謎の彼女 1
俺の両親は共働きなので、大体、家にいないことが多い。
だから、こんな風に多少いらついていても、家に帰れば一人になれるので、なんとか其のストレスを自分の中で消化することができる。
だから、俺はなるべくなら一人で帰りたい。
誰かと一緒に帰るってのはあまり好きじゃないのだ。
家に就くまでの時間、今日も家に帰れるのだという喜びをかみしめながら帰宅するのだ。
それなのに誰かと帰ってしまっては、そんな気分に浸れない。
だからこそ、今日は一人で帰る必要があった。
栄介の言った謎の女の存在、そして、相変わらずの犬井……ストレスは大分溜まってしまっていた。
こういう日は家に帰ってしまうのが一番である。
俺はそんなことを想いながら家の前までやってきた。しかし、その時、俺は脚を止める。
家の前に、誰かがいるのだ。
父と母はまだ帰ってくるような時間ではない。宅配便や郵便にも見えない。
そして、何より遠目に見て、そのシルエットは少女だった。
俺と同じくらいか、それより少し小さい程度の背丈だ。
一体誰だろうと思い、俺はゆっくりと近づいて行く。
「あ」
と、少女の方がこちらを先に観た。
黒ぶちの眼鏡をかけ、髪はショートカットの地味めな子だ。
しかし、ちょっと前の犬井のようなおかっぱではない。
元がいいからなのか、清楚というか、なんというか、そんな感じなのである。
「どうも」
眼鏡の少女は淡々とした口調でそう言った。俺は何も言わず女の子を見返す。
制服だ。しかもウチの学校のものじゃない。
見覚えは……あるようなないような、そんな感じだ。
もしかしてこれが、栄介の言っていた謎の彼女、というわけか。




