謎の彼女 2
「何か?」
俺が訊ねると少女は少し面喰ったようだったが、すぐにレンズの奥の瞳を鋭くして俺を見る。
「アナタ、逢沢君ですね」
少女の声……これもどこか聞き覚えがある。
なんというか、結構知っている間柄の奴によく似ている声だ。
俺は何も言わず女の子を見ていた。
「逢沢直人君、ですよね?」
「ああ、そうだ。よく知っているな」
「ええ、伊丹君に聞きましたから」
少女は落ち着いた様子でそう言って、眼鏡を人差し指で持ち上げた。
「アナタに、お話があります」
「話? そう。俺はアンタのこと、全然知らないんだけど」
「……私は、長澤流佳さんのお友達です」
怒りを抑えているような口調で、眼鏡の子は言った。
俺は思わず笑ってしまいそうになった。
友達、か。
長澤に友達……藤野以外にこんな子が長澤の友達だったというのは、なんとも驚きである。
「へぇ。で、その長澤のお友達がどうかしたか?」
「アナタ……私……じゃなくて、流佳に、酷いことしたでしょ?」
「酷い事? なんだそりゃ?」
すると、少女は眉間にしわを寄せて俺を睨む。
端正な顔立ちが怒りにゆがむのは、見ていて決して、気分の悪いものではなかった。
「流佳に聞きました。アナタ、流佳の気持ちをさんざん弄んで……流佳はああ見えて繊細な子なんです。ちゃんと謝ってください!」
「謝る? 俺が? どうして?」
「どうしてって……そ、それは……」
眼鏡の女の子の元気がなくなってしまった。
どうやら、俺にそんなことを聞かれるとは思ってみなかったらしい。
さてさて、どうにも面白いことになってきた。
既にその時点で、俺は思わず笑いそうになるのを必死にこらえていた。




