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第八話 レベル0と世界

第八話 レベル0と世界



 それから森は危険だからと、まずは川沿いに戻り出ることを提案する。


 ちょっとは、彼女、イロハも俺のいうことを受け入れてくれるようになったかな。付いて来いと言って、ちゃんとついてきてくれた。


 あんな簡単に傷が治るはずはない。


 残っていた治癒ポーションも使ってできる所まで傷を回復させても失った血や体力までは戻らない。現状イロハが魔物と戦えるだけの状況でないのは確か。そもそも戦闘力があるのかさえ怪しいが。


「なぁ、召喚士ってのは何だ?」


「存じ上げないのですか?えっと、なんと説明したら…」


「そうだな、全部教えてくれるとありがたい。俺は所謂常識がないってやつだから。そうだな、交換条件」


「交換条件ですか?」


「俺の知りたいことを教えてくれたら、俺も質問に答えると、約束するよ」


「そんな、助けていただいた上に、冒険者様の素性まで詮索するなんておこがましい、なんでもお答えします!」


「んー、でもさ、俺のこと知らないと何答えていいかわからないいんじゃないかなと思ったから、そう言ったんだけどな」


 川辺まで戻ってこれた。魔物の遭遇はなかったのでやはり川沿いのほうが少ないのは確かなようだ。


 ただ、対岸までは戻れそうになかった。 そこまでしようと思うならまたしても川の中に飛び込まなければならないからね。体力の落ちているイロハをそうしてまで連れていくことは意味ないと思ったからだ。


 いや、そもそもだ。


 なんで俺はこの少女に付きあうことを前提に考えている。


 助けたのは悲鳴が聞こえたからで、怪我を直したのは治癒ポーションを俺が持っていたからで、彼女と行動しようと思った理由は…、あれか。


 俺はこの少女と面影を重ねてしまったのか。


 ヘルパーの町で魔物から救えなかった人々と。


 俺を慕ってくれていた人たちを助けれなかったことを、思い出して、この少女に肩入れしてしまっていたのか。


 まぁ、しかしだ。


 あの言葉に間違いはない。


 手を差し伸べられるなら、俺が手を差し出すのに。


 理由はいらない。


「…冒険者様!?」


「お、おお、なんだ」


「先ほどから、考え込まれていたようで、気に障ったのかと…もしややはり私は重荷なのでしょうか?でしたらすぐにおいて行ってかまいません。私はもう大丈夫ですので」


「それはない。けどさ、イロハさんって言ったね。何がそこまで頼ろうとしないのか、理由はあるのか?その言葉遣いといい、行動といい、召喚士ってのと関係があるのか?」


 そう言葉を投げかけて、イロハは俺の顔を覗き込むようにじっと見つめた。


 そして、観念するかのように、ゆっくり言葉を紡ぎだした。


「それは、スピーノ様が冒険者様で私が召喚士だからです」


「うん、それは聞いたな」


「え?もしや、わかっておられないのですか?」


「はぁ、そうだよ、さっきから言ってるだろ。俺は常識がないんだって。この世界のことなんも分かってないの。


 俺が冒険者で君が召喚士。襲われているところを助けた。そうだろう?それの何がおかしいんだ」


「本当に、わかっておられない。まさか、そのような冒険者様がまだいるだなんて」


「俺にとって、冒険者というのも召喚士と同じくらいわかってないのと同じなんだよな。あはは」


「わかりました。私にお話しできる事はすべてします。多分、スピーノ様がわかっておられないことも全部」


「ああ、頼む。俺は君のこともちゃんと知りたいんだ」


「…、そうやってまた、…、いえ、なんでもありません。


 スピーノ様はこの世界が危機にあることはご存知ですか?」


「知らないね」


「そう、ですか。では昔話から始めさせてもらいますね」


「ああ、頼む」


「かつて、世界はもっと平和でした。それこそ人の生活はこんなにも魔物に脅かされることはなく、一時期は魔物の脅威さえなかったといわれています。


 でもそれがあるとき一人の研究者によって、変わってしまった。


 その研究者は魔物を研究していたといいます。より平和な世界を目指すと、そのためには魔物の存在そのものを根本から変える何かが必要だと。


 そして、考え付いたのは、魔物を服従させて命令を聞かせる何かの存在。その何かを魔物を統制する装置としてこの世界に組み込むことができれば、人は魔物を超えられる。


 そして、研究者は考えだした。作り上げた。その装置を。


 装置の名前は『魔王召喚』。


 研究者とはこの世界における初めての召喚士として、魔物を統制する器官、魔王を召喚しました。


 しかし、ご想像のとおり、実験は失敗しました。


 実験は失敗して、器官とならない魔王が召喚されてしまった。召喚士の手に負えない召喚獣『冥王バハムート』それが、この世界に召喚されてしまったために、世界は思惑の逆へと進んでしまいました。


 魔物は活性化してしまい。積極的に人を襲うようになり、一転、世界は破滅の危機へ直面し、このままではいずれ、バハムートの勢力に人は破れるだろうといわれています。


 あ、あの大丈夫ですか?顔色が…」


「ああ、今整理しているところだから、大丈夫」


 大丈夫じゃない。


 俺はいま、似ていると考えた。


 俺のいた世界、ヘルパーの町で突然起こった出来事と同じだと。


 俺がいた世界と、この世界。


 同じ魔物、同じ言語、でも知らないものはたくさんある。でも!知らない理由は異世界だからじゃない?


 異世界だと思った理由は何だ。通貨が違うからか?太陽が欠けているからか?それは些細なことだ。そう、俺がヘルパーの町から来たといった時だ。その町は童話の町だろうといわれた時だ。


 童話って、童話って、つまりそれは!


 歴史ってことだろう!?


 これは、異世界転移じゃない!


 俺は、未来へ飛ばされたんだ!





「バハムートは、倒せないのか?」


「はい、普通は倒せません」


「召喚士だからって、卑下していたのは、さっきの話からして、なんだその。迫害を受けているからか?」


「その、とおりです」


「じゃあなぜ、あんたは召喚士なんてやっているんだ。迫害されているんだろう?」


「バハムートと倒せる可能性があるのもまた、召喚士だからです」


「なぜだ?」


「今考えられる方法は一つ。力を持った召喚士がより強い召喚獣を召喚すること」


「また、暴走して、『冥王バハムート』みたいになるんじゃないのか?」


「そうならないように、そうならないように私たちは力を付ける必要があるのです。召喚獣を従えるだけの能力を手にして、人には倒せない魔王、『冥王バハムート』を倒しきる。それしか方法はないと」


「なるほど、それが人類を滅亡させかねる真似をした召喚士を蔑視する理由であり、唯一の希望かもしれないというのか」


「そう、ですね。はい」


「で、そのバハムートを倒すための召喚獣ってのは何なんだ」


「私たち召喚士たちが研究して、たどり着いた方法。魔王を召喚してしまったために起きたこの滅亡の危機、打開するための召喚。それは勇者召喚」


 魔王を倒せるのは勇者しかいないと、彼女は言った。


 『勇者召喚』この世界よりも強い異世界の人間を召喚し、意思疎通を通して暴走の危険をなくし、勇者に魔王を倒してもらう。


 俺は、どこまでも他人だよりで無責任だと。


 召喚士というものを本気で侮蔑の目で見てしまった。


 すべてを話し、半ば放心する彼女もまたそれなのに、彼女すら、自分が先ほどまで助けるといっていた、少女すら侮蔑の目で見てしまった。


「ふ、ふざけんじゃねぇぞ…」


 低く、静かに俺は唸った。イロハが身を縮めてふるえたのが見えた。


 そうじゃない。


 そうじゃないだろう?スピーノ!


 俺が何を怒る。何を怒れる理由がある。


 この目の間の少女が何かしたのか。違う。


 この少女に俺の町が壊されたのか。違う。


 俺の人生はこいつに、狂わされたのか?絶対に違う!


「俺は、違う」


「な、何をおっしゃって…」


「俺を他の奴らと一緒にするんじゃない。俺の怒りを他人と一緒にするんじゃない」


 この世界を美しいと思ってしまった。


 出会った人間を愛おしいと思ってしまった。


 失ったものを思い出し、恨みもしたが、生きてここにいることをはるかに喜んだんだ。


 ならば俺のすべきことはただ一つ、この未来かも異世界かも知れぬこの世界に対して。


 ただ思うがままに生きていこう。


「なぁ、イロハさん、いや。イロハ!」


「は、はい!」


「まだ、あんたに何があったのか、俺に何が起きているのかわからないが。俺がイロハを救ったのは気まぐれじゃない」


 このとき、この場所で俺がイロハを助けることができたのはすべてここまでの行動の結果だ。


 俺は差し出した手を引っ込めるような男じゃない。そんなのは、チャンプのやることじゃねぇ。


「イロハ、俺が君を守ってやる。まずは海の祭殿そこまで連れていくぞ」


「スピーノ様、なぜ私を…、なんのメリットもないのに」


「おっと、そうだな交換条件」


「え?」


「交換条件、言ったよな?教えてもらう代わりに俺も質問に答えると。イロハ、君を守る理由を答えよう。俺のプライドだ。チャンプのプライドだ」


 俺が、生きるこの世界を、俺が変えていく。そうしていきたいと俺は思った。


世界観説明が続きます。

世界線を越えた話がようやく出てきたので、スピーノさんが自身の置かれた状況について考え始めました。これまではまだ時間がなかったことと情報がなかったことで異世界転移かタイムトラベルかなどとは考える間もなかったと思われ。

しかしながら、あくまで現状スピーノさんが知っていいる情報のみで結果を推論しているだけであり、これまた情報が錯そうした結果スピーノさんが考えを変える結果も見えてきます。

要するに、一寸先は闇でございます。


スピーノさんはスピーノさん自身の理想を持っています。自分はいい人でありたい?プライドをもって、自信をもって、行動したいという。

もし、そのプライドを貫くことが難しくなったらどうなるのか、見ものです。


今後の展開について

まだもうちょっと説明回が続くと思われ。戦闘回新展開はおよそ第十話をめどに頑張ります。多分。おそらく。めいびぃ。

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