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今世はのんびり釣りをしたい ~元技術者で今は冒険者の、微妙にままならない日々~  作者: 於田縫紀
第4章 廃坑調査

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第59話 入口前の戦闘

 妖精を出して3分程度は、何事もなく経過した。

 この何もないのに張り詰めている緊張感は、どうも苦手だ。

 

 もちろん、技術がわからない他部署の偉い人や、道理が通じないクライアントが背後にいる状況よりはましだろう。

 それでも何もしないで待つという経験があまりなかった俺には、疲れる時間だ。

 何もしないというか、まあ警戒はしているのだけれど。


「そろそろ妖精の1体が戻ってきます。そうすれば向こう側の状況が、ある程度わかるでしょう」


 問題は妖精に、どれくらいの観察能力と説明能力があるかだ。

 でもクリスタさんの魔法で造られた妖精なら、そう酷いことはないだろう。

 そう思いたい。


 坑道奥の穴に、魔力の気配を感じた。

 すぐにクリスタさんが放った妖精だとわかる。


「穴を出た向こう側は、幅4m、長さ80m位の空間だそうです。壁に硬化魔術がかけられている四角い空間で、明らかに人工的に造られたものと思われます。そして長さ80mのうち、奥側50mは水が貯まっているようです」


 確かに、そんな四角い空間で硬化魔術がかかっているとなれば、人工でしかありえないだろう。


「魔物は、水が無い30m程度の部分にスケルトンが15体。この中にはアークスケルトンも含まれているようです。それより上位種のスケルトンはいません。また水中にも魔物がいるようです。水上に出てくる気配がないので、まだ種類はわかりません」


「アークスケルトンまでなら、そう怖くないのニャ。弱点は基本的にスケルトンと同様ニャ。動きが少しだけ速くて、少し頑丈な程度なのニャ」


 アークスケルトンは、初心者講習の教本には載っていなかった。

 少しだけ速くて、少し頑丈か。

 そう怖くないというのがミーニャさん基準なのか、一般的な冒険者としての基準なのかは不明だ。

 でもまあ、そのミーニャさんがいるから大丈夫ではあるだろう。


「それでクリスタ、魔法的痕跡は何かあったかニャ?」


「穴の奥、水が貯まっている場所から、それらしい魔力が出ているようです。それ以上は確認出来ていません。実際に行って確認する必要がありそうです」


 いずれにせよ、溜まっている水が邪魔だ。


「水を抜いたり、魔法で蒸発させることは出来ないかニャ」


「出来るかどうかは、今はまだわかりません。向こうへ行った後、スケルトンを倒して安全を確保した上で、改めて調査・確認する必要があるでしょう。今わかるのは、そこまでです」


「わかったニャ」


 ミーニャさんは頷いた。


「それじゃとりあえず、スケルトン15体を排除するのニャ。クリスタ、こちらへスケルトンの追い出しを頼めるかニャ」


「わかりました。次の妖精が戻りましたら、今戻った妖精を送り込んで攻撃を仕掛けましょう。坑道が崩れるとまずいので、弱めの風属性魔法で攻撃して誘導します」


「わかったニャ。次の妖精は、いつ戻るニャ?」


「あと2分程度です」


 それまでは待ちか。

 そう思ったところで、穴の方でまた魔力を感じた。

 クリスタさんの妖精の魔力と、それ以外の魔力の両方だ。


「訂正します。妖精の出入りに、スケルトンが気づいたようです。こちらに出てきます」


 クリスタさんの言葉が終わる前に、ジョンとミーニャさんが立ち上がる。


「わかったのニャ。まずはジョン、頼むのニャ」


「わかりました」


 ジョンが弓を構え、矢をつがえる。

 ミーニャさんは両手に斧を握り、クリスタさんも立ち上がった。

 俺も立ち上がって、椅子を魔法収納(アイテムボックス)に収納する。


 穴の魔力が濃くなって、そして白い骨が出現する。

 スケルトンだ。片手剣を装備した標準的なものが1体、また1体。


 ジョンの弓が矢を放った。

 最初のスケルトンは2本目の矢で頽れた。そして、続いて出てきたスケルトンも、やはり腰骨に矢を受けて崩れる。

 そしてまた1体、更に1体……


 合計10体のスケルトンが出てきて、そして倒れた。

 完全に倒しきったわけではない。

 骨がまだ振動しているし、魔力反応も残っている。

 それでも、立ち上がったり、剣を振り回したりは出来ないようだ。


 そして穴からは、追加で出てきそうな魔力は感じない。


「残りは出てこないようです」


 クリスタさんも、俺と同じように判断したようだ。

 ミーニャさんが頷く。


「弓が優秀だと楽でいいのニャ。でもせめて、とどめくらいは刺してくるのニャ。両手斧より戦斧の方がいいのニャ。エイダン、頼むニャ」


「どうぞ」


 ミーニャさんから斧二本を受け取って収納し、代わりに戦斧を出してミーニャさんに渡す。

 ごつくて重い、俺だと両手でしっかり持たないと支えられない戦斧を、ミーニャさんは片手で受け取って。


「ありがとニャ。では行ってくるニャ」


 ミーニャさんは50m以上ある間合いを一気に詰めて、戦斧を軽く振りかぶった。


「終わりニャ」


 振りかぶっては、戦斧をスケルトンの頭蓋骨部分に叩きつける。

 派手な音が何回かした後、スケルトンの動きが完全に止まった。

 魔力の反応から、倒したことがわかる。


「魔石を回収します」


 クリスタさんがそう言いつつ、歩き始めた。

 俺とジョンも、ミーニャさんの方へと歩いて行く。


 穴から、さらに妖精が出てきた。


「向こう側にあと5体、アークスケルトンが残っているようです」


「わかっているニャ。なので、乱戦用で両手に斧装備ニャ」


 ミーニャさんが俺に差し出した戦斧を収納し、さっきまでミーニャさんが使っていた斧を、一丁ずつミーニャさんに渡す。


「ありがとニャ。それにしても、ここまでが楽過ぎて、逆に不安なのニャ。クリスタと一緒で、こんなに楽ニャのは、今までになかったのニャ」


 ミーニャさん、よっぽど酷い目にあっているようだ。

 冗談という感じではない。

 クリスタさんは、いつも通りの表情で頷いた。


「エイダンさんとジョンさんが優秀なおかげですね。普通の攻略をすれば、入口から最初の分岐までで1日、ここまでで1日かかっても不思議ではないですから」


「この後も、こんな感じで終わって欲しいのニャ。で、穴の向こうはどうなのニャ?」


「アークスケルトンが5体。穴の出口の左右で2体が待ち構えていて、その後ろに3体が控えている状態です」


 つまり、穴を通ると同時に戦闘になるということのようだ。

 それって結構、危険な状態なのではないだろうか。

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