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51/100

51 罰。

 ネネの発案により、元老院へ碌でも無い案を出した者達の言い訳は、全て悪しき見本として残る事となった。

 そして処分は、身内に適切な処罰を進言させ、見合ったならその内容での処罰。


 けれど、もし見合わぬ内容なら。

 見合う内容が出るまで、一族郎党牢へ入り続ける事になる。


《ネネは甘いよね、殺しちゃえば良いのに》


『殿下』

《向こうの方が命が重いから、仕方の無い事なんだろうね》


 けれど、本当に重い扱いなんだろうか。


 ココでは生きるにはあまりに苦労するだろう場合、子を魔獣へと捧げる、それは老いてしまった老人でも同じ事。

 如何に苦無く素早く死を齎してくれる者と、繋がりを持てるか、そしてその対価を支払えるか。


 そうした事が重視される。


 あまりに苦しむ者を放置すれば、魔獣では無く悪魔や精霊が、全てを取り換える。

 そう、全て、苦痛も何もかも全て。


 けれど、向こうでは生かす。

 それは本当に、重い扱い、なんだろうか。


『ルーイ』

《良いよ、君だけで報告に行ってくれて構わないよ》


 どうせ、必要な会話以外は切り上げられてしまうのだし。

 そう接するネネは、とても辛そうなのだし。


『だが、改めて謝罪をと』

《ネネは拘らないから大丈夫、もう行った方が良いよ、待たせるのは余計に印象が悪くなるよ》


 どうせなら、許されない方が良い。

 少しでも、何かを話してくれるなら。




《折角、私の快気祝いも含めてなのに、拗ねてるんですかね?》


《まさか、あのお兄様が》

『ふふふ、有り得るわね』


「大人げない」

『あら、誰の事、かしらね?』


「勿論、ルーイ様だけです」

《凄いですよお姉様、あのお兄様が拗ねるだなんて、きっとお母様達は今頃大笑いしてますわよ》

《そこまで?》

『そうよ、ふふふ、だって完璧な愛想笑いの冷血ルーイちゃん。だったのだもの、ね、レオンハルト』


「本当ですか」


『はい』

『とある事件が有っての事、よね』

《詳しく》

《私も聞きたいですわ、レオンハルト様から》


「ダメなら他を」

『子供の頃です』


 当時、エル様より少し上の、ご年齢の頃です。


 婚約者がいらっしゃらない殿下に、言い寄る女性は大勢居ました。

 皇太子である事は勿論ですが、既にあの容姿でしたので、中にはお相手が居る方まで陰で迫る始末。


 そこで殿下は、自分を奪い合わせる催しを開催しました。


 とある構造物を作らせ、その最も高い地点にお座りになると。

 手が届いたなら、その相手のモノになる、そう仰り女性達を登らせました。


 結果は、惨憺たるもの。

 ですが、殿下は微笑みを絶やさず眺め続け、最後の最後まで煽り続けました。


 《何故、こんなに簡単な事なのに、誰も来てはくれないんだろう》


 以降、殿下は構造物にすら近寄らず平伏し続けていた者の中から、選んでは断る。

 そうして候補を減らし続け、とうとう、候補が居なくなってしまったのです。




「何処かで、何か、聞いた事が有る様な」

《何処でこんな、浮雲た〇し城?》


「古くない?」

《良く分かったね?》


 ネネちゃん、脳内データベース検索中の顔。

 真顔だから、ちょっと機械っぽい。


「あ、クッカーニャだ」


《クッカーニャ?》

「カーニバル、パレードの原点とも言えるお祭りなんだけど、一時期変異しちゃったんだよ」


《ほう?》

「お菓子や肉で出来た家、滑る棒の先に食べ物を刺して取らせるの、貧しかったり餓えてる人達に」


《誰が?》

「王侯貴族」


《王様も?!》

「カルロス3世、またはスペイン王・ナポリ王、ナポリ公とも呼ばれた人。1776年にはサド伯爵でさえビビったとされてる、中には真剣で食べ物の奪い合いさせてたから」


《え、マジ?》

「うん、日本語でも殆ど記事が無いんだけど、お兄ちゃんがね」


《お兄ちゃん》

「いや、パレードの原点って何だろうって言ったら、解説してる映像と記事を見せてくれた」


《また、噛み合わない》

「いや、知れて良かったと思ってる、何処の国でも隠したい事は有るんだなと」


《あぁ》


「で、大当たりでしょうか」

『あぁ』


「ふふふ、クッカーニャ」


 あ、もしかしてネネちゃん、ルーイさんやレオンハルトさんにさせる気じゃ。


《あ!お姉様!ご協力させて頂きますわ!》

「いえいえ、エル様は綺麗な事だけ手掛けて下さい、折角の遊園地が穢れてしまいます」


《ぅう、面白そうですのに》

「では遊園地に生かして下さい、安定安全なクッカーニャ、本来のクッカーニャの姿を私に見せて下さいませんか?」


《お姉様、ちゃんと見てくれます?》

「勿論、私も責任者の1人ですし、遊園地は大好きですから」


 この笑顔。

 絶対、何か企んでるよぉ。




《ネネちゃん、何をお企みで?》


「最初は、2人にさせようか、と。でも、マジで何とかしそうだし、また策略に巻き込まれても困るなと思いまして」


《て?》

「悪魔さんに助力して貰おうかと」


《おぉ、振り切れ方が凄い》

「習うより慣れろ、お願い事をすると親密度が上がるので」


《あぁ、アレね》

「ぶっちゃけ、悪魔さん達の方が正直なので」


《確かに》


 ユノちゃんと共に、暫く地獄(ゲヘナ)に滞在して気付いた。

 更に違う常識だけど、却って楽。


 基本的に本当に全てが善意。


 しかもコチラをか弱い認定してくれているので、策略に巻き込もうとすらしない。

 実質、天国。


 しかもヒナちゃんの執事、めちゃんこツンデレで超可愛い。

 ユノちゃんからも、第3の癒し認定入りました。


 第1はモフモフコンちゃん、第2はヒナちゃんとエル様、そして第3にツンデレショタ。


 完璧な布陣。

 マジで天国。


 けど、東の国がコチラをかなり心配しているらしく。

 どうしても顔見せをしなければならないんですが、ちょっと、億劫ですら有る。


 けど、でも、遊園地を広めるにはコレしか無いワケで。


「はぁ」


《頼むつもり、あんまり無いんだ?》

「答えが出ちゃうので、ですね」


 地獄(ゲヘナ)が楽だった、もう1つの理由。

 誰も宛がおうとしないし、誰も声を掛けて来ない。


 ヒナちゃんですら子供扱いなのに、コチラはもっと子供扱いと言うかもう、珍獣扱い。

 食べ物は奢られるわ服は贈られるわ、なのに遠くから手を振って終わりか、軽く励まされて終わり。


 姫プって、この事か。

 と何度思った事か。


 それに、偽ユノが幸せそうな姿も遠くから見れたし。


《ネネちゃんを任せられる人が現れるまで動かない》


「あー、えーっと、それはそれで」

《意地でも探して?じゃないと心配で離れられないー》


「それは、ごめん」

《半分冗談だってば、あの地獄(ゲヘナ)が有るんだし、陛下も居るし。けどお姉ちゃんとしては、そう欲張りたいじゃん?》


「ですよね」


 地獄(ゲヘナ)ではもう、姉妹と言う事で一緒に行動していたんだけど。

 ユノちゃんがお姉さん認定されてたので、そのままにした。


 そう年も変わらないし、ユノちゃんの方がしっかりしてるし。


 でも、だからこそ甘えてばかりは確かに申し訳無い。

 出来るなら、安心して旅だって貰いたいけど。


 もう少しだけ居て欲しい。


《また策略に巻き込まれそうな匂いがしたら、次は一緒に地獄(ゲヘナ)に逃げよう》

「うん、お願いします」

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