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謎じゃない彼女 3

 ニヤリとほほ笑む長澤。どうやら「強制はしない」と言う言葉が言いたかっただけらしい。


 俺は思わずため息をついてしまった。長澤はじっと其の目で俺を見ている。


「お前、分かっているのか?」


「は? 何が?」


「お前が昔イジメられたってこと、俺がクラスの奴らにバラすかもしれないってこと」


 それをいうと長澤は、ギクッとした。いや、どうやら完全に忘れていたらしい。


 容姿は変わっても中身は全く変わっていない。どこか間抜けな不良、長澤流佳のままである。


「え……ええ! わかってるわよ! それが何!? バラしたきゃバラせばいいじゃない!」


 半ばやけくそになりながら長澤はそう言った。俺はそんな長澤を見ていると思わず笑いそうになってしまった。


 俺と言う人間はやはりそう言う人間の感情が好きなのかもしれない。


 だから、今の元気に溢れ、目を輝かせている犬井のことはどうにも好きになれない……


 むしろ、今の俺にとっては、わざわざ髪を切って、黒く染め、俺にバレないように眼鏡までかけてきて、その上で簡単に見破られてアタフタしている長澤の方が好感が持てた。


「よし。わかった」


「……え? な、何が?」


「付き合おう。長澤」


 俺がそう言うと、長澤はポカーンとしていた。そして、なぜか手近に置いていた眼鏡をかける。


「……ホントに?」


 眼鏡をかけた長澤は間抜けな表情で俺にそう訊いてくる。


「ああ。その代わり、俺もお前に対し条件を付ける」


「え……な、何よ……」


 嫌そうな顔をする長澤。そして、俺はもちろん、長澤の嫌がることを条件として提示するつもりなのだった。

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