左右岩石の二千円事件――あれももしかして? 僕もモモも勘づいてきた。


「カレン。アンタには悪いけどさ――はっきりさせよ」


 席を立って小林・佐藤のところまで行った。読書中のふたりに、小の机にグーの横でドンっ!


「メガネ。テメーのシワザだろ?」

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