最終話 人形の意味
君島は研究所にて一つの理論の研究をしていた。
それは共鳴と入れ替わりの科学的見解について。
「こんな面白い題材はない。必ずこの理論を証明してやる。」
その声を別の人間も聞いていた。
「君島さん、オカルトに理論もくそもないんだよ。」
「そういうなよ溝谷くん。僕は自分の考えを否定するライバルを求めていたんだ。君の存在が必ず僕にとってプラスになると信じている。君には悪いが必ず証明してやるからな。」
バカな男だと溝谷が否定しようとしたとき溝谷のスマホからコール音が鳴り響く。
「君島さんすいません!今からヨシコちゃんとデートなんで…また今度!」
喫茶店にてマスターは黙って食器を拭いていた。
相変わらず客は一人しかいない。
その客は新聞を読み、相変わらず何か悪巧みを考えていた。
「ヨシトミ、今度は別の町へ行こうか…」
マスターは「今度は何ですか?」と呆れながら返す。
「中目白町…ここなんかどうだい…」
「どうせ由美子さんが全て決めるんでしょ?」
客は不気味に笑いながら「よく知ってるね」と一つのビデオカメラを取り出した。
「偽りのビデオカメラ…そこにあるはずの無いものをあるかのように映し出すことができる…」
客はビデオの一時停止ボタンを押した。
喫茶店の外装はみるみる消え去りマスターの大事にしていたコーヒーマシーンも消えていく。
そして現れたのは小麦色の外装に包まれた一つの店。
「由美子さん!コーヒー豆くらいは残して下さいよ!」
「ヨシトミ!馬鹿な趣味を持つんじゃないよ。ここはビザレ堂だ。ヘンテコな喫茶店じゃないんだよ!」
城陽寺の総住職、衣川段治は嘆いていた。
そこには新人僧侶はいなかった。
「あの野郎。結局教師続けながら寺に入るとか舐めたことしやがって。足半分浸かってできる世界じゃないってんだよ」
洋子はそんな様子に呆れ顔。
「息子が恋人と旅行に言っていないからって、文句言ってんじゃないの!さあ、昼から檀家の人へ挨拶回りにいくのよ!」
「くそ~予定がなかったら俺達も行けたのになぁ」
弥生はとある高校の面接へ来ていた。
働きながら夜間高校へ通うことを決めたのだ。
結果がどうなるかはわからないが、心の中は花束を持つ男たちが弥生を囲っている。
(白線○しのような恋ができますように…)
面接官の質問にも気付かずウットリする弥生だった。
ウサコとマリはとある楽屋の裏へ来ていた。
「ウサコ!あんたなんで私なんか誘うのよ!」
ウサコはマリの胸ぐらを掴んだ。
「仕方ないでしょ!誰を当たっても断られたのよ!」
「なんであんたみたいなわがままと組まなきゃいけないのよ!」
喧嘩はなりやまず、結局エントリー番号を呼ばれる二人。
…第一回ダンシング漫才コンテスト…
凪生の親は韓国のソウルで買い物をしていた。
「東大門なんて初めてきたけどスゴいのね!綺麗な洋服がたっくさん!!」
「母さん!そんなことより目に毒過ぎるよ!美人しかいないからね!アンニョンハシムニカ!」
そんな父に母は呆れるばかり。
「父さん!俊哉さんのご好意と凪生のコンテスト優勝のお陰でここに来れたこと忘れないでよね!」
「わかってるよ。ところで二人は?」
「モッポってところへ行くって言ってたわよ。」
モッポのとある墓地。
そこには(本村華石、経心)と書かれた墓がある。
「俊哉あったよ。本村さんに書いて貰ったのと同じことが書いてあるわ」
「これでなんて読むんだ?」
「お母さんはファコル、お兄さんはケイシン」
線香を取り出し火をつける。
日本も韓国も同じ仏教徒だからか日本の墓参りと大差はない。
「凪生あれ持ってきた?」
「もちろん」
鞄から糸人形を取り出す。
本村からお祓いをして貰ったものだ。
人形を墓の前へ並べ、手を合わせた。
「死にかけたけど…この人形を持ててよかったわ。」
「…俺もそう思うよ。」
「だけど、私たちで最後にしてほしいわね。もうあんな思い誰にもさせたくない。」
「そのために墓参りにきたんだ。人形は人を呪うもんじゃない。」
「そうね。これからどうする?」
「お父さんとお母さんは楽しんでるだろう。モッポもいい町だから、ゆっくりしていこう。」
二人の繋がった手は離れることなく歩いていく。
由美子は嘆いていた。
「ファコルのやつ…成仏しやがった…」
糸人形から殺気が消えたのがわかる。
「ファコルさんもケイシンさんもあの二人に会えてよかったんですよ。」
ヨシトミの台詞に「馬鹿なこと言うんじゃない!!」
と罵声で返す。
「世の中にはまだまだ呪い、憑き物溢れてるんだよ…たかがその中の一つが消えただけ…これで終わったと思うな…間抜けな人間どもめ…」
終




