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第50話 仲直り

 シャワーを浴び終えて茶の間に戻ると、タイムと時子さんが待ち受けていた。

 2人はずいぶんと仲良くなった気がする。

 タイムも戻ってきてくれた。

 良い傾向なのではなかろうか。


「あ、マスター。その……」


 タイムが俺を見つけるなり、なにか言いたそうにしている。

 まさか、さっきのことを問い詰めるつもりではないだろうな。

 違うぞ。

 仕方なくトレイシーさんとシャワーを浴びていただけだからなっ。


「ほら、早く言いなよ」


 時子さんがタイムを()き立てている。

 時子さんまで参戦するつもりなのか?

 事情は分かっているだろうに。

 俺の味方になってくれないのか。

 ちょっと悲しい。


「ごめんなさいっ」

「ん?」


 おや?

 どうやらそういうことではなく、先ほどシャワー室から逃げたことに対して反省しているということか。


「なにを謝る必要がある。ときにはそういうこともあろう」


 突然あんなところに飛び出たら、誰だって戸惑うし、心の準備もできていないよな。


「ううん、みんなにも怒られちゃったし」


 みんな?!

 ああ、タイムたちのことか。

 繋がっているのだから、簡単にバレてしまったのだろう。


「反省しているのなら、それでいい」


 フフ、俺くらいは味方になってやらないとな。

 そうさ。

 例え世界中を敵に回しても、俺はタイムの味方になる事を選ぶ。


「うん。だから、ごめんなさい」

「それはもうよい。過ぎたことだ」


 反省をしたのなら、同じ(あやま)ちを(おか)さなければ良いだけだ。

 つまり、シャワー室では全裸になる。

 そういうことだ。


「これからは、シャワー室ではきちんと服を脱ぐのだぞ」

「うん……ん?」

「はっはっはっ。分かればよろしい」


 よし、これでなんとかトレイシーさんとシャワーを浴びていたことは誤魔化せたぞ。

 やはりオドオドするより、堂々としていた方が、いいようだ。

 内心、冷や汗モノだったが、逆にタイムの方が非常識っぽくなったぞ。


「ほらね、モナカくんは気にすらしてないでしょ」

「はは。もう、マスターのバカっ。ふふふっ」

「ふふふ」

「え?」


 どういうことだ?

 俺の計画は完璧だったはずだ。

 破綻なんてないよな。


「トレイシーさん。俺、なんか変なこと言いました?」

「そうねー。分かっていないのは、モナカさんだけかしら」

「えっ?」


 なにが分かっていないっていうんだ?

 普段ならタイムに、トレイシーさんと一緒にシャワーを浴びていたことを、ギャーギャー言われていたはずだ。

 それを完璧に(かわ)したんだぞ。

 それ以上のなにがあるっていうんだ?

 ……あ、そっか。

 俺はタイムの頭を優しく撫でてやった。


「な、なに? 急に」

「ん? 〝ごめんなさい〟ができたから、ご褒美」

「………………はぁぁぁぁ」


 え、なんでため息?

 しかも長いぞ。


「マスター、ありがとう」


 気のせい……かな。

 よ、よし。話題を変えよう。


「俺もありがとう」

「なにが?」

「ん? 俺がまた寂しがるといけないから、戻ってきてくれたんだろ?」

「あはは、うん。そうだよ。もーマスターはホント、タイムが居ないとダメなんだから」

「うん。居ないとダメだから、もう離れるな」

「ふへ?! う、うん。分かった」

「ほらっ」


 俺が右肩を叩くと、タイムが食卓から右肩に飛び移った。

 そして俺がタイムを見ると、タイムも俺を……あれ?


「タイム?」

「……」


 返事が返ってこない。

 そしてそっぽを向いている。

 またなにか間違えたのか?


「エイルの所に戻りたいなら、戻ってもいいんだぞ」

「……」

「〝マスター〟の言うことだからって、従わなくたっていいんだぞ。タイムはタイムが望むままに生きていいんだ」

「従うって……そんなんじゃ――」

「モナカくん、大丈夫だよ。タイムは照れてるだけだから」

「時子っ! 余計なこと言わないの!」

「あはは、図星だー」

「うるさいっ!」

「タイム? そうなのか?」

「う……」


 やっぱりそっぽを向いて、こっちを見てくれない。

 それでも俺はタイムを見つめた。

 こうなったら根比べしかない。

 タイムの首が限界を迎えるか、俺の首が限界を迎えるか、勝負だっ!


「モナカさん、タイムちゃん。仲直りのキスをしましょう」


 またトレイシーさんの無茶振りが始まった。

 でも、案外いい手かも知れない。


「タイム」


 優しく問い掛ける。

 すると、ゆっくりとタイムが振り向いた。


「っははははは!」

「な、なんで笑うんだよっ」

「そんなタコみたいな顔しないでよっ」

「なっ……」

「もう、マスターはバカなんだから」

「なにおー!」

「いいから、大人しくして」


 そう言ってタイムが俺の顔に身を寄せた。

 そして唇と唇を軽く重ね合わせる。


「はい、仲直り成立ね」


 ゆっくりと唇が離れる。

 そして2人して微笑み合う。


「時子さんとモナカさんは、エイルさんの部屋を使ってくださいね」

「ええっ?! モナカくんと同じ部屋なの?」

「エイルさんがそう言ったのよ。問題あったかしら」

「問題しかありませんっ」

「時子、同じ部屋で寝てよ」

「タイムはまだそんなこというの?」

「違うよ。同じ部屋なら、マスターが夜中にトイレ行きたくなっても、トレイシーさんに迷惑を掛けなくて済むからだよ」

「あ……そっか。ゴメンね、勘違いしちゃって」

「いいよ。気にしないで」

「えっと、俺の意見は?」

「でもそうなると、時子がモナカくんのトイレの世話をしなきゃいけないの?」


 あれ、また俺の(しも)の世話の話になってる?


「お取り込み中、ちょっといいですか?」

「そうね。嫌かも知れないけど、今日一日だけだから、ね?」

「おーい!」

「仕方ないな。今日だけだぞ?」


 あー、俺に意見を言う資格はないのね。


「……はい」


 ま、まぁ、エイルのようにじっと見たり、アニカのように摘まんだりはしないから、平和に用を足せるのではないだろうか。

 ……平和かなぁ?


「それじゃトレイシーさん、おやすみなさい」

「はい、おやすみなさい」

最初はタコじゃなくてひょっとこにしてました

でも中高生はひょっとこ知らないこの法が多いかな、と思ってタコにしました

他にもそうやって変更すべきところもあるんだろうけど……


次回は携帯(ケータイ)だから、そうなるのは必然……なのかな


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