閑話 一蓮托生
●会議室のようなところ●
全員が青い顔をしている。
『闇の神』すら、青ざめている。
『死の神』なんて、
骨と皮しかない顔が青ざめているので、
本格的に死体にしか見えない。
「……なんで、出てこれたのですか?」
『水の神』が溢した。
その通りだ。
少し前とは違い、ビトメがトシ・オーの近くにいる。
『命の神の加護』は正常に動作しており、
ビトメがトシ・オーの近くにいれば記憶が封印される。
そのはずだ。
そのはずだった。
しかし、トシオは出てきた。
そして、明確に神々への敵意を見せた。
彼と敵対したらば。
「これで私と一蓮托生ね」
冷や汗を流して、それでも強がる『闇の神』。
しかし、彼女の言う通りだ。
もう神は全て彼の敵になってしまった。
『火の神』はうなだれ、
『土の神』は眼鏡を外してうつむく。
『鋼の神』は両手で顔をおおって大きなため息を吐いた。
『風の神』はヒールを脱いで投げ捨てた。
「……それもだが、
ダンジョンマスターたちは誰を連れ出した?」
死の神は、闇の神をにらみながら質問する。
「彼女は私が初めてこの世界に連れてきたダンジョンマスター。
名前はメグ。
『氷の鏡』で封印されてたのを、
『火の神の加護』で解除したみたい」
少し嬉しそうに話す闇の神を見て、
苛立った声で死の神は追加の質問を投げた。
「何故だ?
何故アイツらはその、メグとやらを解放した?」
「流石に知らない。
って言うか、
メグのダンジョンコアは今も私が持ったままなの。
返しに行かないと」
思い出したように闇の神が懐からダンジョンコアを取り出した。
しかし、死の神は。
「お前はあちらに行かせない」
「……でも、コアがないと、
メグがダンジョンマスターとして認識されないんだけど」
闇の神も食い下がる。
死の神は声を張り上げないが、
声色で怒っているのが分かる。
「どのみち、
もうこの世界にダンジョンマスターは不要。
全員殺してしまえ」
「私の権能『ダンジョン』がある以上、
この世界にダンジョンは必要。
それを守護して利用するダンジョンマスター含めてね」
権能があると言うことは、
『創世の神』の作ったこの世界の一部にちゃんとダンジョンがあると言うこと。
ひいては世界にダンジョンが必要だと言うことになる。
「このような事態になったのも、
ダンジョンマスターが原因だ。
ダンジョンマスターがいなければこうはならなかった。
それに、ダンジョンマスターはダンジョンの一部なだけで、
いなくて良い存在だ。
ダンジョンの運営を、
お前が一人でちゃんとやればいい話だろ?」
「それは……」
流石に闇の神も言い返せない。
「働け。
お前が全ての元凶で、害悪だ。
許されるなら、
お前の身柄をトシオに引き渡してしまいたいほどだ」
「じょ、冗談でしょ?
冗談でもやめてよ。
私なんか引き渡しても、何もならないからね」
「少なくとも、彼の溜飲はいくらか下がる」
死の神の顔はマジだ。
死の神は、意気消沈の他の神にも言う。
「全員、最大警戒だ。
トシオをトシ・オーから出すな。
もし出てきても、なんかしらで押さえ込め。
そのためなら権能も使え」
死の神の指示を聞いた他の神々はため息を吐いた。
死の神は闇の神の方を見て付け足す。
「闇の神、お前は反省室にもどれ。
そして、二度と出てくるな」
「あら、私の力が必要じゃない?
経験者の力よ?」
闇の神は食い下がるが、
死の神にはとりつく島もない。
「お前は世界の崩壊の元凶だぞ?
殺されなかっただけ、良かったと思えよ」
冷たい死の神の瞳を見てしまった闇の神は、
冷や汗を流して付け足す。




