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準備

迎えに行くし!とか言ったはいいものの、どうするべきか。

あの日から私なりに精いっぱい考えた。


彼の名前すら知らなかったものだから「この名前の人を知りませんか?」と誰かに尋ねられるわけでもなかったし、彼の顔を頼りに下町に探しに行こうかとも考えたけれど、昼間に出ていけば侍女に見つかってしまう。


数日に一回、ばれないくらいの時間だけ侍女の目を盗んで外に出たけど、慣れない人ごみの中、ひとりひとり顔を見ながら探すのは、なかなか難しかった。


いつもは無関心なくせに、私がおかしな動きをした途端に目を光らせてくるものだから、侮れない。っていうかそんな時だけ侍女の本領を発揮しないでよ。いや、侍女の本領がそれなのかは疑惑の判定なんだけど。


他に思いついたことは、お茶会に行くことだった。曲がりなりにも貴族の家の娘なので、誰かのお茶会に行って、こういう人を知らないか、と聞いてみようと思ったけれど、両親の反対を受けて、あえなく失敗した。


どうやら、私をこの家の代表として、誰かのお茶会に行かせたくないらしい。まぁ実際、両親の計らいで生まれてからこの方、誰かのお茶会に呼ばれたこともないし、誰かをよんだこともない。


あ、ぼっちなのは親のせいだったのか。良かったー。








いや、よくないけどね!



ま、まぁでもいいもん。

別に今さら悲しくなんてないし。ぜ、全然悲しくないし。



っていうか今それはどうでもいいんだよ。


それからも、私はめげずに、考えた。


考えて考えて考えて考えて、考えて、







あ、詰んだな。と思った。



いろいろ探す方法を考えてみたけれど、どれもこれも現実的じゃなかったり、邪魔なものがあったりして、まともな案が浮かばなかった。


「もう・・今日は・・寝よ。」


そうして時間だけが過ぎていった。










考え始めて数日が経った頃。ぴこん!と一つの名案が思い浮かんだ。



「騎士団を尋ねればいいんじゃない!?」


がばっと布団から起き上がって、考える。


そういえば彼、将来の夢は騎士になることって言ってたよね?

ってことはこの町の騎士団を尋ねれば、また彼と会えるんじゃない?


「え。名案すぎる・・・」


う、うわああああ!私ってば天才だ。

世紀の大発見だよ!


ふいに思いついた可能性に舞い上がって、自分の部屋で踊る。


「うわああああ!」

前世で私は「喜びの舞」、と呼んでいたけれど知り合いには大変不評だった・・ような気がする踊りを踊る。

「うぇええええ!いぇーい!」


とここで、

「うわぁぁぁあ・・・あ・・・・あ?」


少しの疑問が頭をよぎった。



「・・・。」


いやまてよ?

よく考えたら全然名案じゃなくない?


会いたい気持ちが先行して、この町の下町を探したりもしたけれど、まず、かれがこの町に住んでいるどうかも定かではない。


彼が、私の家の森に迷ってくるってことは、私の家の近くを通る子だった。ってことだけど、迷ったことから考えるに、この辺の子じゃない可能性が高い。


騎士団と言っても一つしか無いわけじゃなく、各地にいくつか存在しているし、彼がここの子じゃなかったら、他の町の騎士団も見て回らなきゃいけない。となると、昼の数時間しか家の外に出られない私では、ものすごく時間がかかってしまう。


けど、今の段階では断言もできない。可能性は低いけど、もしかしたらこの辺の子かもしれない。


「どっちなんだろう・・・」


問題はそれだけじゃない。

騎士団に行けばいいと考えたはいいけれど、彼今何歳だ?


あの時、私と同じくらいの歳かなと感じたけれど、もしそうだとしたら・・・


「今、13歳・・・。」


13歳だよ?騎士団に入ってるわけなかった。



「そっか・・そうだよね。・・・どうしよう。」


折角、浮き上がったテンションも徐々に下がってくる。


「どう、しよう。」


希望を目の前にして、絶望にたたきつけるとは・・・。

私の脳みそって鬼畜だな・・・。


茶化してごまかそうとするけど、そんなことで戻るような感情ではなかった。




「・・・・っ。」


やっぱり、会えないんだろうか。


ふとネガティブな思考に、脳みそを支配されそうになるけど、





「・・・ううん、そういうのは考えない」


垂れてた頭をあげて、前を向く。

3年も待ったからね。これくらいは全然たいしたことない。


諦めないのが私でしょ。


頭を左右に振って、嫌な思考を追い払う。


「うん。明日、行くだけ行ってみよう。何か彼を探すヒントに出会えるかも。」


そうと決まれば、準備だ。


明日の小旅行に備えて下町に人になじむための変装用の服をかばんに詰める。

一番近い騎士団でも、やっぱり時間はかかるだろう。

明日は、朝早くに侍女を捕まえて森に行く宣言をした方がよさそうだ。


「夕方までに帰ってこられるといいけど。」


かばんに荷物を詰め終わった後、明日に備えて寝床についた。


タイトルって毎回考えるの大変ですね。

なんか前まで自分でどうやってつけたのか分からないです。

なんであんな風にタイトルをつけることが出来たんだろう?


過去の自分の方が現在の自分より優秀なことってたまにありますよね。

あれ何なんでしょう?

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