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プロローグ

無数の星々と満月が見下ろす、現代日本の帝都・東京。


中心部や都市部は、鮮やかなネオンが煌めく。


そして寝静まった郊外のベッドタウンに、一軒の民家。


その二階に位置する、こじんまりとした部屋。

中にはタイピングの音だけが、静かに響く。


♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


俺は星霧ほしきりひびき。何の変哲もない高校二年生だ。


一応、金儲けっていう単純な願望を持っている。

あとは知名度を上げるのと、自己顕示欲を満たすってとこ。


それを叶える為に、ラノベを書いてWEBに投稿してる。


創作に全ステータスを振った俺なら、

それが一番手っ取り早いからね。


「……よし、作業終了。こいつは提出して…」

キーボードを打つ音が部屋に響く。


期限ギリギリ。危なかった。


暗い部屋。時刻はちょうど深夜帯。

唯一の照明は、パソコンの薄暗い画面だけ。


時計の針が動く単調な音だけが聞こえる。


傍らのスマホに手を伸ばす。

時刻は午前1:30を回ったところ。


眠気が込み上げる。

大きく伸びをしてパソコンに目を遣る。


画面にはシンプルな執筆エディタと、

有名な某検索サイトの画面だけが映っている。


書いてるジャンルはあれだな。

よく言われる『なろう系』ってやつ。


異世界転生or転移して、主人公とキャラがワチャワチャやる。


ありきたりの展開だけど、

そこに様々な秘伝の要素スパイスを加えて味付けする。


そうすると、あら不思議。

味気ないテンプレが、絶品料理に生まれ変わる。


俺が作るのは激辛スパイスを多く使った料理。


ハーレム?甘々恋愛?そんなのありゃしない。

もっとダークでハードな、愛憎たっぷりの作品さ。


ていうか、俺の作りたい物じゃない。

作ろうとしても作れないのが、悲しい現実。


人気はないと思ってたけど、結構評価が高い。

更に、長い間の悲願だった書籍化を達成。


収入はどれぐらいかって?


高時給バイトに就いて、シフトを詰めまくって働く。

それでギリギリって具合かな。


お陰様で懐があっつあつさ。

そこらにいる凡人とは、雲泥の差があるってワケ。


俺もここまでとは思ってなかったけど。


近くの大通りを、車の通る音が微かに聞こえる。

眠気が再び込み上げてくる。


飲んでいたエナドリの缶を持つ。冷たい。

そのままゴミ箱にポイ。珍しくゴールイン。


後片付けを済ませ、寝巻きに着替える。

部屋の中は暗く、寒い。


ベッドに潜り込む。温かくはない。

今は3月に入ったばかり。冬の季節の真っ只中。


スマホを触って、今日のSNSを確認。

通知は15件。結構来てる。


企業さんの依頼。

定期読者さんからの、心温まる感想。


捨て垢からの誹謗中傷も混在だ。


もうとっくに慣れたけど。


たまに自称フェミやキッズからの悪口もくる。

本当に稀だけど、陰謀系からも来る。


あとはインプレゾンビとbot。

そう言うのは基本的に無視。


やれる限りの返信を終わらせる。

企業さんへの返信は起きてからにしよう。


頭のそばにスマホを置く。


再び大きな欠伸をかます。目を閉じて力を抜く。


疲れが徐々に侵攻してくる。

ベッドが温かくなってきた。


体温でちょうどいい具合だ。

フカフカのベッドに、程よい温もり。


やっぱり恵まれてる。

そのまま作業を終えて、俺は目を閉じる。


明日は念願の秋葉原へ行く日だ。

さあ大冒険!…とまでは行かないだろう。


だけど、新たな発見は必ずある。

長い人生の想い出作りにもピッタリ。


ワクワクが止まらないや。


まるで極楽浄土にでも行くみたい。


さあ、もう寝よう。

体力をしっかり温存しておかねば。


俺は無垢な少年のように心を躍らせる。

そして自分の意識を、夢の中へと沈めていった。


この時はまだ、誰も知らない。

もちろん、俺も知らない。


───既に、死への片道切符を手にしている事を。


死神あいつは今か今かと待ち構える。

極上の餌食おれが、最高の料理となってくるのを。

皆さんこんにちは、荒鷲です。

なろう側では初投稿となりますが、何卒よろしくお願いします。

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