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16 ご休憩。

 取り敢えずは用意して頂いた別卓へ。

 先ずは防音と視認妨害の結界が張られ、発動を確認したルーイ氏が護衛として結界外で待機。


 それからユノちゃんと共に、殿下の前に着席すると。

 殿下が既に頭を抱えており。


「それは、何の動揺ですか」


『ネネは、何処まで俺を試すつもりなんだろうか』


「あの、別に誰としようとも関係無い間柄なんですし」

『そこは理解している、ただ』


《あ、もしかして、ネネちゃんが男でも愛せるか試してるのでは。って事?》

『あぁ』


 てっきり、風俗に行かれる事が嫌なだけかとばかり。


「いや、全く、考えてもいなかった事なんですが」


《あ、純粋な知識欲?》

「興味本位の赴くままです、はい」


《でも面白い考えだよね、成程》

「まぁ、確かにそうですが、抱けます?」


『正直、分からない』

「正直」

《ルーイさんはどうなんだろう》


「確かに、と言うかそれこそ非処女かも知れないし」

《あぁ、確かに》


「先ずはそこを確認したいので交代を」


『ネネ、試す気は無かったんだな』

「はい、全く有りませんでした」

《墓穴を掘ったね》


『あぁ、交代する』


 全く、思ってもいない方向で悩まれていたとは。


「愛が奥深い」

《確かに、考える幅が広いよねココ》

《どうしたの?》


「男の私と出来ますか」


《見た目によると思う》

「確かに」

《試す気は全く無かったけど、そう疑われちゃったんだよね》


「はい」

《あぁ、僕はネネが納得するなら試されたいと思う》

《うん、実に潔いね》


《ただ、受け入れられなくても、責めないで欲しいとは思う》

「あぁ、はい」

《ルーイさんは非処女?》


《あ、いや、一応は処女だよ》

「一応」


《そうした訓練は、少し受けた事が有るから》

《訓練》

「あぁ、一応はハニトラ専門だから」


《あぁ、成程》

《けれど、一応異性愛者だから、自信は無いかな》


《けど、この顔にイチモツが付いてると?》


《多分、抱けると思う》

「愛が奥深くて困惑しています」

《だよねぇ、向こうに無い選択肢だし》


《ネネは、男になりたい?》


「月経時には」

《あ、ネネちゃん重い方?》


「いや、軽い方だけど、なる前が最高に怠い」

《あー、眠くて仕方無いとかも有るもんね》


「もう3日間眠くて堪らないしかぶれるし」

《本当、旅してるとそこだけ面倒、羨ましい》


「その状態で向こうに戻るとどうなるんだろうね」

《あー》


《もし抱けたら、結婚してくれる?》


「予定表、まだでは?」

《それは、レオンハルトの方がまだで》

《合わせて出そうとしてるんだ、偉い偉い》


「いや早くくれませんかね」


《それでダメだと思ったら》


「まぁ、ご実家にお引き取り頂きますね」

《それさ、先ずは男で試してからでも良いんじゃない?個人情報だし》


「あぁ、何かごめん、フォローして貰ってばかりで」

《いやいやいや、持ちつ持たれつで》


「ありがとう」

《僕も、ありがとう》

《いえいえ》


「けど、そうなると殿下も試す事になるんですが」


《そこは、うん、選ぶのはネネだから》


 ちょっと、可愛いと思ってしまったが。

 まだ若いから、コチラの嫌な面を知らないか、気付いていないだけで。


 きっと、何かを知れば、飽きれば。


《ちょっと、少しだけ出ててくれるかな》

《うん》




 ネネちゃん、好きだったからこそ傷付いたんだよね。


《ネネちゃん、嫌な事、アレだけじゃないよね?》


「そら、別れ話ともなると、ドチャクソ言われた」

《あぁ》


「結婚してからとかって重いし、流行らないよ、やっぱり相性とか有るワケじゃん。それで結婚してダメでしたって、その方が無駄に戸籍を汚すだけなんだし、周りにも説明し辛いじゃん」


《ちょっと正論ぽい》

「まぁ、合わなかったんだと思う、何かごめん」


《かーらーの?》

「いや、あの時は俺もマリッジブルーみたいになっててさ、ちょっと思っても無い事を言ったかも知れないけど。別にその、嫌いになったとかじゃなくて、少し距離を置こうと。いや魔が差したって言うか、少し不安で靡いただけで、全然好きでも何でも無いしもう縁切ったから」


《何か、知らない人なのに、脳内再生が余裕過ぎる》


「俺も悪い所はいっぱい有ったと思うけど、でもネネもさ、結構プレッシャー掛けてきてたし」

《出たー、出ました、責任転換ー》


 あ、笑った。


「褒めて伸びるタイプだから、あんまり怒られてばっかりだとさ、俺だって愛されたいなと思うし。いや、結婚したい気持ちは変わらないけどさ、誰だって不安になったり間違えたりするワケじゃん。俺は追い詰めてきたネネの事を許すんだし、少しの間違い位は許してよ、愛してるならさ」


《凄い、猫を被られてたって事だよね?》

「自分、気付けませんでした」


《いやいや皆が皆気付けてたら、誰も離婚なんてしないし、詐欺なんて無いじゃん?》

「でもさ、今思うと、アレがサインか、ココで気付けたのかって思うともう。擂り潰してしまいたぃ」


《サインって、具体的には?》

「親を楽させてやりたいとか言ってたのに、家事がクソ下手」


《あぁ、言うだけ、ね》

「待ち合わせしてた日に連絡しても返事が無くて、同級生と飲んでて酔い潰されて寝坊して、デート無しになった」


《その実態は》

「浮気してた」


《ぉう》

「元カノの連絡先をまだ残してて、浮気相手とは特殊な手段で連絡取ってた」


《計画的犯行》

「多分、童貞じゃなかった」


《悪質、有罪》


「出会い系使ってて、浮気相手に自分から連絡してて、フラれたのも有って復縁しようとしてた」

《よし殺そう》


「暴いてくれたの、家族」

《あー、申し訳無いと言うか何と言うか》


「ウチは婚約者だと思ってたって、親が言ってくれて、裁判するか全て暴露して慰謝料払うかで」

《それで全部知っちゃったんだね》


「やっぱり揉みごたえが有る方が良い、姉の方を妄想して頑張っ」

《うん、来たら絶対に殿下に殺して貰おうね?って言うか本当、良く男嫌いにならなかったね?》


「お父さんも、お兄ちゃんも違うし」

《でも見本にってなると難しいよね、身内だし》


「それで、プレッシャー掛けてたのが、申し訳無いかったなと思ったのに」

《被害者になりたいから、針小棒大に言ったんだろうねぇ》


「じゃないかって、でも最後までプレッシャーのせいだって、でも今はもう大丈夫だとか言って」

《面の皮の万枚張り》


「はぁ、泣きそう」

《良く泣かないでいられるよ、他の子なら絶対3回はしゃくり上げてる》


「見抜けなかった私が悪いし」

《ぶっちゃけさ、お姉ちゃんだから分かるんだけど、もしかしたらお兄さんもお姉さんも失敗を隠してただけかもよ?恥ずかしいのは勿論だけど、人間不振にならない様にとか、無垢でいて欲しいとか》


「だとしても、気遣いのすれ違いが」

《そうそう、ちょっと運勢的に相性がズレがち、的なね?ウチの家族にもさ、誰とも噛み合わないなっての居るし、もうそこも含めて家族として慢心せず頑張ろうって感じだからさ?他人はもうそりゃ大変よね?》


「でもほら、ユノちゃんは」

《それは誠心誠意友人として、同志としてだもの。好きになると、ちょっと狡したくなるみたいだし、合わせちゃう事も有るじゃん?でもほら、そこは必要無いからこうしてられるだけかもで、実際に殿下とかアレなんだし》


「何で私が来ちゃったんだろ」

《そらもう、きっと誰かの運命の相手なワケですよ、魔獣とか聖獣含め》


「何か、敢えて魅了の魔法に掛かりたがるモノの気持ちが分かった気がした」

《それは最終手段にしとこ?》


「ですよね」

《超クール、それとも涙は枯れた?》


「いや、何か、化粧直し面倒だし、泣くのダサいなと思って」

《ナイスクール、折角泣くなら男の前にしよう》


「えっ、引かれたくないんだけど」

《寧ろ、泣いて引く奴は縁を切ろう、書を捨て街に出てナンパしよう》


「偶に古い単語が出る」

《お爺ちゃんが格言フェチ》


「フェチて、あぁ、フェチか」


《よし、でどうする?殿下抱いちゃう?》


「この流れだと、何か、八つ当たりっぽくない?」

《それが嫌なら離れれば良いんだよ、それでも良いって言ってくれるか、そうしなくても良い人か魔獣を選べば良いんだし》


「不意に出る魔獣の単語に異世界を感じる」

《分かる、言ってて異世界み凄いとか思う》


「ユノちゃん、娼館でヤっちゃっても軽蔑しない?」

《手当たり次第ヤるワケじゃないんだし、それこそ自信を付ける為に安全に試すなら良いと思うし、何なら男で女を試してみたい》


「分かる、何なら両性具有も試したいし」

《どっちの意味でも?》


「勿論」


《それこそ、両性具有で、男と女の相手をしたいとか言ったら》

「いや失神しそうだよね?実に興味深い」


《したいんだ》

「でも普通に戻れなくなりそうだよね、満足出来無さそう」


《あー、うん、それは追々で》

「ですよね」


《何か、ちょっとワクワクしてきた》

「分かる」


《よし、先ずは殿下か》

「ですね」




 感情が上下しまくって、ちょっと情緒不安定かも知れない。


『ネネ』

「男でダメなら即時撤退をお願い致します」

《英断を、お互いに良い年なんですから、ね?殿下》


「ルーイにも同じ条件を呈示します、それから結婚後の生活について考えた上で、答えを出すには更に試練を課すかも知れません」

《うん、事前告知偉い》


『それは、俺が原因なんだろうか』

「いえ他の男です」

《後で教えるからさ、良いよね?》


「娼館行く前が良いかな」

《あー、行く前かな》

『行く前提は揺らがないのか』


「嫌なら撤退を」

『理由を聞かせて欲しい』


「性行為含め、体も貶されたからです」

《しかも童貞と偽られてた挙句に浮気されて、けど浮気相手にフラれたし、良い家柄も有って寄りを戻そうとされた》


「凄い酷い目に遭ってる気がする」

《いや本当に酷い目に遭ってるからね?》

『俺に、その男との共通点は有るんだろうか』


「男、嘘臭い」


『すまない』

「他にも有るかも知れませんが、アナタを知らない」


『あぁ』

《けど時間は過ぎるし、選ぶには知るしかない、けど自信が無いと前に進めないのも事実》

「で、先ずは完全に興味本位で男になって女を抱いてみて、次に殿下ですね」


『その、女を抱く必要は有るんだろうか』


「意味が無い事しか許さないなら撤退を」

《ご英断を》


「まぁ、切り替えたい、ですかね」

《ココに慣れる為、とか?》


「それもだし、それこそ男で生きるかもだし」

《付き合う?》


「それは何か違う」

《分かる》


『分かった、ただギリギリまで考えさせて欲しい』

「どうぞどうぞ」

《よし、陛下にご報告だ》

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