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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
八章
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第18話「あり、がと……」

「逃げんならハナから来んなや。ダサいねん」

「誰か呼びに行ってたりしないよな? シュ、シュウ……やばくないか? やっぱ犯罪じゃ?」

「元カノ相手にやばいも犯罪もねーよ。そりゃぜんぜん関係ねー女にこれはレイ――なんだ!?」

『火事です。火事です。三階で火災が発生しました。落ち着いて避難してください』

「火事!?」「三階!?」

「ここじゃねーか! やべーな、すぐあっちでジリリリ鳴ってんな! 行くぞ・死ぬぞ!」

「…………。フっ、やっぱ頭いいじゃん……」


 全力で・全速力で戻ってきたら前左右はもういない。よし……勝った・助かった。


「モモ! 無事か!?」

「おかげさまでー。まー手×ンはされたけどー」

「そ、そういうこと言うな……。あいつら戻ってこないとも限らないから、どっか移動しよう」


 手を差し出して引っぱって立たせた。階段を駆け下りる。けたたましい音が響き渡るなか。

 僕は非常ベル(火災報知器)を押した。1年の廊下の真ん中、1‐3の教室前にあった。それから1‐1の隣の階段を下りて、2年の廊下を突っ切って、階段を上がって舞い戻った。奴らと鉢合わせたらどうしようも抗しようもないから一周した。50m走より本気で疾走した。僕が逃げたと思ったんだろう、タイミングよくこんなそうそう鳴らないものが鳴っても信じた。奴らにも普通に危機感・恐怖感があってよかった。「火事だ? 情事だ!」とか無視もありえて。


「ふぅ……ここなら……見つからないだろ……」


 生徒がいる・教室がある棟の反対側、職員室とかなんとか室とかばっかりの棟の屋外の階段。

その1階から2階に上がる部分の裏側の隙間に身をひそめた。ベルも放送もまだ聞こえる。


「アンタ……やばくない……? ゼッタイ怒られるわ……」

「だよな……イタズラで押したのと……一緒だよな……」

「しょうがないから……アタシも……共犯ってことでいいわ……」


 ふたりして息を整えた。騒然としてるのがここでもわかる。録音音声じゃない校内放送も。


『全校生徒の皆さん、至急グランドに出てください! 繰り返します、全校生徒の皆さん――』


 大事おおごとになってきた……! 申し訳ない・申し開けない……。


「迷惑系ニューチューブ撮ろうとしたーでいいじゃん。激イタ男女クソコンビってことでさー」

「現代的で説得力あるな……それでいいか」


 ちょっと笑ってそれきり沈黙に。手狭い・薄暗い地べたに体育座り。肩・脚が当たってる。


「で……大丈夫か?」

「へーきへーき、あんなのなんでもないしー」

「なんでもないことないだろ……泣きそうになってただろ」

「はぁ? なってないし!」


 頭バシっ! とりあえず元気だな・勝ち気だな。さっきのこと……先生に言うか?


「先生に言うとかダっサいからやめろっての。べつにいいから。アワレんでくんないでくれる?」

「……哀れむわ。あいつらにいいようにされて……おまえらしくない。ボっコボコにしろよ」


 僕がボコられないために自分がパコられるの選ぶなよ。あんな倫理も人心もない元カレに。


「レンちゃんに怒ったとこだろ……自分に優しくしろって。簡単に体許すなよ・差し出すなよ」

「アンタがザコいから守ってやったんだけど? 悔しいけどアイツボっコボコにできないし」

「…………」


 ほかに手はなかった――のか……。先生が嫌なら巡条さんに言おう。本気で怒ってもらおう。

 トモダチなら・カレンならいいけどーって了承した。ふとスカートのなかに片手を突っ込む。


「まだ濡れてるわー。ヤるー?」

「アホか!」


 アハハハ笑って肩にもたれかかってきた。いつかレンちゃんにこて~んってされたみたいに。


「な、なんだよ」


 返事はない・色気はある。ウンコだションベンだ当たり前に言うけどこいつ自身はいい匂い。レンちゃんには劣るけど年相応に十分セクシーで、剥き出しの脚のなまめかしさったらない。


「ヤる?」


 さっきと違って静かに・まじめにまた言った。真剣さは伝わってきたけどきっぱりお断り。


「ヤらない」

「チ×チ×おっきくしてんのに?」


 ……わかるのか。悪いけど興奮した・反応した。男の愚かな機能なんだ・本能なんだ……。


「ごめんごめん、忘れて。それより……その……」


 肩に頭を乗っけたままもじもじしはじめる。気持ち悪――くない。……不覚にもかわいい。


「あり、がと……」


 ダサかっこよかったじゃん。いやいや、かっこよくなんか……。ダサザっコかったよな……。


「っ……ぐすっ……」


 泣きだした! え、ど、どうした?


「ううっ……怖かった……イヤだった……! タクぅ……!」


 抱きついてきて号泣しだす。こいつも人の子・女の子、あんなのなんでもないわけがない。男三人に押さえつけられて……怖かったよな。嫌いなクソ男に手でされて……嫌だったよな。


「ごめんな……ごめん……」


 ひたすら謝るしか・なでさするしかできなかった――


        ◎


 泣きやむまで結構かかったけど、グランドのみんなが戻らないうちにふたりで出て行った。

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