本人が知らぬ間に起きていた出来事。【現代】
リハビリ中なう。
ピピピ、ピピピ、とスマホからアラーム音が鳴り渡る。
もぞもぞと体を動かして俺はスマホを操作し、アラームを止める。
そして、二度寝開始……。
10分後、ピピピ、ピピピとまたもアラームが鳴る。
そのアラームをまたも操作し止めるが、今度は眠ること無く起き上がる。
「ふぁ、ふぁあ~~あ……。ねむ……」
眠いながらも布団から起き上がり、俺は首を軽く回す。
枕が合っていないのか、それとも枕カバーを変えたからなのかここ最近首が痛すぎる。
まあ……どうにかしないとな。
そんなことを思いながら、俺は部屋から出るとトイレへと向かう。
トイレ……何時ものように立ってすれば……って、あれ? 何で立ってしようと思ってるんだろう?
俺には、男みたいにち●こなんてないのに。
少しだけ首を傾げながらパジャマ代わりのジャージを下ろしてトランクスも下ろすと便座へと座る。
そして少ししておしっこは出た。
すっきり。
満足をし、今度は水分補給として台所まで向かって俺のカップを取ると水を注ぎ……一気に飲む。
ごく、ごく、と喉が水分を求めて鳴る。
…………ふう、生き返った。
そう思いながら今度は洗面台まで向かって顔を洗う。
「さてと、洗うとしますかね~…………ん?」
鏡を見る。
そこには何時ものように俺の姿が映っている。
寝起きだからボサボサになっている長い髪。
パッチリとしているけれど、やっぱり寝起きだからトロンとしているつぶらな瞳。
Tシャツによって圧迫されているおっきなオッパイを主張するロリ巨乳体型。
「ん? んん~~??」
何時も見慣れている自分の姿のはず。なのに、なんだろうかこの違和感は。
そう思いながらマジマジと自分の姿をもう一度鏡で見直す。
……あ、目ヤニ発見。早く顔を洗わないと。
違和感を感じながらも俺は泡を3回ほどプッシュして顔中に荒々しく塗りたくる。
これが普通だ。
もっと丁寧に塗れば良いだろうけど……、生憎と俺は女じゃないんだから。
…………おんなじゃ、ない?
バッと顔を上げる。泡が目に入って激痛が走る。
「ぐ、ぐおおおっ!?」
目を瞑りながら急いで顔を洗う。ついでに目も軽く開けて洗う。
ああ痛い痛い! 両目がヒリヒリと痛むのを感じながら痛みが治まるまで洗ってからもう一度顔を上げる。
ボタボタと濡れた顔からは水が滴り、突き出るおっぱいに垂れていく。
……とりあえず顔を拭こう。
俺のタオルを掴んでゴシゴシと拭き終え、もう一度鏡を見る。
さっきと同じ姿の俺の姿があった。
「……違う、俺じゃ、ない」
ポツリと呟きながら、俺は思い出す。
俺自身の姿を……。
バスケをするためにあまり邪魔にならないように切りそろえている髪。
周囲の女子達からワイルドと言われるようなキリッとした切れ長の瞳。
寝巻きだからとサイズが合わなくなったTシャツから弾けそうになるしなやかながらに確かにある筋肉と高身長。
所謂バスケ系イケメンが俺だった。
「それが何でこんなロリ巨乳女子になってるんだ……!?」
呻くようにそう呟きながら俺は愕然とする。
と言うかちょっと待て! 俺が俺だって両親は分かってるのか!?
「ちょ……、と、父さんかあさーんっ!?」
ドタドタと急ぎながら朝食の準備をする母と新聞を読んでいるであろう父の元へと俺は走り、問いかける。
……そして結論から言うと、俺は女と認識されているようだった。
「うそ、だろ……?」
信じられない、そう思いつつも俺はリビングに飾られた高校の入学式のときに撮った写真を見る。
そこに写っていたのは……俺だった。
『昔』のではなく……『今』の俺だった。
え、ちょっと待てよ。俺は男だよな?
男のはずだよな? それが何で女になってるんだよ。
いったい何が起きた。何が起きたんだ……?
混乱する頭のまま、用意されている朝食を無意識ながらに食べ、ブレザーへと着替え……フラフラと高校へと向かうために外へと出た。
「「あ」」
すると、俺を待っていたかのように悪友で幼馴染のあいつが居た。
とりあえず……挨拶だ挨拶。
「よ、よぉ……」
軽く手を挙げての何時も通りの挨拶。
けれどあいつは思いがけ無いことを口にしてきやがった。
「ほんとに女になってる」
「は?」
聞き間違え? 違う、本当にこいつは今言いやがった。
女になっている。と。
つまり、こいつは俺がどうしたのか知ってるってわけだ。
「おいこら、お前いったい何した。良いから残らず答えろ」
ドスの聞いた声(ただし可愛らしい)をかけながら、あいつの胸倉を掴みあげる。
するとあいつはあっさりと答えた。
「実は昨日、家に帰ったら旅行先の親父から荷物が届いてたんだ。中身は本だったんだけど、開けると悪魔が出てきたんだよ。何と言うか、誘惑されたらイチコロって感じのサキュバス系お姉さんって感じの悪魔がさ。
で、悪魔が『封印解いてくれたお礼に願いを一つだけ叶えてあげる』と言ったから、お前を女にしてくれって頼んだんだよ」
「よし分かった、殺す。お前は殺す!」
「まあ待て、後お前が拳を振りぬこうとしても今の僕のほうが力があるから捻じ伏せれる」
振り上げようとする俺の拳を受け止めながらあいつは答える。
ちくしょう、その通りだよ。今のあいつのほうが力があるよ!
ぐぬぬ、と思いながら言葉を待つと更にとんでもないことをぶち込んできた。
「悪魔は願いを叶えてくれたんだけど、『都合が良いように追加設定を付けてあげる。どんな物が良いかしら?』って言ってくれたから、僕は答えたんだ。
僕とこいつは幼馴染で、高校入学を機に交際を始めてるって!」
「なん……だと……?!」
「ついでに高校の公認カップルっていうことだから!」
「ガッデム! 俺はお前のことを好きじゃないぞ!?」
「大丈夫、僕は君のことが大好きだから、ずっと前から」
にやり、と笑いながらあいつは俺を見つめる。
その笑顔に俺はゾクっと寒気を覚えた。
こ、これから俺は……どうすれば良いんだよ…………。
そう思いながら俺はその場で膝を突くのだった。
・俺の女体化外見:
服装:ブレザー
髪形:ツインテール
体型:ロリ巨乳
口調:俺
・その後:
最初は戸惑っていたけれど、一月もすれば諦めたのか順応したのか女の生活を気にしなくなる。
元々悪友だったあいつとは友達付き合いをしていたけれど、何時ものように接してたつもりが何時の間にか有耶無耶な内にヤッてしまっていた。
結果、高校卒業寸前に妊娠発覚の卒業と同時に結婚。
主婦をしながら、楽しい毎日を過ごす。




