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71 イエム。

 流石、アジア圏。


 市女笠に似たノンラーが有り、虫の垂れ衣付きを使っている者も居る、けれどタイ相当の筈が殆どがアオババかイエム。

 時折アオザイ。


 アオババはアオザイよりも上着の裾が短く、柄も殆ど無いラフな構造。


 イエムは上半身が金太郎方式で、下は袴の様なスカート。

 偶に長袖を羽織っている者も居るが、殆ど金太郎さん、巻ブラの端を可愛く刺繍するのが流行りらしい。


「何故、アオババやイエムが多いんでしょうか」


『あぁ、過ごし易さ、安さですかね。シワーライは礼装や正装、アオザイはお洒落着、普段着はアオババやイエムが多いそうです』

「成程」


 しかも、アオザイやアオババには、ボタンが使われている。

 だからこそ、お洒落も相まって、ココまで流行ったのかも知れない。


 そう考えると凄いな着物、ボタンが流入しようとも形を変えず残った。


『仕立ててみますか?』


「ノーク君のイエムが見てみたいです」


『それは、少し恥ずかしいんですけど』

「悪く無い反応を引き出せたんですよね、なら背中は強みです、絶対に妖艶に見えます」


 背筋さえ良ければ、大概は背中美人になれる。

 そう姉に躾けられたからこそ、背筋は良いんです背筋は。


『もし、それで』

「薄化粧で暗くし、想像させる、先ずはそこまでにして様子を見ましょう」


『はい』


 コレも姉に教えて貰った事。

 でも、駆使する前に、大丈夫だろうと致してしまったんですけどね。


「はぁ、若さが羨ましい」

『大丈夫です、ネネ様は十分に魅力的でらっしゃいます、そんな手を使わ。いや、敢えて使ってみますか、我慢大会です』


「天の才」


 そうしてスッキリさせて頂いた後は、買い食い。

 豚の炭火焼き、あまり辛くないトムヤムクン、茹で鶏の檸檬和え。


 檸檬鶏は美味しかった、暑いと酸味が美味しく感じるらしい。

 後で会得する決意をした。


 そして道中、珍しい屋台が有るからと、ノーク君に撒撇(サーピエ)なる料理を頂いたが。


 クソ苦かった。

 なのに旨味を感じてしまい、脳が大混乱を起こした。


『ふふふ、苦味は汗と関わります、少し滞りが有るのかも知れませんね』


 流石アジア圏。

 陰陽五行か。


「喜怒哀楽で言うと」

『良くご存知で、酸味、肝胆は喜怒。苦味は血脈や汗、そして喜楽、笑いです』


 張り詰めてると苦味が美味しく。

 確かに、父はビールが好きだったし、ふきのとうも好物。


「成程」

『ですが冷えが強い方は、控え目にとされています』


「基礎ですか」

『多少は、ですけど僕は食べさせたいが為に学んでいた面が、大きいですね』


「素晴らしい、是非予習と、撒撇(サーピエ)の調理方法をお願い致します」

『食べさせたいんですね』


「はい、勿論です」

『ふふふ、良いですよ、ですけど手間が掛かるので要望から幾ばくか頂く事になります』


「そうでしたか、では先程の案に混ぜましょうか」

『良いですね、そうしましょう』


 そうして商店で買い物をしたり休憩し、日暮れ前になると、様々な服装を見る事が出来た。

 確かにシワーライは、コチラで言うスーツ扱い。


 屋台は半ば台所。

 半数の人が何かしらを買って帰るか、待ち合わせ一緒に食べるかし、店は次々と閉まり。


 点々と飲み屋や屋台があるだけの、閑散とした街並みとなった。


 実に健全でホワイト。

 便利の代償が過労なのかも知れない。




「では、コレから作戦会議を始めたいと思います」


 市井に出掛けた翌日。

 我慢大会大作戦、の内容を詰める事になった。


 我慢しきれなかった者には、撒撇(サーピエ)を提供する手筈になっている。

 だが、具体的な内容は、一切決まっていない。


 と言うのも、言語の壁が有るんです。

 自分には無いけども、玉響ちゃんに存在している。


 ノーク君はココの言葉と英語、侍女ズは英語とロシア語、魔獣は上半分の周辺諸国の言葉と英語。

 玉響ちゃんは日本語オンリー。


 いや、指差しカードを作って有るので、日常生活には困らないんですけどね。


《すみません、宜しくお願い致しますね》


 そうして通訳となり、様々なご意見を頂きながら。

 我慢大会大作戦の内容が決まった。




《ネネ》

「我慢しているフリをしたら、流石に縁を切ります」


 市井へ出て以来、民族衣装は仕立てていても、全く披露される事が無かった。

 それはコレが理由だったらしい。


《フリだと思う?》

「なんせスライムですし、自由自在かと」


 現に僕は元の姿まで成長させている。

 けれど、制御が難しい部分も有る。


《確かに意識しないと難しい事も有るけど、コレは本能だよ》


 イエムと呼ばれる民族衣装。

 庶民ならそのまま着ている事も有るらしい、けれど王侯貴族はこのままの姿で表に出る事は無いらしい。


 いや、コレで出るのは本当に良くない。


 ネネはベッドにうつ伏せになっているだけだけれど、本来ならしている筈の胸当てをせず、完全に背中が露わになっている。


「向こうでは金太郎スタイルと呼ばれますね」

《どう言う事?》


「男児はコレだけ、前掛けにした英雄が居るんですよ」

《あぁ》


 子供用の前掛けに確かに似ているけれど、僕から見るに殆ど上裸。

 コレで出掛けないで欲しい、絶対に。


「意外と効かない」

《触りたいしキスしたい》


「チョロ過ぎでは」

《だって、殆ど上裸でベッドに居るんだよ?》


「無い胸を隠してもどうかと」

《有るからって、年中見せびらかされても困るけどね》


「有ったら見せびらかしたいですけどね、折角ですし」

《そんなに気にするなら、神殿に行ってみる?女神アフロディーテが気まぐれに叶えてくれるそうだよ》


「愛と美の女神」

《うん、可哀想な子程、叶う確率が高いらしいよ》


「けど2人を天秤に掛けてるのはどうかと」

《ネネには選ぶ権利が有るんだもの、そんな事は問題にはならないよ》


「しかも試してるんですが」

《試練は神だけのモノじゃないよ》


「触ります?」


《どうなると負け?》

「致すか致そうとしたら負け」


《じゃあキスしても良いよね》

「あんまりいやらしいのもダメです、即失格」


《時間制限は?》

「飽きるまで」


 ノークのせいか。

 少し腹立たしいけれど、試される機会は欲しいしね。


《じゃあ、くすぐらない様に気を付けないとね》


 綺麗な背中。

 きっと手入れもした筈、僕やレオンハルトの事を考えて、作戦も考えてくれた筈。


 嬉しい。




『正直、ネネが処女を取り戻していなかったら、我慢出来る気がしない』


「正直者、触ってどうぞ」


『余計、我慢出来る気がしないんだが』

「それが狙いですから」


 ネネに、ベッドの上で寛がれている。

 うつ伏せの状態と言えど、ほぼ上半身が裸にしか見えない姿で。


『キスは』

「まだダメです」


『まだ』

「気分次第で、追々許可するかも知れません」


『制限時間は』

「飽きるまで」


『敗北条件は』

「致そうとするか致してしまうか、酷くいやらしい事をした場合です」


『そう触れない自信が全く無いんだが』

「多少は、まぁ大人ですので。さ、ココへ来て下さい」


『その格好を他に見せないで欲しい、例えカイルでも』

「アナタが負けたら見せる結果になるでしょうね、外で待機して頂いてるんですし」


『あぁ』


「近くは嫌ですか」

『いや、自制が利く距離がコレなんだ』


「このまま私が眠ってしまったら、辛い延長戦になるだけかと」


『あぁ』


「遠慮されると悪戯心が湧きますね、抱き締めろ」


 ネネは、本当にある種の変態。

 加虐心が旺盛らしい。


『分かった』




 ネネ様からの初の試練は、確かに効いている。


《ノーク、君が噛んでいるよね》

『はい、そうですよ』

『なんて事を、提案してくれたんだ』


 両者共に、良い勝負ですが。


『まだ続きますよ』

《やっぱり》

『まだ続くのか』


『はい、最低でも3日、3回は耐えて頂かないと』


 時間制限は無い、けれどネネ様が切り上げる時期を見計らい、見慣れる前に切り上げて頂いた。

 コレは期待と忍耐の試練、そしてネネ様にとっては察する訓練。


『はぁ、コレが悪魔的思考か』

《政務に活かした方が良いんじゃないかな?》

『はい、その余暇も兼ねていますね』


 もし僕とカイルがこうなってしまったら、カイルは我慢出来ても、僕には辛い。

 良く分かりますよ、だからこそ試練としての価値が有る。


 ネネ様に情愛と情欲、そして強度な自制心を示せる、そうした良い機会なんですから。


《はぁ、分かった、下がって構わないよ》

『はい、では、失礼致します』


 よし、今日は予告無しで襲撃して頂こう。




《跡、いやらしいね》


 いやらしいのはアナタですけどね。


 予告無しで訪問し、今回は目の前でアオザイを脱ぎ、巻ブラを外し傍に行く。

 と言う大胆作戦が決行された。


 レオンハルト氏は固まった後、今度は抱き締めたまま固まってしまったと言うのに。

 コヤツはすんなり抱き締め、ブラの後をなぞっていやがります。


「手慣れてますね」

《そう?コレでも凄い葛藤してるよ、肩にキスしたらそのまま痕を付けちゃいそうだなとか、何とか説き伏せてしちゃいたいなとか》


「来訪者が元の国に戻るまで、手出しは禁止」

《妊娠は絶対禁止事項だけど、処女検査は任意だし、最後までしなければ良いだけだし》


 改めて帝国を出る際、皇帝自らが説明して下さいましたけど。

 ルーイ氏レベルにとっては、妊娠させなきゃアリ判断になる。


 確かに、耐えてはくれてるらしい。


「そんなに良いものですか、男は」


《そうだね、ネネはあんなに痛がってたもんね》


 例えツンデレのツンをしようとも、ルーイ氏にとってはどっちもデレ。

 難しい、ヤンデレの相手難しい。


 成程、コレが拗れるとストーカーか。


「少し味見する程度なら、良いですよ」


《背中?肩?それとも首筋?》

「背中か肩、痕はダメです」


《分かった、じゃあ背中にするね》

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