プロローグ
無数の星々と満月が見下ろす、現代日本の帝都・東京。
中心部や都市部は、鮮やかなネオンが煌めく。
そして寝静まった郊外のベッドタウンに、一軒の民家。
その二階に位置する、こじんまりとした部屋。
中にはタイピングの音だけが、静かに響く。
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俺は星霧響。何の変哲もない高校二年生だ。
一応、金儲けっていう単純な願望を持っている。
あとは知名度を上げるのと、自己顕示欲を満たすってとこ。
それを叶える為に、ラノベを書いてWEBに投稿してる。
創作に全ステータスを振った俺なら、
それが一番手っ取り早いからね。
「……よし、作業終了。こいつは提出して…」
キーボードを打つ音が部屋に響く。
期限ギリギリ。危なかった。
暗い部屋。時刻はちょうど深夜帯。
唯一の照明は、パソコンの薄暗い画面だけ。
時計の針が動く単調な音だけが聞こえる。
傍らのスマホに手を伸ばす。
時刻は午前1:30を回ったところ。
眠気が込み上げる。
大きく伸びをしてパソコンに目を遣る。
画面にはシンプルな執筆エディタと、
有名な某検索サイトの画面だけが映っている。
書いてるジャンルはあれだな。
よく言われる『なろう系』ってやつ。
異世界転生or転移して、主人公とキャラがワチャワチャやる。
ありきたりの展開だけど、
そこに様々な秘伝の要素を加えて味付けする。
そうすると、あら不思議。
味気ないテンプレが、絶品料理に生まれ変わる。
俺が作るのは激辛スパイスを多く使った料理。
ハーレム?甘々恋愛?そんなのありゃしない。
もっとダークでハードな、愛憎たっぷりの作品さ。
ていうか、俺の作りたい物じゃない。
作ろうとしても作れないのが、悲しい現実。
人気はないと思ってたけど、結構評価が高い。
更に、長い間の悲願だった書籍化を達成。
収入はどれぐらいかって?
高時給バイトに就いて、シフトを詰めまくって働く。
それでギリギリって具合かな。
お陰様で懐があっつあつさ。
そこらにいる凡人とは、雲泥の差があるってワケ。
俺もここまでとは思ってなかったけど。
近くの大通りを、車の通る音が微かに聞こえる。
眠気が再び込み上げてくる。
飲んでいたエナドリの缶を持つ。冷たい。
そのままゴミ箱にポイ。珍しくゴールイン。
後片付けを済ませ、寝巻きに着替える。
部屋の中は暗く、寒い。
ベッドに潜り込む。温かくはない。
今は3月に入ったばかり。冬の季節の真っ只中。
スマホを触って、今日のSNSを確認。
通知は15件。結構来てる。
企業さんの依頼。
定期読者さんからの、心温まる感想。
捨て垢からの誹謗中傷も混在だ。
もうとっくに慣れたけど。
たまに自称フェミやキッズからの悪口もくる。
本当に稀だけど、陰謀系からも来る。
あとはインプレゾンビとbot。
そう言うのは基本的に無視。
やれる限りの返信を終わらせる。
企業さんへの返信は起きてからにしよう。
頭のそばにスマホを置く。
再び大きな欠伸をかます。目を閉じて力を抜く。
疲れが徐々に侵攻してくる。
ベッドが温かくなってきた。
体温でちょうどいい具合だ。
フカフカのベッドに、程よい温もり。
やっぱり恵まれてる。
そのまま作業を終えて、俺は目を閉じる。
明日は念願の秋葉原へ行く日だ。
さあ大冒険!…とまでは行かないだろう。
だけど、新たな発見は必ずある。
長い人生の想い出作りにもピッタリ。
ワクワクが止まらないや。
まるで極楽浄土にでも行くみたい。
さあ、もう寝よう。
体力をしっかり温存しておかねば。
俺は無垢な少年のように心を躍らせる。
そして自分の意識を、夢の中へと沈めていった。
この時はまだ、誰も知らない。
もちろん、俺も知らない。
───既に、死への片道切符を手にしている事を。
死神は今か今かと待ち構える。
極上の餌食が、最高の料理となってくるのを。
皆さんこんにちは、荒鷲です。
なろう側では初投稿となりますが、何卒よろしくお願いします。




