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馬のウンチとPTAの横山さん



俊哉の目の前には空き地が広がるばかり。

立て看板に(買い手募集 立ち入り禁止)と書かれている。

「そんなバカな!?夢見てたって言うのか!?」

両手で顔を塞ぐ俊哉。

場所を間違えてるとは思えない。

その様子を1つの影が覗く。

「あんた…どっかで会ったわよね?」

俊哉はその顔に見覚えがある。

「あんた…店にいたガサツ女!?」

なんだと!とその女は俊哉に飛びかかった。

「思い出した!あたし、あんただけは絶対許さないっていったわよね!」

「忘れてたじゃねーか!」

掴みあう二人を止める新たな二つの影。

「お二人さん場所を変えましょう。」




そこは見るからに暇そうな静かな喫茶店だった。

「改めまして君島です。」

「親戚の時任です。」

俊哉と凪生はにらみ合いを続け二人の挨拶を聞いていなかった。

それでも君島は話を続けた。

「二人はあそこの空き地にあったはずの店に入り、そこから記憶がなくなるようになった。」

にらみ合いながらもこくっと頭を下げる俊哉と凪生。

「本当にあそこの場所なんですか?記憶違いとかでは…」

君島の問い掛けに、「間違いない!」とシンクロして二つの声が帰ってくる。

その様子を見た弥生は「また通じあってる!」と叫んだが弥生のいう通じあってるの意味が二人にはわからなかった。

喉をならし君島はこの現象を述べる。

「…僕達は二人が同じ言動と行動を取ってしまったところを見ていたんだ。店というのが関わってくるかは知らないが間違いない…」

凪生ちゃんと衣川さんは…

「共鳴しあっている。」

何も理解できないうえ、互いにいけすかない俊哉と凪生。

「そんなわけあるか!」「嫌よ!こんな七三男となんか!」と理解を示そうとしない二人に君島は1つの実験を行った。

「どのタイミングで共鳴しあうかわかりませんが、お互いに確認しあう方が納得できるでしょう。」

喫茶店のマスターにも協力してもらい、俊哉と凪生は約2m離れ、お互いを向き合いに座る。

そして、その様子を眺める君島、弥生、マスター。

俊哉と凪生のにらみ合いの冷戦は続いている。

15分ばかり睨みあうが何も起きなかった。

「たけちゃんもう疲れた。こんな男と見つめあうなんてできないよ。気持ち悪い。」

「俺だってやりたくねーよ!あんたその化粧どうにかしろ!福笑いみたいなんで笑いそうなんだよ!」

なんだと!と凪生は飛びかかった。

(共鳴)

「言いやがったわねー!ステージに立ったことないくせ何がわかんのさ!ステージに立ったらこんなもんスッピンとかわりな………」

凪生の目の前に同じ台詞を同じ動作で行う俊哉。

「……真似しないでよ……あんたなんなのよ……」

表情まで同じ……

「…昔木から落ちて落ちた所に馬のウンチがあってウンチまみれになった…」

なんでそれを…

「なんでそれ知ってんの?私と親しか知らないのに!」



俊哉の目の前には呆然とこちらを見る凪生。

「なんで見てるんだよ?」

他の3人にも目を向けると凪生と同じ表情をしている。

まるで記憶はないのだが、その共鳴というのを本当にしていたのか!?

「あんた…馬のウンチまみれになったことは?」

凪生の珍質問に「あるわけないだろ!」

と答える。

凪生は俊哉を力付くで椅子に座らせ質問をした。

「あんた記憶飛んだとき、文句言ったり、ダンス踊ったりしてたって言われなかった?」

俊哉は「なんでしってんの…?」

とただただ驚くばかり。

凪生は目を見開き口を手で塞ぎ息をゆっくり吸った。

そしてゆっくり吐く。

「文句とダンスは私の日課なの!」

ギャラリーの3人は「後者はともかく前者は…」と半分笑っていたが、それを凪生は睨み付ける。

そして凪生は俊哉をの胸ぐらを引き寄せた。

「こんなことは全くもって嫌であんたなんか大嫌いでやりたくないけど…」

私と…

「今日から一緒に住んでもらいます!」


(共鳴)


「ふざけんな!何いってんだあんた!ムリムリムリ!何のため…」

俊哉の目の前には同じ言動の凪生。

「なんで俺の真似すんだよ。バカにしてんのか!」

全く同じ…表情まで…

「苦手な人はPTAの横山さん…」

なんで…なんで…

「なんで?横山さんとお知り合い!?」


凪生の前にこちらに視線を向けカタカタと震える俊哉。

何かに脅えている。

「本当に共鳴してるのか…それとも本当に横山さんを知ってるのか…」

もちろん凪生が知るはずもない。

その時君島と弥生が声を揃えて

「一緒に住むってどう言うこと?」 

と反発と疑問を凪生にぶつける。

「この現象がなくなるまでは、ってこと。私の私生活ばらされるみたいで嫌だから。」

君島と弥生はそれはダメと言いたいが他に返す言葉がない。

(あの~)

「先生も凪生さんも男と女なんだから、駄目よ…先生だって嫌よね。」

「嫌だが、それでこの呪いが消えるなら。早く終わらせたいからな。」

(あの~)

「凪生ちゃんもなにいってんの?ダンスの練習は?」

「しばらくは家で個人練習する。さすがに仕事は行くけど。一番ばらされたくないのはプライベートの夜のことだから。」


「あの!すいません!」


マスターがひきつった何度も呼んだんですよと言わんばかりの顔でこちらへ口を開いた。

「いまそこの…」

先程座っていた席を指を指した。

そこには二つの鞄が。

「お二人様が同じ台詞をいってる時にそれぞれの鞄から青と赤の光が見えました。関係あるのかわかりませんが。」



「これって…」

喫茶店のテーブルへ座り直した。そしてそのテーブルの上へ並ぶ二体の人形。

「でもあん時結局買わなかった。あんた盗んだのか!?」

俊哉の声に「誰が盗むか!」とツッこむ凪生。

君島と弥生は「捨ててしまおう。」と提案をする。

俊哉も凪生もそれをのみ、喫茶店のマスターに粗大ごみへ捨ててもらう。

「これでお二人一緒に住まなくていいですね。」

嬉しそうにスキップをする弥生。

俊哉もこれで一安心…とは思えなかった。

なぜかわからないが嫌な予感がする。




捨てたって…焼いたって…逃げられやしないんだよ。

もう憑き物の宿主は見つかっちまってるんだから…

逃げたければ…死んじまうしかないんだよ…エッヘヘ



翌日の授業を終えた俊哉。

同僚の教師たちと話がはずむ。

もちろんそこに溝谷の姿もある。

「先輩、こないだのこと覚えてます?」

何か約束したか?思い出せない。

これですよと溝谷が持ってきたのはオカルトの本だった。

他の教師がそれを見て逃げる。

「こんなもん持ってくるなよ。」

「覚えてるかなと思って…」

だから何を?なんのことだ?

溝谷はページを開き「おっここだ。」と指を指した。

「モッポの糸人形ですよ。人形は捨てても、焼いても宿主を見つけたら死ぬまで逃げられない…これが記憶がなくなる原因だとしたら怖いですね。」

馬鹿馬鹿しいと思いながらも目線を本に向ける。

「あっ…これは…!?」

そこにはあの人形の写真があった。


(共鳴)



携帯ショップの仕事も終わり、凪生は後輩とカフェで一休みする。

「先輩、こないだ合コン言ったんですよ。」

あまりにふいな問い掛けだった。「よかったじゃん」と軽くあしらう凪生。

「相手は学校の先生で、一人は科学の先生だったんですよ。」

学校の先生は嫌いだ。あのむかつく男を思い出す。

「その人の先輩の教師がたまに記憶がなくなるんですって。」

あしらいながらも「どっかで聞いた話ね?」と耳を傾ける凪生。

「その原因が呪いの人形なんじゃないかって。そしてその人形は捨てても焼いても追いかけてくるんですって。怖いですよね~」

 

(共鳴)


「やばいぞ!マジか!それ俺とあの女の鞄に入ってたんだぞ!」自分の鞄を探る凪生。手に取ったのは赤く光る人形。

「なんでここにあるんだ!確かに捨てたのに!」



「あれ?」

また記憶がなくなったような。気のせいだろうか。

「先輩大丈夫?」

凪生は何事もなかったように「もちろん!」と返す。

「ところで…」

後輩は凪生の右手を指さす。

「その人形はなんかヤバイんですか?なんでここに?って言ってましたけど。」

右手…?


(共鳴)



「先輩それ…本の写真と一緒の人形ですよね?」

溝谷の問いかけは否定できるものではなかった。

なぜなら本の写真とまるで同じものだったからだ。

「どうやってここへ…生きてるのかこいつは!?」

その糸人形は土にまみれさらに不気味に見えた。


(共鳴)


「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」




呪いを消したければ………まあもう1つの方法は絶対に無理じゃ…やはり死んで終わらせるしかない……

まだまだ終わらんぞ…へっへへへへへ



























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